[管理番号:653]
性別:女性
年齢:38歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
こんにちは。6月末、右乳房にしこりを見つけ、エコー&マンモでも確認し2㎝と1㎝弱の浸潤癌と言われました。他に石灰化等もあるし、切り取る範囲を考えると温存するより全摘の方が良いとのことでした。
全摘に関しては、仕方ないと諦めもついているのですが、こちらの他の方のメールを読むと皆さん色々な数字を担当医から聞いているようなのですが、私はその場で画像の説明を受けただけで手術の準備に入っていて、大丈夫なのかと不安になってしまいました。
核グレードとかも聞いておらず…
今、分かっているのは
①造影剤を使ってMRIをとり右乳房に確かに影がある。リンパには影無し。
②CTは造影剤を使わず上腹部と胸部のみ。「今の状態で転移はまず大丈夫だと思うよ」と。
③リンパは手術中にセンチネルリンパ節生検をして判断。2㎜以下なら今はとらない。
④抗がん剤かホルモン療法かは術後判断。
セカンドピニオンも考えたのですが、行動に移すタイミングがわからず。次に病院へ行くのは今月24日に入院説明までありません。
手術前に数値を知らないままで良いのか?と突然不安になってしまいました。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私から逆にお聞きしたいのは「針生検」をしているのでしょうか?
もしかして「細胞診しかしていない」としたら、「組織型も核グレードもサブタイプも解りません」その場合には「術後標本」で判定することになります。
回答
「①造影剤を使ってMRIをとり右乳房に確かに影がある。リンパには影無し。」
⇒MRIの目的は「腫瘍の拡がり」目的です。
「確かに影がある」では何の意味もありません。
ただ、今回は「2つの腫瘍」と「石灰化」を根拠に「全摘を勧めている」わけですから、それに納得できれば「MRI所見」は寧ろ不要とも言えます。
「②CTは造影剤を使わず上腹部と胸部のみ。「今の状態で転移はまず大丈夫だと思うよ」と。」
⇒正しい見解です。
遠隔転移は考える必要は全くありません。
「③リンパは手術中にセンチネルリンパ節生検をして判断。2㎜以下なら今はとらない。」
⇒これも正しいやり方です。
ただ、術前に「超音波でリンパ節の確認している筈」ですが…
いずれ、センチネルリンパ節生検を行うのは必須です。
「④抗がん剤かホルモン療法かは術後判断。」
⇒やはり針生検をしていないのでしょうか?
組織診断が行われていなければ「サブタイプは不明」であり、「術後療法の方針も不明」となります。
術後に、「摘出標本でサブタイプを判断するつもり」のようです。
「手術前に数値を知らないままで良いのか?」
⇒当然の疑問です。
ただし、「術前化学療法の適応」が無ければ「術前にサブタイプや核グレードを知る必要」は必ずしも無い事も事実です。
担当医も『術前化学療法の適応(小さくして温存)が無いので、サブタイプは術後で十分』と確信犯となっているようでもあります。
○手術そのものには「サブタイプや悪性度は不要」なのです。
ちなみに「多発」とか「石灰化部分」とかであれば、「術前抗がん剤をしても、温存は適応外」となります。
質問者様から 【質問2】
こんにちは。
「細胞診」しかしていないですか?とのことでしたが、2㎝の方は組織診をしています。
所見という欄に
右乳房針生検
「しっかりとした検体は3体で、そのほぼ全体に浸潤性乳管癌を認める。N/C比の高い異形細胞が胞巣状ないし腺管構造をとり、間質の繊維化を伴って浸潤性に増殖している」と記入があるのみです。
1㎝弱の方は、「たぶん大きい癌の子供みたいなものだから細い針だけでいいと思うよ」とのことで細胞診となっています。
細胞所見に
乳腺(針生検)class5陽性
Ductal carcinoma
塗沫標本所見
Amount of cellular components(++)、Erythrocytes(++)、Neutrophils(+)、Lymphocytes(+)、
Atypical cells:
Number of atypical cells:many
所見には
「N/C比と細胞密度が共に高く、二相性の欠如した異型腺上集塊が多数みられます。個々の細胞の核は腫大し、不整やクロマチンの増量、明瞭な核小体を伴っています。乳管癌を考慮する細胞像です」と記入されています。
MRIの説明の時に先生は「心配だった左乳房には影がないよ」と。私は右リンパの方が心配で「リンパにはありませんか?」と伺いました。その時に「写ってないから大丈夫だと思うよ」だったのです。
エコーは最初に紹介状をもっていった時に2回目のエコーをやっていただいています。たしかその時もリンパは大丈夫と言われたかも知れませんが、緊張ではっきり覚えていません…。
毎回主人も同席しているのですが、サブタイプや核グレードは聞いてないよ、と。
血液検査の後に「何か分かったことってあるんですか?」と伺ったところ「手術中に何かあったときの為の血液検査だからね」と。
3女が今年5歳でまだまだ死ねない!と全摘の決断は早々に決め、もし抗がん剤治療が必要なら受けますと決めたから教えてもらえないのか?と考えてしまいました。
子供の夏休み中に手術をしてくれるならこのまま手術したほうがよいのでしょうか?
今から転院やセカンドピニオンをしていたら手術がもっと遅くなってしまうのでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「組織診」をしていたのですね。
組織診の組織を用いてサブタイプを調べるのが一般的です。
回答
『所見という欄に「しっかりとした検体は3体で、そのほぼ全体に浸潤性乳管癌を認める。N/C比の高い異形細胞が胞巣状ないし腺管構造をとり、間質の繊維化を伴って浸潤性に増殖している」と記入があるのみ』
⇒確かに核グレードの記載もありません。(通常は、記載があるべきですが)
サブタイプ(ER, PgR, HER2)の検索は追加で行っていないのでしょうか?(少なくとも、その話は出てはいないようですね)
「全摘の決断は早々に決め、もし抗がん剤治療が必要なら受けますと決めたから教えてもらえないのか?」
⇒確かに術前化学療法の適応が無いなら「サブタイプは術前には不要」です。
ただ、「結果が出ていたら」教えてくれる筈です。
時々、このQandAでもでてきますが、担当医が「サブタイプは手術摘出標本で行う」という方針なのかもしれません。
「子供の夏休み中に手術をしてくれるならこのまま手術したほうがよいのでしょうか?」
⇒やはり、一度「サブタイプについて」直接聞いた方がいいと思います。
案外「結果がまだ出ていないから話していなかっただけ(ER, PgR, HER2はやや遅れて結果がでるのです)」かもしれません。
「今から転院やセカンドピニオンをしていたら手術がもっと遅くなってしまうのでしょうか?」
⇒その可能性はあります。
資料を用意するのに「暫くかかる」でしょうから。
○担当医が信頼できるのであれば(全摘ときめているのならば)手術先行で何ら問題ありません。