［管理番号:843］
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生はじめまして。
中学生の頃から乳頭付近にしこりがあります。
その後18年ほど経過し、2011年健康診断でエコーのみですが要検索となりました。
大きな総合病院で診察したところ、線維線腫と診断され、翌年健康診断で同様の検索を、しましたが昨年の結果からそのまま放置してました。
このとき針生検はしませんでした。
服が触れる度に乳首が引っかかる感じがして癌かもしれないと不安になり先月終わりにクリニックへ行きました。
マンモ、エコー(2回)、して、結果は癌の可能性は極めて低く、良性の線維線腫の可能性が高い。
ただしこりも大きく3年前から1.5㎝ほど大きくなっており、現在5.6㎝ほどです。そのため葉状腫瘍の可能性もあるため針生検をすることになりました。
夏休みなどもあり、針生検は8月末なので結果が出るのは9月になるかと思います。
先生にお聞きしたいのはこんなに間が空いて問題ないのでしょうか？
また、マンモやエコーで癌の可能性は低いとのことですが、針生検の結果やはり癌と診断されることはあるのでしょうか？
葉状腫瘍の場合は摘出だとおもいますが、線維線腫だとしてもこの大きさの場合、先生なら摘出勧めますか？
ご意見を伺いたいと思いご連絡させていただきました。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

　こんにちは。田澤です。
　「１８年前からある」しこり
　３年前から「4.1cm ⇒　5.6cm」に増大しているとのこと。　要注意です。
　葉状腫瘍については諸説ありますが、「線維腺腫と診断」されて数年後に「急激に増大」するパターンは確かに存在します。

回答

「こんなに間が空いて問題ないのでしょうか？」
⇒針生検など、すぐに（その日のうちに）してしまえばいいと思いますが…
　長い経過から考えて、「１カ月位遅くなること」は今更問題とは言えません。
 
「マンモやエコーで癌の可能性は低いとのことですが、針生検の結果やはり癌と診断されることはあるのでしょうか？」
⇒ありません。　癌とは容易に区別できます。
　「この大きさ」で「癌と葉状腫瘍（もしくは線維腺腫）の区別ができない」ことは到底考えられません。
　♯5mm以下とか小さいうちは区別は困難ですが…
　「線維腺腫と葉状腫瘍」は形が似ているばかりか「病理組織像での区別も時に困難」なのですが、「癌」とは「形も病理組織像も」全く異なります。
 
「葉状腫瘍の場合は摘出だとおもいますが、線維線腫だとしてもこの大きさの場合、先生なら摘出勧めますか？」
⇒当然「摘出」を勧めます。
★針生検をする意義は、あくまで「摘出する際のマージンの付け方を判断する目的」です。
　線維腺腫なら、「マージンは不要」
　葉状腫瘍（良性）なら「確実なマージン」
　葉状腫瘍（境界悪性）なら「1cm以上のマージン」
　葉状腫瘍（悪性）なら「2cm以上のマージン or 乳房切除も考慮」
　○但し「針生検ではしばしば、葉状腫瘍を線維腺腫と誤診（それくらい似ているのです）」されるケースがあるので、私なら「5.6cmの腫瘍であれば、針生検で線維腺腫と診断されても、確実なマージン」をつけた手術をします。