[管理番号:1108]
性別:女性
年齢:62歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
田澤先生、お世話になります。
腫瘍の性質と進行度の違いについて、
詳しく教えてくださり、とても感謝しております。
今日、大学病院で結果を聞いてきました。以下口頭で聞いた結果です。
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・ステージ:Ⅱa
・腫瘍の大きさ:3.5㎝より少し大きめ(3.8㎝くらいかと予想)
・PETやMRIで見る限りの遠隔転移はなし。
リンパ節への転移は可能性は100%ないとは言えないが、おそらく心配ない。
(おそらく数個はあると予想)
・治療方針:手術先行→術後(ハーセプチン+抗がん剤半年→ハーセプチン単剤半年)
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治療方針については、やはり抗HER2療法で術前化学療法を勧められ、
その方法で6割の患者さんが癌が消える(小さくなる)、もしも遠隔転移で
目に見えない癌が多数あっても、大きくならないことが利点です。
という説明を受けました。
私のほうから、手術を先にするという方法ではダメでしょうか?と問いかける中、
母は主治医を信じたいので、術前にしようかとほぼ決めかけてましたが、
主治医が、本当に偶然なのですが、先ほど来週(9/17)に手術枠が空いたので、
本当は術前を勧めますが、効果に大差はないので、先に手術しますか?と
言ってくださったので、母に最終決断を委ねたところ、散々悩んだ挙句、
手術を先にすることになりました。
私は、今日手術枠が空いたという偶然もあり、この選択でよかったと信じてます!
あと気になる点がいくつかあったので教えてください。
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〈細胞診結果〉
初めてマンモトーム生検をした後、大学病院で組織診をしたみたいで
その結果が以下でした。
違ってた点:髄様癌→硬癌 ER・PgR1%程度→陰性 Ki-67:53%→19%
Grade1→3
手術先行ですので、手術で取り出した後の生検結果が一番と聞くので、
気にしなくても大丈夫でしょうか?
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〈PET診断結果の一部〉
・左腋窩に特記すべき異常集積は見られません。小LN散見されます。
左腋窩のSVmaxは早期相:0.56、後期相:0.41です。
・下肺胸膜下に濃度上昇や索状影あり。間質性変化や炎症後変化だと思われます。
SUVmax:1.8程度の軽度の上昇があります。
・L5/S左側椎間関節の変形性変化に集積を認めます。
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〈MRI診断結果の一部〉
・左乳腺のAC領域に径3㎝の濃染域がある。近傍の表皮との間に脂肪混濁が見られ、
表皮は少し肥厚しています。リンパ管、静脈浸潤による浮腫/炎症性乳癌の可能性が
除外できません。
・両側の乳腺に微小な濃染像が散見されるが、バリエーションや乳腺症による変化
として矛盾しません。(乳癌が混在する可能性が残ります:カテゴリー3)
・両腋窩リンパ節が腫大していますが、有意な腫大とは言えません。
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PETとMRIについてはよくわからないのですが、リンパ節の転移は
やはり可能性あるのではないでしょうか?
あと一部に変化がみられると書いてある下肺胸膜下やL5/S左側椎間関という
部位については、いずれ遠隔転移する可能性のある部位を示しているわけでは
ないのでしょうか?
とりあえず、来週半ばに手術を控えているので、慌てても仕方ないのですが、
これから1年、母子ともに完治することを願って前を向いて頑張ろうと
思っていますので、アドバイスをよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
やはり「術前抗がん剤を勧められた」のですね。
しかも理由として「その方法で6割の患者さんが癌が消える(小さくなる)」⇒術前に小さくしてどうするつもりですか?(温存するならいいですが、理由が不明です)、また残り4割(無効)だったの場合「手術不能となる位まで進行しない」と言いきれますか?
「目に見えない癌が多数あっても、大きくならないことが利点」⇒通常は術後の「補助化学療法の役割」です。(抗がん剤が無効だった場合)「放置している腫瘍から目に見える転移が起きない」といいきれますか?
