[管理番号:3625]
性別:女性
年齢:69歳
いつもこちらで勉強させて頂いております。
ありがとうございます。
私の母(69歳)は、今年3月に左乳房全摘手術を受け、その後ホルモン治療中です。
母は自分の癌についてあまり詳しい話を聞いておらず、病理結果も手元にありません。
(主治医がくれないのではなく、母が希望しなかった為です。)
今まで分かっていたことは、大きさ1.8cm+そのすぐ近くに数ミリの小さいものが2つ、ステージ1、センチネル転移無し、小葉に出来た非浸潤癌とのことでした。
主治医が母の癌は珍しいと言っていたそうなので、先日の定期検診で何という名前の癌か聞いてきたところ、「アポクリン」というそうです。
そして、ホルモン治療をしている為私はホルモン陽性かと思っていたのですが、トリプルネガティブとのことでした。
そこで質問ですが、
①アポクリン癌とはどのようなものですか?予後はどうでしょうか?
②ホルモン治療は必要でしょうか?母はいま更年期障害のような副作用がひどく、ホルモン治療をやめることも考えています。
主治医が言うには、今のホルモン治療は残っている右乳房に癌が出来ないための治療と言っていますが、母の考えでは毎日副作用に苦しむよりも、薬の服用をやめて定期的にエコーやマンモで検査を受けて、もし癌が出来たらまた全摘すれば良いのでは、ということです。
③ホルモン治療は、子宮に出来る癌の予防にはならないのですか?
④病理の情報が少ないですが、先生でしたらどのような治療をお考えでしょうか。
以上、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「ステージ1」と「非浸潤癌」という記載が矛盾しています。(非浸潤癌ならばステージ0となります)
ここでは、ステージ1のアポクリン癌(浸潤)として話をすすめます。
アポクリン癌はトリプルネガティブであることが多いですが、大人しいものです。
その意味では(69歳という年齢を考慮して)無治療が適切と思います。
「①アポクリン癌とはどのようなものですか?予後はどうでしょうか?」
⇒大人しい癌です。
予後良好です。
「②ホルモン治療は必要でしょうか?母はいま更年期障害のような副作用がひどく、ホルモン治療をやめることも考えています。」
⇒不要です。
今すぐ止めるべきです。
「主治医が言うには、今のホルモン治療は残っている右乳房に癌が出来ないための治療」
⇒そういう発想には賛成しません。
「③ホルモン治療は、子宮に出来る癌の予防にはならないのですか?」
⇒なりません。
もしも飲んでいるのがタモキシフェンなら、子宮体がんのリスク上昇となります。
(アロマターゼインヒビターなら、それはありません)
「④病理の情報が少ないですが、先生でしたらどのような治療をお考えでしょうか。」
⇒100%無治療です(1秒も迷いません)
質問者様から 【質問2】
田澤先生、先日は質問に答えていただきありがとうございました。
母の癌について、母と主治医との間で勘違いがあったようです。
『1.8cm+そのすぐ近くに数ミリの小さいものが2つ、ステージ1、センチネル転移無し、小葉に出来た浸潤癌』
→前回このようにお伝えしましたが、正しくは、1.8cmのものは非浸潤癌(ルミナールA、ステージ1)、そして小さい2つが浸潤性のアポクリン癌だったようです。
①前回、ホルモン治療は不要とお返事いただきましたが、ルミナールAタイプの癌があったとのことなので、やはりホルモン治療は必要とお考えですか?
副作用が酷いため主治医に薬をやめたいと相談したようですが、せめて1年間くらいは頑張って続けてくださいと言われたようです。
(手術は3月なので現在半年くらい経ちました)
②実は私(34歳)もルミナールAタイプの乳がんで今年8月に手術をしています。
ステージ1、オンコタイプスコア17でした。
母の姉も乳がんで既に亡くなりました。
オンコタイプでお金を使ったので遺伝子検査をする
余裕がないのですが、遺伝リスクは高いのでしょうか?私は今後妊娠を望んでいますが、子供に影響があるか心配です。
③既に息子が1人いるのですが、遺伝的なリスクがある場合は、子供が男の子でも女の子でも同じですか?
度々申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①前回、ホルモン治療は不要とお返事いただきましたが、ルミナールAタイプの癌があったとのことなので、やはりホルモン治療は必要とお考えですか?」
⇒副作用が酷ければ(当然)無治療です。
「遺伝リスクは高いのでしょうか?」
⇒サブタイプを見る限り、「家族性乳がんではない」ように思います。
「③既に息子が1人いるのですが、遺伝的なリスクがある場合は、子供が男の子でも女の子でも同じですか?」
⇒女の子だけです。