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術前化学療法

[管理番号:13282]
性別:女性
年齢:42
病名:
症状:
投稿日:2025年12月12日

田澤先生、こんにちは。こうした質問の場を設けていただきとても感謝します。
ヨーロッパ在住です。
11月末、トリプルネガティブ乳がんと診断され、治療方針を説明されたのですが本当にそれでいいのか分からず質問させていただきました。

現在までの流れ
①今年6月 エコー&マンモ
14x13x15mm
線維腺腫と言われる

②10月 エコー&マンモ
痛みとサイズ変化を感じ再検査
24x23mm
急速に増大していて生検をすすめられ大きい病院へ

③11月 エコー&マンモ 、生検、MRI
トリプルネガティブ乳がん
MRI
・右乳房内下部(深部)に 結節
26 × 23 × 31 mm
・周囲が造影され中心は低い不均一造影パターン
・大胸筋に約2 cmの範囲で浸潤
・乳頭から 5 cm、皮膚から 18 mm → 皮膚浸潤なし
・他の部位に疑わしい病変なし(多発・両側なし)
・腋窩・内胸リンパ節:腫大なし

生検(病理結果)
・浸潤性乳癌(NST)
・グレード2
・生検で確認された腫瘍径:13 mm(採取片ベース)
・Ki67:50~60%

担当医師からの説明(11/28)
ステージ2
化学療法?免疫療法2.3ヶ月→手術。
抗がん剤が効きやすいタイプの癌なので、腫瘍が小さくなったり消失する可能性もあるが、どちらにしても手術で全摘出。(胸が小さく乳頭の近くにあるため)
これから2、3週間の間に遺伝子検査、CT、心臓超音波検査をするとのこと。その検査結果が出た後に腫瘍専門医から説明があるようです。

不安に思う事
・大きくなるスピード
大きい病院へ移動した際、過去の検査結果などを見せた最初の担当医は定年退職し、
新しい担当医に診断結果を告げられました。彼女は大きい病院での結果だけ見て過去の結果を見ていないように感じられました。というのも彼女は大きくなるスピードはそんなに早くないと言っていたのですが、個人的には早いのでは?と思っていること。

・あまり体力に自信がないということ。

・どちらにしても全摘出であること。
他の方の質問回答と照らし合わせてみたり、先生の動画を見てどちにしても全摘出なのならリスクも考えて手術先でもいいのではと思うように。私自身も全摘出で問題ありません。

・時間がかかること。
日本では診断から治療までどれくらい時間がかかるのかわかりませんが、こちらでは公立医療を利用しているため時間がかかるように感じています。無料で診てもらえているのでありがたいのですが‥担当医から質問があればメールでと言われてここに書いたことを送っても、1週間以上たっても未だ返信がありません。そんなに急ぐ必要がないのであればいいのですが‥

質問
私のケースでは、術前の化学療法+免疫療法を先に行うのが適切と聞いていますが、本当にそれで良いのでしょうか。
MRIでの大胸筋に約2 cmの浸潤には術前化学療法の方がいいのでしょうか?
あまり関係ないとすれば、上記に挙げた不安を考慮すると手術だけを日本で先に行う選択肢もあるのではないかと思っています。その場合、先生のところで手術を来年の1月または2月にお願いすることは可能でしょうか?
先生のご意見をぜひお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

QA内容の本題とは外れますが…
まず最初に一言(言わずにはいれません)

線維腺腫と言われる→急速に増大していて生検をすすめられ大きい病院へ→生検、ト
リプルネガティブ乳がん
というこの流れ「こそ」まさに
今週のコラム 526回目 エコー所見で「線維腺腫」として経過観察→癌だった! これは深刻な事態と言えます』を見ていただければ解るように、私が危惧している
大問題なのです。

それでは以下、回答に移ります。

質問
私のケースでは、術前の化学療法+免疫療法を先に行うのが適切と聞いていますが、
本当にそれで良いのでしょうか。
→『今週のコラム 499回目 術前抗がん剤の闇と影 抗癌剤を知り尽くした乳腺外科医の憂い』をまずはお読みください。

その中で(後半に記載した)以下についてご理解いただくといいでしょう。

「患者さん自身が希望していないのに」何故、そうも術前抗がん剤をゴリ押しするのか?
そこには(以前、掲示板にも挙げましたが)2つの臨床試験(前者がTN、後者がHER2type)をよく知ることが必要です。
その上で、本当に自分にとって術前抗がん剤は必要だ!と思えるのであれば、その時こそ(その患者さんにとっては)正しいと言えるのだと思います。
★対象がトリプルネガティブ乳癌である、臨床試験KERNOTE-522があります。
本来「転移再発」にしか適応がない免疫チェックポイント阻害剤である
「pembrolizumabを術前抗がん剤としてなら使える(だからpembrolizumabを使うため
に術前抗がん剤が正義だ)」とした、かなりトリッキーなものですがそれを根拠に
「術前抗がん剤はトリプルネガティブでは最早標準!」と思っているようです。
    ↑
  上記ご理解いただけましたか?
 そもそも論として「抗がん剤は術前に行っても術後に行っても予後は同じ」という大原則があります。
そのうえで「免疫チェックポイント阻害剤を(再発でもないのに)使える」という理由だけで「トリプルネガティブ乳癌には術前抗がん剤一択」として、それを望んでいないかもしれない患者さん全てに有無を言わせない。
そんな風潮が「大変、遺憾なことながら」あるのです。

★★本来は、その患者さんの個々の「状況」や「希望」などに寄り添うべきだと、そう思いませんか??

MRIでの大胸筋に約2 cmの浸潤には術前化学療法の方がいいのでしょうか?
→寧ろ、それであれば「きちんと手術して(その部分の)大胸筋も合併切除:大胸筋全部を切除する必要はありません。あくまでもその部分を適切なマージンをつけた範囲のみの切除が必要」べきです。

★★★ 術前抗がん剤の罪の部分として「(術前抗がん剤により)一見浸潤部分が無くなってしまい、その後の手術でその部分の大胸筋を切除しなかったことで、(実際は細胞レベルで残存していた)癌細胞が後に「局所再発する大きなリスク」となりえることは、むしろ重要です。
      ↑
  これは、上記コラムで「問題点」としてコメントしている部分です。

あまり関係ないとすれば、上記に挙げた不安を考慮すると手術だけを日本で先に行う選択肢もあるのではないかと思っています。その場合、先生のところで手術を来年の1月または2月にお願いすることは可能でしょうか?
→可能です。
通常で1か月半、(緊急性がある場合には)土曜日枠など使い約「1か月」が手術待ち期間となっています。
現時点で1月中には手術は可能です。

海外在住だから、(帰国しての手術には)かなり大きな負担であることは承知の上でコメントさせてもらうと…

先生のご意見をぜひお聞かせください。
→癌は進行性であり、「時計の針を戻せない」最たるものなのです。

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(回答が公開されてから2週間後)
2025/12/29
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