私には、どうしても「リスクを冒してまで」術前抗がん剤を勧める利点が解りません。
★担当医は「本当は術前を勧めますが、効果に大差はない」とコメントしていますが、『抗がん剤は術前に行っても術後に行っても効果は同じ』という重要な事実を無視している(知らない?)のでしょうか。
「ステージⅡa」はcT2(38mm), cN0(リンパ節は画像上転移無との判断)という判断を示しています。
回答
「リンパ節への転移は可能性は100%ないとは言えないが、おそらく心配ない。(おそらく数個はあると予想)」
⇒この記載は誤りです。
どう考えても「cN0(画像上リンパ節転移を疑わない)」と言う状況です。
実際に「転移が無い」可能性が高いと思います。
「手術で取り出した後の生検結果が一番と聞くので、気にしなくても大丈夫でしょうか?」
⇒その通りです。
組織の評価は「術後の標本全体での評価が最も信頼度が高い」です。
「リンパ管、静脈浸潤による浮腫/炎症性乳癌の可能性が除外できません」
⇒これは画像診断の「読み過ぎ」です。
気にする必要は全くありません。
担当医が実際に診療すれば「浮腫や炎症性乳癌など」一目で解ります。
余計な(無駄に患者さんを心配させる)コメントと言えます。
「リンパ節の転移はやはり可能性あるのではないでしょうか?」
⇒可能性は「かなり低い」と思います。
第1に、「担当医がステージⅡaと判断」している点 これは、cT2, cN0という判断からきています。
「100%ないとは言えないが」という(慎重な)表現も「ほぼ無いと思うが」と同義語です。
第2にPET所見「左腋窩に特記すべき異常集積は見られません。小LN散見されます。 左腋窩のSVmaxは早期相:0.56、後期相:0.41」これは完全に転移陰性の所見です。
第3にMRI所見「両腋窩リンパ節が腫大していますが、有意な腫大とは言えません」左右差がないのはほぼ「転移が無い」と判断できます。
「あと一部に変化がみられると書いてある下肺胸膜下やL5/S左側椎間関という部位については、いずれ遠隔転移する可能性のある部位を示しているわけではないのでしょうか?」
⇒これは全くの杞憂と断言できます。
「肺炎および胸膜炎の名残」と「関節の変形」です。極めて良くある所見です。
○とにかく、術後の化学療法となってよかったです。
これで、安心して治療が勧められます。
★「術前でも術後でも効果が同じ」と解っているのに、敢えて術前に行い「効いているかどうか、ハラハラドキドキする」必要があるでしょうか?
質問者様から 【質問2】
田澤先生、いつもお世話になります。よろしくお願いします。
今回は、昨日11/28に大学病院で起きた症状についてですが、アナフィラキシーショックやインフュージョン・リアクションでは
ないだろうか、もしそうでなくても、これから同じ症状が出たらどう対処すればよいだろうか分からず、メールさせて頂きました。
まずこれまでの経過を書いておきます。
9/17に全摘手術
10/26~TC+ハーセプチン4回、そのあとハーセプチン14回予定。
10/26に1回目投与。→想定内の副作用。
11/16に2回目投与。→投与後は特にひどい副作用はなし。
と、いう経過でしたが、
11/20~下痢が続く→お尻のただれがひどく、痛みに耐えられないため
11/25に近くの皮膚科で、塗り薬を処方してもらう。
湿疹と痒みも少し出ていた。
11/27→赤い湿疹が全身に出て、あまりの痒さで同じ皮膚科にかかる。
ステロイド剤を出してよいか、主治医に確認してくださいと
のこと。
11/30に皮膚科に診てもらえるとのことで、大学病院に
予約を入れる。
11/28朝→どうしても痒みが我慢できないとのことで、急遽時間外で
大学病院にかかる。当直医が皮膚疾患はハーセプチンの
副作用と診断。(アレグラとロコイド処方)
その診察が終わって薬の処方を待っていた矢先に、以下のような症状が出ました。
急に気分が悪いと言いだし、倒れこんで痙攣が起きる中、腹痛を訴えましたが、立つこともできず、
トイレに行く余裕もないまま、最後には目の動きが止まり、こちらが動揺してとても焦りました。
本人に後で聞いたところ、背中が少し痛み出し、めまいと腹痛があったのは自覚があり、私や当直医が話しているのも聞こえていたので、自分では軽いめまいと腹痛程度で意識はしっかりあったと思っていたとのこと、ただ痙攣と腹痛がした後でいつ便が出たかは、全く自覚がなかったとのことです。
幸い今回は病院内でしたので、薬剤師に助けを求め、当直医を呼んだときは、まだ震えながらでもしゃべっていたので軽く見たのか、車いすを持ってきたのですが、とても乗れるような状況ではなく、顔が硬直したような表情になり、目の動きが停止。
すぐに2時間くらい点滴をしたところ、症状は改善し無事帰ったのですが、点滴前に測った血圧が低血圧で上が60だったらしく、
原因は痒みによる睡眠不足と水分(塩分)不足だと思うので、今後は水分をしっかり摂ってください。とだけでしたが、
実際は抗がん剤もしくはハーセプチンによる、ショック症状だった可能性はないでしょうか?
