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術前化学療法中断・術後の病理で完全奏功となった場合の治療について

[管理番号:7997]
性別:女性
年齢:38歳
病名:乳がん(左)
症状:

田澤先生 こんにちは。

過去に似たような質問があったかもしれませんが、ご教授頂けましたら幸いです。

今年5月にルミナールB、グレード2、大きさ3.3センチ、リンパ節転移有り(画像上1つ)の乳がんの診断を受けました。

また遺伝子検査を受けHBOCだとも分かりました。

しこりが2~3ヶ月で急速に大きくなった事と、針生検を受けた時は腫れて居なかった脇のリンパが1ヶ月程で腫れ転移が見つかった事で、手術まで待つ時間が怖く全身治療との認識で術前化学療法のドーズデンスEC療法とウィークリーパクリタキセルを受けました。

6回目のパクリタキセル投与以降に日和見感染により肺炎を発症し、肺炎完治後に左乳房全摘手術を受けました。

先日病理組織の結果が出まして、左乳房全摘検体にはガン細胞はみられない、という結果でした。

術後は放射線治療も追加の抗がん剤も無しでホルモン治療のみ、という主治医の診察を受けた後に、自分でも調べようとガイドラインを読んだところ、放射線は化学療法前の病期に従って行うことが推奨されているし、パクリタキセル中断したことも標準量の抗がん剤治療を受けられていないのに追加で投与しなくて良いのか不安になりました。

微小転移の可能性を考えて初発の今出来る限りの治療を受けたいので、
来週診察時に主治医に伝えるつもりですが、上記の追加をお願いすると過剰治療になりますでしょうか?

医学的な知識がないため、自分の希望が果たして理にかなっているかどうか確信が持てず不安に思っています。

お忙しい中恐縮ですが、ご助言頂けましたら幸いです。

宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「術後は放射線治療も追加の抗がん剤も無しでホルモン治療のみ、という主治医の診察を受けた後に、自分でも調べようとガイドラインを読んだところ、放射線は化学療法前の病期に従って行うことが推奨されている」
→質問者の認識通りです。

 ただし、
 術後補助療法は、あくまでも再発「予防」の位置づけとなるため、それを行うことによる有害事象には十分な注意が必要となります。(つまり「(医学的に)無理して行うことはご法度」ということ)
 ここで焦点となるのが(質問者が術前抗がん剤中に発症した)「肺炎」です。

 1.術後照射について
  肺炎の既往から「放射線照射を行うことによる、放射線肺臓炎のリスク」がどうしても気になると思います。
  そもそもケモ前の(画像)評価が「リンパ節転移3個以下」ならば、postmastectomy radiation therapy(PMRT)乳房全摘後放射線の推奨度は高くありません。(無理して行う必要はないでしょう)

 2.抗がん剤の追加について
  EC完遂し、wPTXも半分(全12回のうち、6回)終了しているのだから、「何も、無理しなくても…」というのが本音でしょう。(放射線同様、肺炎再発のリスクはあります)