[管理番号:609]
性別:女性
年齢:58歳
人間ドックで石灰化を指摘され精査した結果、右乳腺C領域に非浸潤がんが見つかり、6月9日に摘出手術(部分切除)を受けました。3泊4日の入院で、退院後は翌日から普通の生活が可能と言われ、仕事にも復帰しています。
病理検査の結果は、2mmの浸潤部(グレード1)があったものの、断端陰性で、あとは放射線治療のみで大丈夫と言われました。(ER+(PS5 IS3) PgR+(PS5 IS2) HER2:2)
ガン自体については比較的早期だったようで、あまり心配していません。
目立たないように、脇に近い部分を切ってもらったのですが、術後自分の体を見たら、内出血のひどさに驚き、傷口も非常に汚く、手術が上手ではなかったのではないかと疑ってしまっています。
さらに退院後ぐらいから手術した乳房は2倍ぐらいに膨れ上がり辛く、退院10日後の外来まで待てずに受診し、体液等を抜いてもらう処置を何度か受けています。すでに手術から3週間近く経っているのに、まだ傷口からはじくじくと液が出て、ガーゼが必要です。
現在は内出血部分はだいぶ少なくなってきましたが、相変わらず乳房の大きさは1.5倍ぐらいで、右乳房から脇にかけて固く、パンパンに腫れた部分は張って痛みがあります。
主治医は「これはいずれ体に吸収されるし、絶対にきれいに治るから」とは言ってくれますが、これだけ術後の回復が遅いのもあまり例がないようなことを言います。
この状態がいつまで続くのか不安ですし、手術が失敗だったのではないかとも思ってしまいます。
このような例はよくあることなのでしょうか?
3ヶ月後までに放射線治療を始めればよいとのことで、とにかく溜まったものを抜きながら様子を見ていけばよいのでしょうか。
お教えいただけると幸いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「術後経過」御苦労されているようで、お気持ちお察しします。
回答
「このような例はよくあることなのでしょうか?」
⇒普通はありません。
ただし、「大学病院で若い医師が手術」した場合には、それ程珍しくはありません。
私も15年位前「東北大学病院時代には(自分自身も含めて)良く目にしました」
「3ヶ月後までに放射線治療を始めればよいとのことで、とにかく溜まったものを抜きながら様子を見ていけばよいのでしょうか。」
⇒感染(化膿)しない限り、それで大丈夫です。
いずれは改善する筈です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生ありがとうございます。
大学病院とは一言も書かなかったのに、大当たりです。
まさしく、私が手術を受けたのは大学病院で、診察をしてもらっていたのは病院教授だったのですが、手術自体は若手医師2人の執刀になってしまいました。
手術に対する不信感はぬぐえないのですが、今、壊死している傷口を切り取って、ついでに貯留物を取り除き、縫い直そうという話が出てきました。
これでうまくいくでしょうか。
(もう信じるしかないのですが…)
とりあえず、前回の先生の回答で、納得できた気がします。
焦らず治すように、そして放射線治療を受けて、乳癌とさよならがしたいと思っています。
ありがとうございました。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
やはり「大学病院」でしたか。
でも世の中には「大学病院で手術をする事が素晴らしい」と信じている方が多い訳ですから不思議なものです。
「大学病院」や「多くの若手医師が集まる有名大病院」は「若い医師の教育の場」なのです。
回答
「今、壊死している傷口を切り取って、ついでに貯留物を取り除き、縫い直そうという話が出てきました」
⇒質問者には気の毒な状況です。
それ程の状況であれば、デブリードマン(この処置の名称です)は「治癒への近道」だとは思います。
○癌の根治性には影響しないので、頑張ってください。
質問者様から 【質問3】
先日はありがとうございました。
7/1(乳がん手術は6/9)に、傷口の縫い直し処置を外来で受けました。
壊死した皮膚を切り取り、ついでに貯留物を押し出した(吸い取った?)上での縫合処置で、なんでも血液がゼリー状になっていたとかでした。
どれぐらい出せたのかはわからないのですが、張って苦しかったのは随分楽になりました。
ただ、まだ張っていた部分は硬いのですが、それは皮膚が厚くなってしまったからで、やがて改善されていくだろうという説明を受けました。
今更の感じですが、現在小さなドレーンが入っています。処置の際洗浄した水や、まだ溜まっているものが出るだろうということでです。
水曜日夜から1日に3回ほどガーゼを自分で交換しているのですが、
ガーゼには薄い黄色の排出液の他に、赤い血の色の排出液も、かなり染みこみます。
月曜日(7/6)にはドレーンを抜くと言われていますが、前のことがあるので、ドレーンを抜いてしまったら、また貯留して張ってきてしまうのではないかと心配です。
あと、血の色の液(もちろん薄い色ですが、赤いです)は、先日の処置では取れなかった血腫が溶けて出てきていると考えるのが妥当でしょうか?
どこかから新たに出血しているなどとは考えなくても大丈夫でしょうか。
(実は、手術したのは右乳房外側でしたが、術後から右乳房内側が痛く、以前はとにかく張っていたので、その影響だろうと思っていたのですが、いつまでも痛いので気になっているのです)
また、癌のほうですが、主治医からステージについては聞いていないのですが、非浸潤がんで浸潤部分が2mmというと、やはり0期ではなく、1期というのでしょうか?
私の場合、放射線治療が予定されているのですが、ホルモン療法は必要なしということで大丈夫でしょうか。
細かい内容に丁寧にお答えいただき、感謝しております。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「血腫除去+再縫合」大変でしたね。お気持ちお察しします。
回答
「血の色の液(もちろん薄い色ですが、赤いです)は、先日の処置では取れなかった血腫が溶けて出てきていると考えるのが妥当でしょうか?」
⇒そうだと思います。
血腫は長時間体内にあると皮膚とか筋肉にしみ込んでいるので、除去しても、じわじわ滲み出てくるのです。
術当日とか、翌日なら私にも経験があります(ここ数年は無いですが…)
「どこかから新たに出血しているなどとは考えなくても大丈夫でしょうか」
⇒大丈夫です。
術後1カ月も経って、新たな出血などありえません。
あくまでも過去の(手術当日の)出血の筈です。
「術後から右乳房内側が痛く」
⇒血腫による圧迫の影響だと思います。
「非浸潤がんで浸潤部分が2mmというと、やはり0期ではなく、1期というのでしょうか?」
⇒そうです。1期です。
pT1a(2mm), pStage1期となります。
「放射線治療が予定されているのですが、ホルモン療法は必要なしということで大丈夫でしょうか」
⇒大丈夫です。
必要かどうかは別として
ホルモン感受性陽性なので、「ホルモン療法」の適応はあります。