[管理番号:670]
性別:女性
年齢:35歳
こんにちは。いつも参考にさせていただいています。
5月20日にしこりに気付き6月25日に左乳房切除手術をしました。
癌の場所が乳頭に近い事や私自身が温存を希望しない。すぐ手術して欲しいと言ったこともあり初診から1ヶ月たたずに手術になりました。
手術後の結果は
①腫瘍大きさ 2.1
②静脈侵襲 -
③リンパ管侵襲 -
④センチネルリンパ節転移 0/2
⑤グレード 3
⑥Her2 -、ER -、PgR -
⑦ki-67 90%
先生からは顔つきが悪い癌であること年齢が若い事から化学療法は絶対と言われました。私自身も少しでも再発率が下がるのであれば、どんなことでも頑張りたいと思っています。来週から抗がん剤をする予定にしていますが、35歳という年齢でトリプルネガティブであること親戚に乳がん、子宮癌の人がいる事からBRCA遺伝子変異ではないかと心配しています。
乳腺の看護師さんには、抗がん剤も終わって落ち着いたら遺伝子検査するのもいいかもと言われました。
BRCA遺伝子変異であれば予後はかわってくるのでしょうか??
BRCA遺伝子変異乳がんについてネットをみてもよく分からず困っています。
まだ子供が3歳と小さい事もあり、予後がとても心配で主治医に相談しても、そんなに心配しなくてもいいよ~と軽い感じで終わってしまいます。トリプルネガティブでグレード3もしかするとBRCA遺伝子変異かもしれなのに本当に心配しなくても大丈夫なのでしょうか??予後はどんな感じになりますか?
ki67 90%あることも心配と主治医に言ったところ逆に抗がん剤が効きやすいはずと言われました。本当ですか??
お忙しいところ恐れ入りますがお時間空いた時にお返事いただけると嬉しいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
35歳でトリプルネガティブ、親戚に乳癌(子宮癌は関係ありませんが)であれば、「BRCA遺伝子変異の可能性」はあります。
回答
「BRCA遺伝子変異であれば予後はかわってくるのでしょうか??」
⇒大規模臨床試験がされているのではないので、良く解ってはいませんが、「予後不良の可能性」は示唆されています。
ただ、「サブタイプ」以上に「ステージが重要」であることを忘れてはいけません。
質問者は十分に早期なのです。
「トリプルネガティブでグレード3もしかするとBRCA遺伝子変異かもしれなのに本当に心配しなくても大丈夫なのでしょうか??予後はどんな感じになりますか?」
⇒「BRCA遺伝子変異」を必要以上に心配する必要はありません。
乳癌(に限らず、全ての癌)は「遺伝子変異」によって引き起こされます。
BRCA乳癌は「ただ、最初から(特定の)遺伝子変異をもって生まれた」というだけで、他のタイプの乳がんも「別の遺伝子変異」を起こしているのです。
予後に関しても、通常の「トリプルネガティブ早期乳癌」として考えればいいのです。
「ki67 90%あることも心配と主治医に言ったところ逆に抗がん剤が効きやすいはずと言われました。本当ですか??」
⇒抗がん剤が効き易い可能性はあります。
「Ki67は癌細胞の細胞分裂期にある割合(%)」ですから、「DNA合成や細胞分裂」にターゲットを持つ(一般の)抗がん剤が効き易いとは思います。
質問者様から 【質問2 遺伝子検査の必要性】
早速ご回答ありがとうございました。
BRCA遺伝子変異であることをすごく心配していたのですが、そもそもみんな遺伝子変異だと知って少し気持ちが楽になりました。
後何点か先生の意見を聞かせてください。
①先生ならBRCA遺伝子変異である可能性がある場合、遺伝子検査を進めますか?看護師さんからは右の乳房が癌になる可能性があると言われました。遺伝子検査を受けて遺伝子変異だった場合予防の為にできることはあるのでしょうか?
もし乳房を予防により切除する場合は保険適用ですか?
②サブタイプよりステージが大切との事ですが、私の場合ステージⅡだと思いますがこのステージでサブタイプがトリプルネガティブの方で無再発の方は先生が診察している中で結構いらっしゃいますか?同じステージでも再発してる人のほとんどがトリプルネガティブじゃないかと心配しています。
お忙しいところ恐れ入りますがお時間空いた時にお返事いただけると嬉しいです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
トリプルネガティブ乳癌ですね。
あまりにも「余計な情報操作」されているようで、可哀想に思います。
回答
「先生ならBRCA遺伝子変異である可能性がある場合、遺伝子検査を進めますか?」
⇒私は勧めません。
ご自身で「対側乳腺や両側卵巣」を注意深く検診するべきです。
今の日本では、環境が整っていないので「高額の検査費用」がかかります。
もしも、「遺伝子変異陽性だった」際のケアも不十分となります。
・「対側乳腺」の他に「両側卵巣」の癌発生リスクが問題となります。
もし、予防的に摘出をしようと考えたとしても、保健医療とはなりません。
結果的には、(手術をせずに)厳重に経過をみる事になるとしたら、(検査をしない場合と)あまり変わらないのです。
「遺伝子検査を受けて遺伝子変異だった場合予防の為にできることはあるのでしょうか?」
⇒予防的(乳房切除や卵巣卵管切除)or タモキシフェン内服です。
ちなみに「検診」も勧められますが、これは予防ではなく「早期発見のため」です。
「もし乳房を予防により切除する場合は保険適用ですか?」
⇒保険適応ではありません。
自費では国内でも行っている病院はあります。
ちなみに、「予防的(対側)乳房切除」よりも「予防的卵巣卵管切除」の方が推奨されています。
なぜなら、乳癌は体表なので早期発見が比較的容易であるのに対し、卵巣癌は「発見しにくく、発見した時には進行している」可能性が高いからです。
「このステージでサブタイプがトリプルネガティブの方で無再発の方は先生が診察している中で結構いらっしゃいますか?」
⇒再発はそうはありません。
再発率は10年で20%以下となりますが、その数値はルミナールタイプと比較して8%程度高くはなります。
実感としても「その程度の違い」でしょう。
「再発してる人のほとんどがトリプルネガティブじゃないかと心配しています。」
⇒全くの誤解です。
乳癌に占めるルミナールタイプが70%、トリプルネガティブが20%として計算すると
100人の内70%を占めるルミナールタイプの10年再発率8.3%で 70×0.083=5.81(人)
100人の内20%を占めるトリプルネガティブの10年再発率16.6%で 20x0.166=3.32(人)
つまり、実際には(多くの割合を占める)ルミナールタイプの方が再発する人数が多いのです。
私の実感でも再発した人に占めるルミナールタイプが多いです。(全体が多いのだから当然です)
○質問者はきっと「ネットで馬鹿馬鹿しいサイト」を見てそのような誤解をしているのでしょう。
私は、無理に「そのようなサイトを見てはいけない」とは言いません。
ただ、私のサイトを見るのであれば「そのようなサイトとは比較せずに」私を信じてもらいたいと思います。