[管理番号:1023]
性別:女性
年齢:50歳
先日検診のマンモで何か映っていると言われ、近くの乳腺外科を訪れました。
今まで一度も検診で引っかかったことがなかったので楽観していたら、エコーとマンモの結果影が映っていると言われ針生検までされたので、その後結果を待つ2週間、生きた心地がしませんでした。
(そのときにいろいろ調べていてこのサイトを見つけ、書かれている様々なことを知るうちに心の準備ができ、落ち着いてきました。ありがとうございます)。
結果は、「今回は癌ではありませんでした。でもリンパ球の浸潤が見られるので安心はできません。これが今後癌になる可能性もあります。半年後にもう一度来てください」とのこと。
さっぱり意味がわからず先生に聞き返しましたが、「それより半年後いつ来られるかを教えて下さい」と遮られて答えてもらえず、私が「・・・」となっていると、「じゃあちょうど半年後に予約取りましたよ」と言われて切り上げられてしまいました。最後に「癌じゃなかったんだからいいじゃないですか」と言われ・・・。そういうことじゃないんですけれど。大きな大学病院です。
なんとか検査結果だけはプリントアウトしてもらいましたが、それによると「いずれも乳管や小葉構造を含む乳腺組織が採取されています。乳管上皮に異型は乏しく悪性を示唆する所見はありません。乳管の周囲にリンパ球の浸潤が見られます」とありました。
家に帰っていろいろ調べましたが、わかりやすく書かれているものがなく、自分の体であるにもかかわらず、状況がわかりません。そこで先生に教えて頂きたいのです。
1.リンパ球の浸潤とはどんな状態なのですか?
写っていた影はこの浸潤ですか?
これはマンモやエコーだけでは癌と区別がつかないのですか?
2.何が原因で起こるのですか?私が閉経前の年齢なのと関係しているのでしょうか。
3.リンパ球の浸潤があると、なぜ癌になる可能性に繋がるのですか?
今後ずっと半年ごとに検査しなければいけないのでしょうか。
状況がわからないため不安でなりません。どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私がこのメールから受け取った印象は「リスクがある」というものです。
勿論100%という訳ではないですが、是非参考にしてください。
「担当医を信用してはいけない」と言っている訳ではありません。
ただ、大事な事は「自分の身は自分で守る」意識なのです。
回答
「今回は癌ではありませんでした。でもリンパ球の浸潤が見られるので安心はできません。これが今後癌になる可能性もあります。半年後にもう一度来てください」
⇒これは「まともな医師のコメント」とは思えません。(私の私的な感想です)
「リンパ球の浸潤が見られるので安心はできません?」「(良性と言っておきながら)今後癌になる可能性もある?」「(針生検で診断した筈なのに)半年後にもう一度来てください?」
⇒これら全てのコメントに問題があります。
・まず「リンパ球の浸潤が見られる」事自体は「何か所見が隠れている」つまり「病変があるのだけれど、その中心を外している」のだと思います。
良性病変でも「乳腺症」などでも周囲に「リンパ球浸潤が見られる」ことがあります。
しかし、「癌」でも周囲に「リンパ球浸潤が見られる」事も多いのです。
・「今後癌になる可能性もある」
これが最も問題のある「コメント」だと言えます。
「良性病変は決して癌にはなりません」それを「担当医が知っていない」筈はありません。
○これは推測ですが、担当医は「針生検で病変を外した可能性を危惧している」
そして「実は癌ではないか?」と疑っている
それで、「後で、実は癌でした」となった際の予防線として「安心できない」「今後癌になる可能性がある(その場合はもともと癌だっただけの話です)」「半年後に来てください」というコメントになっていると考えられます。
『いずれも乳管や小葉構造を含む乳腺組織が採取されています。乳管上皮に異型は乏しく悪性を示唆する所見はありません。乳管の周囲にリンパ球の浸潤が見られます』
⇒この病理結果は「何も病変を想像させる記載がありません」
とても「エコーとマンモの結果影が移っている」所見を「きちんと診断している」とは到底思えません。
例えば「乳腺症」とか「線維腺腫」とか「乳癌」など、「画像所見と一致する(矛盾しない)結果」とは到底思えません。ただの乳腺組織です。
「リンパ球の浸潤とはどんな状態なのですか?写っていた影はこの浸潤ですか?これはマンモやエコーだけでは癌と区別がつかないのですか?」
⇒「リンパ球の浸潤」など「何の意味も無い所見」です。
写っていた影とは「無関係」な所見です。
針生検で病変を「外している」と思います。
「何が原因で起こるのですか?私が閉経前の年齢なのと関係しているのでしょうか」
⇒冒頭でコメントしたように、
「リンパ球の浸潤」とは「強い乳腺症」や「癌」などの「きちんとした病変の周囲」に普通に存在する所見であり、何ら意味はありません。
「リンパ球の浸潤があると、なぜ癌になる可能性に繋がるのですか?」
⇒リンパ球の浸潤など何の意味もありません。
(これは私の推測ですが)
担当医はが「針生検で病変が上手く取れなかった(病変を外した)」が、「画像所見では癌を疑っている」ので、そのようにコメントしているだけだと思います。
「今後ずっと半年ごとに検査しなければいけないのでしょうか」
⇒きちんとした診断を受けるべきです。
「大きな大学病院」とありますね。
大学病院は「若い医師が診療技術を学ぶ場」なのです。
私は、つい最近にも「大学病院で針生検までして、乳腺症と言う診断」となり「6ヵ月後に来てください」と言われ、「6ヵ月を待たずに腫瘍が増大し」癌でした。という患者さんを診療しました。
♯ QandAを注意深く読んでもらえば、その内容にたどりつく筈です
○私は、この件で「断定的なことを言う」つもりはありません。
ただ、質問者に「自分の身は自分で守って欲しい」のです。
仮に、「半年後に癌だと判明」しても、その担当医は(そもそも、大学病院のことだから、もう居ないかもしれませんが)
「リンパ球の浸潤がある場合は、癌になる可能性があると思ったんだよ」とか「半年後経過を見ていてよかったですね」などと涼しい顔をして言うかもしれません。
そのような事態で不利益を被るのは(この担当医ではなく)「質問者自身」なのです。
○もちろん、「結局は良性」で「私の心配は杞憂に終わればいい」と願ってはいますが、半年間そのままにするのは正しい事だとは思いません。
もっと「きちんと診断できる」医師に診てもらってはどうでしょうか?
(良性なら)「100%良性だから心配ありません。検診でいいですよ」となれば安心ですし、
(もしも癌なら)「半年間放っておくよりも、確実に早期発見」となるのです。