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ki67について

[管理番号:545]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生こんにちは
ルミナルbとわかり、もうすぐ温存手術します
ホルモンはどちらも90%、her2陰性、ki67、80%
腫瘍は脇に近い場所で、2センチ、リンパ節に
転移1つ2センチ近いです。
MRIでもリンパ節にその1つのみ確認できましたが、
他にもある可能性はあるのでしょうか。
Ki67が高すぎるので、手術後に化学療法、放射線、ホルモン
療法と言われています。
Kiが高いとグレードも3でしょうか。
手術まで1か月待つ間、転移が怖いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
cT1c, cN1, cStage2A, luminal B(Ki67=80%)となります。

回答

「MRIでもリンパ節にその1つのみ確認できましたが、他にもある可能性はあるのでしょうか」
⇒超音波やCTでの評価はどうなのでしょうか?
 MRIでの評価は感心できません。
 超音波やCTで「1つしか腫大」が無ければ「転移は一つだけの可能性の方が高い」です。(私の感覚では70%程度)
「Ki67が高すぎるので、手術後に化学療法、放射線、ホルモン療法と言われています。」
⇒「Ki67が高すぎる」からというのは、正確な表現ではありません。
◎St.Gallen(2015)の考え方からするとluminalA/Bの境目はKi67 30%位です。
 「Ki67が30%以上だから」化学療法をやるのであって、「80%という数字には大した意味」はありません。
 あまり80%にこだわる必要はありません。
 ネットなんかでは「Ki67」にこだわっていますが、ほんの「10年前」にはKi67なんか誰も気にしていなかった訳です。(勿論、測定もしていませんでした)
「Kiが高いとグレードも3でしょうか。」
⇒可能性は高そうです。
(参考に)
核グレードは核異型+核分裂です。
Ki67は「核分裂期にある細胞の割合(%)」を示しているので「Ki67≒核分裂」と言えます。
つまり、「Ki67=80%ということは、おそらく核分裂スコアは3点」だと推測されます。
⇒ここで核異型(弱い:1点)であれば、核グレード2となりますが、核異型が(中間~強い)であれば核グレード3となります。

  • 核異型 
    弱い:1点
    中間:2点
    強い:3点
     
  • 核分裂 
    5個未満(10視野で):1点
    5~10個(10視野で):2点
    11個以上(10視野で):3点
     
  • 核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
    2点、3点 :核グレード1 
    4点    ;核グレード2
    5点、6点 :核グレード3
     

「手術まで1か月待つ間、転移が怖いです。」
⇒大丈夫です。
 その程度の期間では心配ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
お忙しいところ、質問に答えて頂きありがとうございます。
手術を控えていますが、MRIをしたのが1ヶ月前です。増殖力が強いため、リンパ節転移が大きくなってないか、また増えていない
か心配です。たまに脇も痛くなります。
胸の腫瘍の大きさはエコーよりMRIの方が数字が大きいですが、実際どちらが近いのでしょうか。
ホルモン受容体、ki数値共に高く、リンパ節転移があるため、遠隔転移が心配で、先が不安です。
先生でしたら、どのような治療をすすめられますか。
治る可能性もあるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 cT1c, cN1, cStage2A, luminal B(Ki67=80%)でしたね。

回答

「MRIをしたのが1ヶ月前です。増殖力が強いため、リンパ節転移が大きくなってないか、また増えていないか心配」
⇒1か月程度なら心配はありません。
 「増殖力が強い」とは、Ki67=80%の数値からの連想だとは思いますが、「その程度」では殆ど変りありません。
 
「胸の腫瘍の大きさはエコーよりMRIの方が数字が大きいですが、実際どちらが近いのでしょうか」
⇒エコーの方が「サイズ計測」では正確だと思います。
 MRIは「腫瘍の周囲の変化(非腫瘍性)」も含めてしまうことがあります。
 
「ホルモン受容体、ki数値共に高く、リン パ節転移があるため、遠隔転移が心配で、先が不安」
⇒まず「ホルモン受容体が高い」ことは「心配材料ではなく」安心材料です。
 Ki67は「細胞分裂=増殖能」をみているものであり、「遠隔転移」とは直接関係ない数値です。
 また、「リンパ節転移はリンパ行性転移」であり、これも「血行性転移=遠隔転移」とは全く異なります。
 遠隔転移に関しては、「このくらいの乳癌」では、大丈夫です。
 安心して結構です。
 
「先生でしたら、どのような治療をすすめられますか。」
⇒温存術をした後、化学療法をします(TCx4回)
 その後、放射線照射(温存乳房)
 ホルモン療法は化学療法と併用して開始します。
 
「治る可能性もあるのでしょうか。」
⇒十分にあります。
 2A期であれば、10年生存率は80%位あります。
 
 

 

質問者様から 【質問3 病理結果】

田澤先生こんにちは。お忙しいところすみません。
思わぬ病理結果でお聞きしたく、宜しくお願いします。
ホルモン受容体陽性、her2陰性、ki67、41
ルミナルb,リンパ節転移5個
腫瘍径は、術前2,2センチでした。1か月前のMRI検査
やエコーでも腫瘍1つでした。
手術後、4センチの浸潤癌になっており、これは針生検
のときの影響で新たに癌が2つ出来て元の癌とくっついた
ようだと。針生検の通った場所と腫瘍の位置が一致
しているとのことです。手術を待つ1か月半の間にこのようなことが
起こり、主治医にも恐ろしい癌のように言われました。
手術の時のエコー画像を見せてもらうと、新たな癌が2つ
腫瘍近くに写っていました。
温存手術でしたので、癌は取りきれていると言われました
が、怖くて仕方ありません。化学療法後、全摘した方が
いいでしょうか。
FECとパクリタキセルが始まります。
ショックが大きく、前向きになかなかなれません。
治る可能性はあるのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 術前検査による評価と術後の病理結果が乖離する事は、時としてあります。
 画像診断能には限界があるので、ある程度仕方がありません。

