[管理番号:10826]
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉癌
症状:
投稿日:2022年12月27日
乳癌と診断されてから、田澤先生のコラムやQ&Aを拝見させて頂いております。
11月(中旬)日に手術を終え、病理診断結果そのまま載せています。
検体:左乳腺 乳癌病巣数:1病巣
切除術:Bt+SNB 125×120×38㎜ 占拠部位:左upper-outer(C)区域
腫瘍径:21×20×12㎜ 腫瘍径:in situ ca含む:38×37×22㎜
組織分類:invasive lobular carcinoma
核異型スコア:1、核分裂スコア:1⇒核グレード1
腺管形成スコア:3,核異型スコア:1,核分裂スコア:1
⇒組織学的グレードⅠ
ER:Allred PS5 IS3 TS8,100.0% Score 3b
PgR:Allred PS5 IS3 TS8,100.0% Score 3b
HER2:Score1
波及度:f,リンパ管侵襲:Ly0, 静脈侵襲:V0
in site ca+,EIC-
リンパ節転移:合計(1/2)
SNB(1/2)
UICC 8版:pT2 pNmi M0 Stage ⅡB, 規約18版:pT2 pNmi M0 Stage ⅡB
緩い結合の索状の異型上皮浸潤を認めます。
乳管をskipするような像が散見され、浸潤性小葉癌と考えます。
浸潤巣が多巣性にみられました。
センチネルには微小転移を認めます。
in situ成分としては、LCIS相当とDCIS相当の両方が見られました。
8時方向にはアポクリン嚢胞が見られました。
術前の病理診断ではki-67:17%
術後の病理診断では、行っていないようです。
その後、オンコタイプDXでの検査をして以下の結果が出ました。
再発スコアRS 8
9年遠隔再発率 11%
上乗せ効果 明らかな上乗せ効果なし
定量的単一遺伝子スコア
10.6ER陽性
8.4PR陽性
9.9HER2陰性
でした。
ちなみに現在不順になってはきているのですが、まだ閉経前です。
主治医の先生は、タモキシフェンを使用して、副作用を見てからLH-RHアゴニスト製剤をしてみましょうかとおっしゃっていました。
質問1.閉経前であることと微小とはいえ転移があっても化学療法はしなくてもよいのでしょうか。
私自身は、子供もまだ小さいので、再発、遠隔転移のリスクを最大限に少なくする事が最大の希望です。
なので、抗癌剤治療が最善であれば受けたいと思っています。
質問2.全摘手術でしたが、Stage ⅡBだと転移なくホルモン治療であったとしても放射線治療を行っている方がいるのですが、放射線治療を行わなくても良いのでしょうか。
手術中にはリンパ節に転移を認められなかった為、郭清は行っておりません。
質問3.オンコタイプDXでの9年遠隔再発率がRSスコアの数字と比較して、高めのように感じたのですが、それは小葉癌の性質からなのですか。
それとも転移をしているからなのでしょうか。
質問4.術前のエコー検査では13.1㎜の腫瘍だったのに、21㎜の診断にショックを受けました。
短期間で急激に大きくなる事があるのでしょうか。
毎年マンモグラフィーとエコーで検診を受けていたので、
この大きさになるまでわからなかった事がショックです。
コラム269回目も拝見させてもらいました。
pN1の閉経前ですと閉経前と閉経後の違いは「卵巣抑制にあるはず」派と化学療法推進派の方々では意見が分かれており、
病院でも、化学療法の有無は医師でも半々に分かれると思うので、最終的には患者さんの希望ですと言われて、本当に悩んでおります。
田澤先生でしたら、その後の予後、再発などを踏まえて、どういった治療を選択しますか。
適格なご意見を率直にアドバイスをくださる先生のお考えをお聞きしたく、よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
今週のコラム 269回目を読んでいるのであれば話は早い!
(以下、コピペ)
閉経前と閉経後の違いは「卵巣抑制にあるはず」派 (私も) ⇐この「私も」の記載に注目してください。
閉経前では RS -25 TAM+LH-RHagonist RS26- 抗癌剤推奨 ⇐と、いうことで結論はコレです。
Tamoxifen + LH-RHagonistとしましょう。(無論化学療法は不要)
照射も不要
以上。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/1/12
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質問者様から 【質問2】
全摘術後の経過と診察内容について
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉癌
症状:術前から続く術後の脇と脇横の痛み
投稿日:2023年2月27日
いつも拝見しております。
2022年11月に小葉癌の為、全摘手術を行っています。
12月に先生に術後治療の選択を質問しました。
その節はご多忙にもかかわらず、ご意見をいただきありがとうございました。
先生のご意見に従い、まずタモキシフェン、2023年2月よりリュープリンを追加してのホルモン療法を開始しております。
今回は続くリンパ節の痛みについてのご意見を拝聴したくお願いします。
術後3か月の診察で、小葉癌で対側にも新規で発生しやすい事、微小転移ながらリンパ節にも転移していた事、現在も全摘側の脇と脇横の痛みが強く、少し腫れている感もあるので、(手術をする前から発生側の脇横が痛かったです)超音波での診察を希望しました。
しかし、担当医の先生はガイドラインに則って行っており、頻繁に診ても5ミリ以内は結局はじかれてしまう。
痛みはよくあることですとの回答のみで、触診もせずに診察は終わってしまいました。
今更ですが、現在通院している病院のチーム制の医療体制にも疑問を持ってしまいました。
(質問1)
脇と脇横(リンパ節のあるところ)の痛みは全摘後3か月経ってもずっと痛いものなのでしょうか。
転移や取り残しということはないのでしょうか。
(質問2)
宣告された時は早く手術をして取らなきゃと焦り、じっくりと病院の選択が行えませんでした。
今の病院で信頼して長く治療を行っていけるのか不安です。
手術は他院で行ってしまいましたが、術後経過観察からでも先生のところに転院は可能なのでしょうか。
(質問1)と(質問2)のご回答をよろしくお願いします。
ようやく暖かな気候になりつつあります。
先生も季節の変わり目、ご体調を崩さぬようご自愛下さい。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
まず、リンパ節転移に痛みはありませんよ。(痛みとリンパ節転移を関連付けること自体、まったくナンセンス!)
(質問1)
脇と脇横(リンパ節のあるところ)の痛みは全摘後3か月経ってもずっと痛いものなのでしょうか。
転移や取り残しということはないのでしょうか。
⇒リンパ節転移と痛みとは全く無関係ですよ。(冒頭参照)
(質問2)
手術は他院で行ってしまいましたが、術後経過観察からでも先生のところに転院は可能なのでしょうか。
⇒市川外来では「同じような方」が山ほどいらっしゃいますよ(皆さん考えることは同じなのです)
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/3/6
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