[管理番号:10136]
性別:女性
年齢:42
病名:右乳房浸潤性乳管がん
症状:
投稿日:2022年3月8日
いつも乳がんプラザを拝見し、大変勉強になっております。
右乳房乳がんにより、2020年12月末に部分切除を行いました。
<病理結果>
・腫瘍サイズ2.1cm
・ホルモン受容体陽性
・HER2陰性
・センチネルリンパ節へ微小転移(1/1)
・Ki67 10%
・脈管侵襲なし
乳がんの治療薬として、がん細胞増殖を抑える経口分子標的薬であるベージニオ(アベマシクリブ)は、
「ホルモン受容体陽性で、かつHER2陰性(HER2陽性より再発リスクが高い)の早期乳がん。」が対象という認識でいます。
さらに再発リスクが高いという条件に、腋窩リンパ節転移1~3個という条件がありますが、
センチネルリンパ節への微小転移の場合はこの1個にカウントされますか?(対象でしょうか?)
また、服用にあたって推奨年齢等はありますか?
ベージニオ服用により、明らかに浸潤性無再発生存率が高くなったというエビデンスを目にしたので、
再発してからでは服用できないことから、対象である場合は、主治医にベージニオについて話をしてみようと思います。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
まずは『今週のコラム 321回目 abemaciclib 術後補助療法参上! 再発治療とは異なりインパクト特大!です。』を熟読してください。
(以下、抜粋)
〇 適応(これが重要です)
luminal(HER2 陰性)であること。
リンパ節転移4個以上陽性 or リンパ節転移1-3個及び「腫瘍サイズが5cm以上もしくはグレード3」
⇒質問者は(微小転移とはいえ)「リンパ節転移1個」なので、該当するとすれば上記の「後者」となりますが…
もう一つの条件である「腫瘍サイズが5cm以上、もしくはグレード3」という条件に該当するのか?確認が必要となります。
質問者様から 【質問2 】
ベージニオとイブランス
性別:女性
年齢:42
病名:右乳房浸潤性乳管がん
症状:
投稿日:2022年3月15日
回答いただきありがとうございます。
『今週のコラム 321回目 abemaciclib 術後補助療法参上! 再発治療とは異なりインパクト特大!です。』読みました。
コラムでも該当するのであれば推奨するようなことが書かれてあったので、この新薬はとても期待していい薬なのですね。
日々、乳がん治療法が増えることに、大変嬉しく、まだまだ頑張ろうという気持ちになります。
Her2陰性であることが条件のようですが、
her2陽性だとより効果が期待できる分子標的治療薬阻害があるため、her2陰性のほうがハイリスクとなるのでしょうか?
>もう一つの条件である「腫瘍サイズが5cm以上、もしくはグレード3」という条
件に該当するのか?確認が必要となります。
私は、
・腫瘍サイズ2.1cm
・グレード1
になります。
そうすると適用外ということになりますか?
また、ベージニオとイブランスとの違いは何でしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
Her2陰性であることが条件のようですが、
her2陽性だとより効果が期待できる分子標的治療薬阻害があるため、her2陰性のほう
がハイリスクとなるのでしょうか?
⇒誤解です。
薬剤の適応はあくまでも「臨床試験のデザイン」によるのです。
★無論、HER2陽性の場合には強力な「抗HER2療法」があるので、(それを混ぜて臨床試験をデザインしてしまうと)CDK4/6阻害剤による効果がマスクされる(つまり有効性が証明できない)ことは感覚的に容易に想像できますよね?
私は、
・腫瘍サイズ2.1cm
・グレード1
になります。
そうすると適用外ということになりますか?
⇒その通りです。
また、ベージニオとイブランスとの違いは何でしょうか?
⇒同じCDK4/6阻害剤です。
下記(添付文章より)参照を
パルボシクリブはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6に対して阻害活性を有する低分子化合物である。パルボシクリブは、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、網膜芽細胞腫(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている
アベマシクリブはCDK4及び6に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、retinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
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