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ホルモン療法について教えてください

[管理番号:12396]
性別:女性
年齢:52
病名:浸潤性乳管がん ルミナルA pT1N0
症状:
投稿日:2025年01月12日

先生、いつも乳がんについてたくさんのことを教えてくださり、ありがとうございます。
このようなサイトがあることに心から感謝いたしております。

質問が2つあります。教えていただけませんでしょうか。

昨年11月下旬、部分切除を受けました。浸潤性乳管がん ルミナルA pT1N0でした。
これからアロマターゼ阻害薬の内服を始めます。
納得して治療を続けていきたいと思っております。

この、ホルモン療法というものは、全身療法であり、遠隔転移や乳房内再発の予防のためとの説明を受けましたが、これについて、私はまだきちんと理解できていません。

がん細胞は血液などに乗って、全身に運ばれて、どこかに着床している可能性があるので、腫瘍は手術で切除してもらいましたが、切除より前に身体のどこかに着床していたかもしれないがん細胞が大きくなるのを遅らせたり、乳房内で再発したものが大きくなったりするのを遅らせるのがホルモン療法の効果ですか?

ホルモン療法でがん細胞はどうなるのですか?
消えるのですか?
それとも、一定期間成長が止まるため、再発を遅くできて、結果的にOSを良くすることができるということですか?

自分が受ける治療はきちんと理解して納得し、前向きに受けていきたいです。ホルモン療法で、がん細胞がどうなるのかを教えていただけませんでしょうか。

二つ目は、伯母が骨粗鬆症で骨折を繰り返し、寝たきりになり亡くなりました。骨粗鬆症は、もっと年をとってからは命やQOLに大きく関わってくるものだと思っています。骨量が低下してからでは上げることは難しいと聞くので、閉経していますが、このような理由で、最初からタモキシフェンを選択するというのは正しくないのでしょうか。

お忙しいところ、このような拙い質問で申し訳ありません。
ご教示いただけたら幸いに存じます。
何卒よろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

皆さんが陥りがちな「理屈の罠」に嵌っているようです。
薬物療法の性質を「単純化」するために「ホルモン療法=増殖を抑える(だけ)」そして「抗癌剤=細胞を殺す」と分けた方が説明がしやすいためにそのような記載があり、それを読んでしまうと
質問者のように「あれっ? ホルモン療法は癌細胞を殺さないってことは、結局(飲んでいる間だけ抑えているだけで)その後(抑えられていた)癌細胞が賦活するんだ!」となってしまいます。

事実は全く異なり、明確なイメージで言えば「抗癌剤は「みるみる」癌細胞が死んでいく、 ホルモン療法は癌細胞が増殖できなくなり、やがて「ゆっくり」アポトーシスに陥る」
つまり、もっと単純にいえば「そのスピードの違い」と理解するといいでしょう。

ホルモン療法でがん細胞はどうなるのですか?
消えるのですか?
それとも、一定期間成長が止まるため、再発を遅くできて、結果的にOSを良くすることができるということですか?

⇒上記通りです。
スピードの違いだけであり、現実に再発率を下げます。
♯再発率を下げるということは、ある一定の割合で癌細胞が(最終的に)再発せずに「死滅する」ことを証明しています。

二つ目は、伯母が骨粗鬆症で骨折を繰り返し、寝たきりになり亡くなりました。骨粗鬆症は、もっと年をとってからは命やQOLに大きく関わってくるものだと思っています。骨量が低下してからでは上げることは難しいと聞くので、閉経していますが、このような理由で、最初からタモキシフェンを選択するというのは正しくないのでしょうか。
⇒シンプルに…
骨密度が低下したら、denosumabを併用(半年に1回の注射)すればいいのです。
タモキシフェンはタモキシフェンで(無論、無害ではなく)子宮に対する直接作用により「子宮体癌のリスクを上げる」のです。

どうしても「骨粗しょう症も嫌だし、(かといって)denosumab注射も嫌。 子宮体癌のリスクが上がるのももっといや」となれば無治療を選択することとなります。
♯無論、上記を理解された上でその選択はアリです。(それを絶対に許さない主治医がいるとしたら、それは完璧な誤りです)

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/2/4
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