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病理から

[管理番号:812]
性別:女性
年齢:41歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:967「化学療法閉経とならなかった際の妊娠」

 
 
田澤先生、いつもブログを有難く拝見させていただいております。お忙しい中すみません。よろしくお願いします。
私の病理と治療内容の結果から、再発率、またはあとどれ位は元気で生きれるか、田澤先生の今までのご経験や感覚で教えて頂きたく思っております。
〈病理〉:ステージ2b.径28×20×12mm .リンパ節転移 3/11.リンパ管に1コ.グレード1.Ki-12%
〈治療内容〉:温存手術(断面陰性).抗がん剤EC、ドセタキセル(三週おきに各4回)、放射線治療、タモシキフェン(予定10年)
現在、治療はタモシキフェンのみで一年目です。どうぞ率直な意見をお聞かせ下さい。
*また、癌がリンパ管に入ったということは、同時に血管にも入ってしまってる可能性はやはり高いのでしょうか。リンパ管と血管は同じような入り込みやすさなのでしょうか。(質感、場所等)未知の世界なので少しでもイメージしたく思い質問させて頂きました。どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT2(28mm), pN1(3個), luminal A
 ATLAS試験の長期予後結果によりタモキシフェン10年投与となってますね。
 それでいいと思います。
○一つ気になるのは、「EC⇒DTX」投与後ですが、「化学療法閉経」となってますか?
 もしも(生理が復活していたら)LH-RHagonistの併用が有効です(SOFT試験)

回答

「私の病理と治療内容の結果から、再発率、またはあとどれ位は元気で生きれるか、田澤先生の今までのご経験や感覚で教えて頂きたく思っております」
⇒Adjuvant!Onlineで計算すると、再発率は13%となります。10年生存率は90%以上となり私の経験と一致します。
 タモキシフェン10年投与により「10年以降の晩期再発の抑制も期待」できるので「天寿をまっとうできる」と思います。
 
「また、癌がリンパ管に入ったということは、同時に血管にも入ってしまってる可能性はやはり高いのでしょうか」
⇒「リンパ管に1コ」という記載は「ly 1+」のことでしょうか?
 心配ありません。
 記載していないところを見ると、血管侵襲は0(v0)なのでしょう。
 
「リンパ行性転移」と「血行性転移」は別物です。
 
「リンパ管と血管は同じような入り込みやすさなのでしょうか」
⇒これは全く違います。
 「ly3+でv0」とか「ly0でv3」など様々です。
 リンパ節転移はあくまでも「局所」なので、血行性転移(遠隔転移)とは別物です。
 
 

 

質問者様から 【質問2 病理から: 感想と質問】

田澤先生、お忙しい中敏速なご回答を本当にありがとうございました。
そしてそのご回答は思いのほか嬉しい内容で、術後で1番気持ちが晴れ渡っております。
私は性格上、考えても仕方ない再発率などがどうもすごく気になる性分で、普段死の恐怖で精神が疲れ気味でありました。
ステージ2の再発率のネット上で知れる過去のデータ20~30%、それに私は2b
なので多めの25%~ほどの再発率なのかと思っておりましたが、田澤先生の感覚からではもう少し良いのですね。これは過去より単純に生存率の成績が上がってきているという事なのでしょうか。
万が一血管に癌が入っても、おおよそどこかで死滅してしまうものなのでしょうか。再発率からそのような明るいイメージが浮かび上がってまいります。
今後私は、くよくよ考えず、もし生理が戻ったらLH-RHagonistの併用を行い、最低タモシキフェン10年を服用し、前向きに明るく生きていきたく思います。そしてもしこの先いつか再発してしまったら、その時にまた考えればいいのですよね。
やっと心の整理がつきそうです。質問できて嬉しかったです。ありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 ご理解いただけて、よかったです。
 必要以上に「自分の状況を深刻に考える方」が多いのは痛感していますが、「乳癌が予後が良い」ことは紛れもない事実です。

回答

「25%~ほどの再発率なのかと思っておりましたが、田澤先生の感覚からではもう少し良いのですね。これは過去より単純に生存率の成績が上がってきているという事なのでしょうか」
⇒ネット上のデータが「どの時代のどのデータ」なのか、不明ですが
 私が回答したデータはAdjuvant! Onlineによるものです。
 このデータと「そのネット上のデータ」の乖離の原因としては、「質問者がグレード1ということと、EC⇒DTXを施行している」ことにありそうです。
 
○グレード1であること
 例えば、同条件でグレード3であると再発率は28%(+15%)となります
○EC⇒DTXをしている
 例えば、ホルモン療法だけだと25%(化学療法による上乗せ効果は12%)となります
★ザックリと「ステージ2Bの再発率」とすると、「グレードや術後療法が様々なものが混じったデータ」となるのです。