家に一人でいるときに突然このような症状になってしまうと、本人は何もできなくなるため、
ただの水分不足で血圧が低下したのか、それとも今後も打つと繰り返す可能性のあるものなのかが、
はっきりしないため、次回予定の12/7からまた治療を続けられるのかどうかまで心配になってきました。
11/30は予定通り、また大学病院の皮膚科で詳しく診てもらう予定ですが、
12/7までに主治医の診察はないかもしれないため駆け込みました。
先生の予測できる範囲で構いませんので、ご返信いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
この度は大変でしたね。
まずは「infusion reastion」ではありません。
これは、ハーセプチン『初回でおこる』症状なので、当て嵌まりません。
また「anaphylaxis」は(アレルゲンに曝されて)『極めて短時間』のうちに起こる全身性ショックなので、やはり当て嵌まりません。
○薬疹であることは間違いありません。
この場合「ドセタキセル」「エンドキサン」「ハーセプチン」の全てが「候補」となります。
○下痢は「ドセタキセルが関与」していそうです。
それ以上絞りこむことは難しい様に思います。
「先生の予測できる範囲で構いません」
⇒上記以上に「原因を絞り込む」ことができません。
ただ、「私が主治医だったら」と想定すると
まず、TCは中止します。
2回投与しているので、あとは「ハーセプチン単剤」と割り切ります。(大した差は無い筈です)
「ハーセプチン」単剤でも、(念の為)「ステロイド+抗アレルギー剤」をガッチリ処方します。
○もしも「TCが予定の半量となったことが気になる」のであれば(落ち付いたところで)「weekly PTXを6回」行うこともできます。
質問者様から 【質問3】
間質性肺炎を伴う乳がんの腫瘍マーカー急上昇
性別:女性
年齢:71歳
病名:乳がん 間質性肺炎 皮膚筋炎
症状:乳がん治療中、間質性肺炎発症。皮膚筋炎併発。(肺炎以外の皮膚筋炎特有の
症状はなし)
投稿日:2024年01月31日
田澤先生、お世話になります。
母のことで何度かこちらで相談させて頂き
その節は大変お世話になりました。
※最後の投稿が管理番号1108だと思います。
—これまでの経過—
・約9年前にHER2陽性、Stage II、左胸全摘
・術後抗がん剤治療中(残りハーセプチン10数
回で終わるはずだった)に間質性肺炎にな
り、抗がん剤治療中止。
・薬剤性間質性肺炎と診断されたが、治療の途
中で皮膚筋炎も持っていることが判明。
結局どちらからなのか特定出来ず。
・乳がんはエコーとマンモで経過観察、
間質性肺炎の治療優先継続中。
※KL-6:診断当時7000→一時期は900台まで
下がるが、その後上昇し、6000越えた
ため、昨年10月から免疫抑制剤併用中。
直近の数値は5700。
—————————–
先日呼吸器内科の主治医から
免疫抑制剤の効果があまりにも少ないため
乳がんの検査もした方がいいと言われ、
かかりつけに行ったところ
エコーで見る限りでは大丈夫とのこと
だったのですが、乳がんの腫瘍マーカーが
昨年7月62→先日98と異常に高く
近いうちPETをすることになりました。
(マンモは昨年7月にしている→異常なし)
まだPETの結果が出てないですが
腫瘍マーカーが急に高値になったのは
免疫抑制剤の影響とがんの転移か再発、
両方が重なってるのかな?と勝手に推測してしまいます。
覚悟はしないといけないとは思いますが、
間質性肺炎治療が優先になるため
積極的ながん治療は難しい思いますし、
年齢も今年で72になりますので、
緩和治療の方が体力的、精神的にも良いのかなと思いますが、田澤先生でしたらどのように治療を進めますか?
回答が難しいかもしれませんが
骨転移や肝転移、再発などありうることがあると仮定してアドバイス頂ければ
うれしく思います。よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
申し訳ありませんが…
予想で回答するのは不適切ですので、「まだPETの結果が出てないですが」
⇒結果が出てから考えましょう。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/2/12
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