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ステージ3A乳がんについて

[管理番号:2327]
性別:女性
年齢:28歳
田澤先生はじめまして。
このサイトを知り、治療を前向きに頑張ろうと励みにしています。
昨年10月に、
T2N2M0
しこりの大きさ 2.9×1.6cm
組織型     浸潤癌
ホルモン受容体 陰性
HER2    陽性(2+でFISH検査で陽性)
癌細胞の顔つき 3
ki67    50%
リンパ細胞診で悪性のものがでたので、転移しているだろう。
遠隔転移はなし。
T2N2M0 ステージ3Aと診断されました。
昨年11月より、術前化学療法を受けています。
現在AC×4回が終了し、次回よりドセタキセル+ハーセプチンを4回。
その後手術、残りのハーセプチンの予定です。
AC2回目で、しこりが半分の1.6cm×0.8cmになっていました。
腫れていたリンパの腫れも通常サイズになっており、現在しこりは手に触れなくなりました。
そこで、いくつか質問させていただきたいです。
①抗癌剤治療で、効いたというのはどの程度からなのでしょうか。
癌細胞が全部死滅する、とういことはありえるのでしょうか。
②年齢や悪性度、増殖度、サブタイプから考えると、
自身の再発率はどの程度なのか、また無再発で長く過ごすということは望めますか?
③現在抗癌剤の副作用で、肝臓の数値があがり薬を飲み、下がってはいるのですが。
このまま抗癌剤を続けても大丈夫なのでしょうか?
④当時は治療を少しでも早く開始したかったので、卵子凍結はしませんでした。
自然妊娠をしている人もいると説明を受け、そちらに希望を持ち、いつか授かったときは・・・と考えているのですが、抗癌剤の影響を受けた体で大丈夫なのか心配です。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
20代での乳がんですね。
お気持ちお察しします。
術前抗がん剤しているのですね。
たんに「HER2陽性タイプだから」とか「リンパ節転移があるから」という理由でないことを願っています。
術前化学療法は、きちんと「小さくして温存」と言う理由でのみ行われるべきなのです。
「①抗癌剤治療で、効いたというのはどの程度からなのでしょうか。」
⇒「腫瘍が小さくなれば」効いたと表現します。
 
「癌細胞が全部死滅する、とういことはありえるのでしょうか。」
⇒あります。
 それをpCR(pathological complete response)と表現します。
 
「年齢や悪性度、増殖度、サブタイプから考えると、自身の再発率はどの程度なのか、」
⇒これはリンパ節転移の個数などが不明」なので数字をだすことができません。
 
「また無再発で長く過ごすということは望めますか?」
⇒勿論です。
 根治する可能性も「抗HER2療法をすること」で「かなり高い筈」です。
 
「③現在抗癌剤の副作用で、肝臓の数値があがり薬を飲み、下がってはいるのですが。このまま抗癌剤を続けても大丈夫なのでしょうか?」
⇒それであれば、(今からでも)「手術先行」として「術後にHER+DTX⇒放射線⇒HER単剤」とした方が良さそうです。(抗癌剤は術前でも術後でも効果は同じなのです)
 
「④当時は治療を少しでも早く開始したかったので、卵子凍結はしませんでした。」
⇒それであれば、
 できるだけ「ダメージの少ない」今の内に「卵子凍結」することをお勧めします。
 つまり「ACx4」⇒手術⇒(少し空けて)卵子凍結⇒「HER+DTXx4」⇒放射線⇒「HERx14」⇒妊娠出産が最も良さそうです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
以前質問させていただいたものです。
先生のお返事で勇気づけられ、治療を頑張ってこれました。
治療は、当初の通り術前抗癌剤(AC×4、ドセ+ハーセプチン×4)を行い丁度2ヶ月前に手術をしました。
エコーやMRIでもわからないくらいだったので、温存することができました。
結果は、原発巣とリンパのどちらからも癌細胞がみつからず。
完全奏功したということでした。
今は放射線治療と術後のハーセプチンをしています。
抗癌剤がよく効いてくれて良かったのですが…。
癌が暴れん坊のタイプ=抗癌剤が効きやすい。
ですが、暴れん坊ゆえ、抗癌剤で完全奏功してもまたすぐに出てくるのではないか…。
術前抗癌剤をしているので、正確なリンパの転移の数は不明。
自身にどれくらい再発の危険性があるのかは分からないままになってしまいました。
治療前の画像では、脇のところはブドウみたいにたくさん腫れていたので…。
そのことを考えると、今は効いてなくなったという結果だけど。
もともとたくさん転移の数があったではないか…?
再発率はものすごく高いだろう…。
と、見えないものに不安になってしまいます。
手術前にはどちらも基準値以内だった腫瘍マーカーが(3.2とかでした)、
ひと月前にCEAが5.9、3週間後の先日6.5と上がっていたので…
乳がんのCA15-3は5.9→4.7という変動でした。
もう再発、もしくは別のところに癌が転移しているのではないかと怖くなってたまりません。
退院してからというもの、味覚が戻ってきたり、外出ができるようになり外食なども多くしてしまい。
好きなものもたくさん食べてしまいました。
抗癌剤治療中ほとんど動けずでしたが、免疫を落とさないためと食べるだけ食べてはいたので…10キロほど太ってしまいました。
…運動を少しずつですが始めているところです。
もう少ししたらジムにも通って良いとのことで、通おうと思っています。
自身が癌患者だという事を忘れ、だんだんと日常を取り戻せて来ているのですが…考えてもしょうがないことを考えてしまいます。
質問ですが、
①増殖度が高いタイプでも完全奏功したということは、安心できることなのでしょうか?
?抗癌剤が効きやすいタイプなのに、再発率が高いと言われるのはなぜなのでしょうか?
③腫瘍マーカーの変動が気になって仕方ありません。
様子見で、今後上がるようならPET検査をしようとの事ですが、今すぐしなくて良いのでしょうか?
お忙しい中、長々と書いてしまい申し訳ありません!
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
完全奏功は何よりでした。
「①増殖度が高いタイプでも完全奏功したということは、安心できることなのでしょうか?」
⇒術後の抗ガン剤に置き換えて考えましょう(完全寛解でもそうでなくても、術前も術後も一緒なのです)
 そうすると・
 もしも「術後の抗ガン剤であれば」
 手術した後に「再発予防目的で行う抗がん剤の効果が非常に高いだろう」ということが予測されます。
 つまり、そもそも「再発率を半分にする抗HER2療法ですが、標準以上に効果があるだろう(つまり再発率は半分どころか1/3とか、半分以下になっている)」ということです。
 それ以上は解りません。
 
「?抗癌剤が効きやすいタイプなのに、再発率が高いと言われるのはなぜなのでしょうか?」
⇒抗HER2療法が「術後の補助療法として標準化(保険収載)されてからは日が浅い」のです。
 昔のデータは無意味です。
 
「③腫瘍マーカーの変動が気になって仕方ありません。」
⇒気にならないレベルです。
 それだけ「抗がん剤が効いた」のに「遠隔転移再発している」など全く馬鹿出ています。
 
「様子見で、今後上がるようならPET検査をしようとの事ですが、今すぐしなくて良いのでしょうか?」
⇒無用です。