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小さいですが浸潤がんです

[管理番号:734]
性別:女性
年齢:45歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1160「医療ミスと放射線治療について

 
 
45歳、未婚、出産歴なしです。
毎年行っている定期検診で、昨年12月に石灰化があると診断され、半年間はとりあえ
ず様子見でした。今年6月の検診で石灰化の数が増えているとのことで、別の病院で
詳しく診ていただきました。
検査内容は、マンモ、エコー、MRI、マンモトーム生検など。
結果は、7ミリの浸潤がんとの診断を受けました。それまでは、乳管内にとどまって
いる非浸潤がんの可能性が高く、顔つきも悪くなさそうと言われていたので、浸潤が
んと言われてショックを受けています。(わずかでも乳管の外に滲み出ていれば浸潤
と言うそうですね)
これから予定を決めて手術するのですが、抗ガン剤や放射線治療は受けたくありませ
ん。
手術のみで完治が可能なのか、食事を気をつければ症状が改善されるのか、などご教
示いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 石灰化ですね。
 「昨年12月時点」で「半年間様子見」などされなければ、「非浸潤癌の状態」で見つかったかもしれません。
 お気持ち、お察しします。
○最初に行った病院(経過観察を選択した病院)に、もしも「ステレオガイド下マンモトーム生検」があり、「早期発見の重要性を知っている医師」が居たら、少々事情は変わっていたでしょう。
 質問者に言っているのではなく、このブログを見ている方(特に石灰化で経過観察
と言われている方)に注意喚起をしたいのです。

回答

「結果は、7ミリの浸潤がん」「抗ガン剤や放射線治療は受けたくありません」
⇒「7mm」という大きさが「どういう測定」なのか不明(マンモトームの標本上で7mm
あったのか、石灰化の範囲なのか、MRIでの測定なのか)ですが、
 本当の腫瘍の大きさ(最大浸潤径)は「術後に判明」します。
 ○抗がん剤の適応
・最大浸潤径が5mm以下:(抗がん剤の適応は)「ありません」
  
・最大浸潤径>5mmの場合
①ルミナールA:(抗がん剤の適応)は「ありません」
②ルミナールB:(抗がん剤の適応)が『あります』
③トリプルネガティブ:(抗がん剤の適応)が『あります』
④HER2タイプ:(抗がん剤の適応)が『あります』
○放射線照射の適応
・乳房温存術(部分切除)であれば「必ず術後照射」を行います。
・乳房切除術(全摘)であれば、放射線照射は行いません。
 ★つまり、「最大浸潤径≦5mm」もしくは(最大浸潤径>5mmでも)「ルミナールA」であれば、「抗がん剤は不要」となり、術式として「乳房切除を選択」すれば、「放射線照射は不要」となります。
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
 ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高
値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と
分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
 ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 
「手術のみで完治が可能なのか」
⇒腫瘍径が十分小さいので「可能」だと思います。
 但し、前述したように「再発リスクを少しでも下げるために」ルミナールタイプな
らばホルモン療法は必須であるし、「最大浸潤径>5mm」の場合には(ルミナールA
以外では)抗がん剤も推奨されるのです。
 
「食事を気をつければ症状が改善されるのか」
⇒残念ながら、「有効な食事療法」はありません。
 癌は「糖尿病や高血圧、心臓病などの生活習慣病」とは異なり、「生活習慣だけで
は治せない」ものなのです。