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局所再発と内胸リンパ節転移(疑い)を局所治療せずホルモン治療で良いのか?

[管理番号:12362]
性別:女性
年齢:48歳
病名:左乳房局所再発、内胸リンパ節転移疑い
症状:痛みなし。ホルモン治療による副作用で軽いホットフラッシュ。
投稿日:2025年01月06日

田澤先生、スタッフの皆さま
いつも参考になる乳がん治療の情報をありがとうございます。

現在、局所再発と内胸リンパ節転移(疑い)の治療中です。
ホルモン治療(リュープリン注射、タモキシフェン服用)をしています。

主治医からは、ホルモン治療で腫瘍とリンパ節転移(疑い)が縮小するか様子を見たいとの事で
局所治療(手術、放射線)をせず、ホルモン治療だけしています。
今回の局所再発が分かった当初は左乳房全摘手術と同時再建手術の予約までしており、方針転換でキャンセルとなりましたので主治医も迷われたようです。
ホルモン治療を始めて9ヶ月経ちました(2024年1月現在)。

先生のYoutubeや似た症例のQ&Aを拝見しましたら
局所治療をしなくて良いのか?と少々疑問に感じました。
主治医はホルモン治療のみという方針ですが、田澤先生はどのように判断されますでしょうか。
セカンドオピニオンに近い内容で恐縮ですが、お返事いただけましたらありがたいです。

以下、経過と治療内容など詳細をまとめました。
参考になさってください。

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【初発 左乳がん】

38歳 2024年
左乳房に乳がん見つかる

腫瘍サイズ:10×9mm
場所:左乳房(内側下方)
組織診:
ルミナールA
ER 100%強、PgR 100%強、ki-67 20-30%
脈管侵襲:陰性

~治療内容~
部分切除(温存手術)
センチネルリンパ節生検(陰性)
放射線治療
ホルモン療法(挙児希望の為、2年間のみ実施。生殖医療を受けるも挙児に至らず)

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【局所再発と内胸リンパ節転移(疑い)】

48歳 2024年3月末
左乳房に1箇所、内胸リンパ節転移(疑い)1箇所

~診断結果~

★左乳房に局所再発

腫瘍サイズ:7mm
場所:左乳房(外側下方)
針生検結果:
ルミナールA
ER 95%以上、PgR 99%強、ki-67 10-15%

★左内胸リンパ節転移(疑い) 1箇所
サイズ:5mm大
生検をしていないが、PET-CTで集積が認められ、転移の可能性が高いとの事

遠隔転移なし
実施した検査:針生検、造影剤MRI、PET-CT、超音波

~治療内容~

ホルモン療法10年予定
タモキシフェン服用、リュープリン注射(月に1回)

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【主治医の治療方針】

▼左乳房局所再発について

初発と場所が少し離れているので、新たに出来たがんの可能性が高い。
初発同様にルミナールAで大人しいタイプなので、慌てて手術しなくても大丈夫との事。

▼内胸リンパ節転移(疑い)について

その位置から、初発乳がんでのがんが内胸リンパ節に出てきたものだろうと推測される。
生検も手術も肋骨や大切な血管、肺が近いため、ハイリスクで困難な為、避けたい。
放射線治療は初発時に照射している為、今回はできないとの事。

▼これまでの治療結果と今後の方針

以上の理由で、すぐに手術せずに、まずはホルモン療法で腫瘍と内胸リンパ節転移(疑い)の縮小を狙うことに決まりました。
現在、ホルモン治療9ヶ月経ち、左乳房の腫瘍サイズは1~2mm縮小。
リンパ節転移(疑い)は1mm程度、僅かに縮小しました。
主治医には3ヶ月に1度エコーで腫瘍とリンパ節のサイズを測っていただいてます。
ホルモン治療の効果がでているので、このままホルモン治療を継続するそうです。

手術はいつかした方が良いが、それがいつかは断言できず時期を決めることは難しいとの事。
ホルモン治療を10年間行った後かも知れないと言われました。
左乳房の腫瘍だけを手術しても、
リンパ節には残る為に根治にはならず、得策ではないと事でした。

以上です。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

よくある「消極的治療」であり、私には全く理解できません。

乳腺に癌を置いておいても(いずれ薬剤が効か無くなれば)そこから「新たな転移の原因となる元凶」にすぎず、手術しない理由がありません。
胸骨傍リンパ節ですが、(転移だと仮定したとして)本当に照射できないのか?(初発手術時の)照射マップを検討すべきです。(可能であればトモセラピーで狙うのが最適)

また全身治療としても「ホルモン療法単独」というのは(そもそも)「ガイドライン的に不適切」であり、「CDK4/6阻害剤を何故併用しないのか?」
ますます(全てにおいて)消極的な治療といえ、患者さんの立場に立って「どうしてほしいのか?」が全く考慮されていないことにとても(新年早々)悲しい思いです。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/1/21
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