回答

「手術を待つ1か月半の間にこのようなことが起こり、主治医にも恐ろしい癌のように言われました」
⇒本当かどうか解りませんが…
 「恐ろしい癌」などと言う事はありません。
 乳癌には「極端なもの」はありません。安心してください。
 
「化学療法後、全摘した方がいいでしょうか。」
⇒「温存術で取りきれていれば大丈夫」です。
 
「治る可能性はあるのでしょうか。」
⇒勿論あります。
 以下に示すように、再発率は28%となります。
 治療をする事で再発抑制効果が非常に高い(治療を行う意義が大きい)と言えます。
 
 事実を以下に示します。(術後の状態として)
①(治療をしなくても)再発しない群
②(治療をすることで)再発を免れる群
③(治療をしても)結局再発する群
 参考のために、質問者の状況でこれらがどの程度の割合になるのかと言えば
①が31%
②が39%
③が28%
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生こんにちは。
私は腫瘍も大きく、リンパ節転移も多く悪性度も高いので、主治医からは注意が必要と言われて、再発ばかりが頭をよぎり不安でいっぱいでした。
田澤先生に質問することで、頑張ろうという前向きな気持ちになれるので、本当に感謝しています。ありがとうございます。
今はウィークリーパクリタキセルをしています。
6回した後、1回休薬週があり、合計8回終了しました。
祝日と治療が重なる場合は、2週間後の点滴になります。私は先延ばしになるだけで、12回行うものと思っていましたが、私の場合、10回の投与になるそうです。普通はこの治療方法なのでしょうか。どうしても増やしたい場合は行えるようです。副作用は少なく、私は1回でも多い方が良いと思うのですが、田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。
この後のFECは4回あります。
宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
Weekly PTXですね。
毎週の通院治療は大変だと思いますが、「副作用と効果とのバランスがいい治療」と
言えます。

回答

「普通はこの治療方法なのでしょうか。」「田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。」
⇒通常は「延期になった分は、そのまま後にずれこんで」当初の予定量12回まで行う
と思います。
 私であったら12回行います。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生こんにちは。
気になる症状があるので、よろしくお願いいたします。
今年1月に半年の抗がん剤を終了し、1月末から、ホルモン治療、ゾラデックス、放射線を開始しました。
放射線は残すところ数回ですが、左鎖骨の2センチほど上、首の付け根に向かって触ると右側より盛り上がりがあります。
見た目は分かりません。
しこりというより、筋が腫れているような感覚です。
放射線で赤くなってきていますし、炎症でしょうか。
転移かと思うと辛いです。
治療を頑張ってきたのにこんなに早く転移するのでしょうか。
腰や肋骨、膝の痛みなどホルモン治療を始めてから時々あり、鎖骨上に転移していたら遠隔転移も考えなければならないのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「今年1月に半年の抗がん剤を終了し、1月末から、ホルモン治療、ゾラデックス、放射線を開始しました。」
⇒着々と進んでいますね。
 ご苦労様です。
 
「放射線は残すところ数回ですが、左鎖骨の2センチほど上、首の付け根に向かって触ると右側より盛り上がりがあります。見た目は分かりません。しこりというより、筋が腫れているような感覚です。」「放射線で赤くなってきていますし、炎症でしょうか。」
⇒放射線は「胸壁+鎖骨上」でしょうか?
 それであれば「赤くなったり硬くなったり」します。
 
「転移かと思うと辛いです。」
⇒転移ではありません。
 ご安心を。
 
「治療を頑張ってきたのにこんなに早く転移するのでしょうか。」
⇒全くありえません。
 心配のしすぎです。
 
「腰や肋骨、膝の痛みなどホルモン治療を始めてから時々あり、鎖骨上に転移していたら遠隔転移も考えなければならないのでしょうか。」
⇒「腰や膝の痛み」などは「ホルモン療法の副作用」です。
 絶対に「遠隔転移」ではありません。
 心配しすぎです。
 
 

 

質問者様から 【質問6】

田澤先生、お忙しい中いつもありがとうございます。
鎖骨上の腫れについて以前質問させて頂きましたが、再度宜しくお願いします。
放射線治療が終了し、10日ほど経ちました。
鎖骨上も照射し、左側の首は黒く乾燥してカサカサしてきました。
鎖骨上のくぼみの中央辺りを触ると筋肉のような少し膨らみがあり弾力のある部分があると思うのですが、左の照射側はその部分が少し硬く、右側より腫れている状態です。
痛みも首まわりや腫れた部分もたまにあります。
鎖骨下も腫れて硬いですが、放射線の影響でしょうか。
手術後の病理結果がかなり悪く、ステージも悪性度も高いため、転移を しているのではと心配です。
抗がん剤もしたのにと落ち込んでいます。
今度の診察が2週間後なので、様子を見ておいていいのでしょうか。
放射線後のエコーは期間をあけないといけないんでしょうか。
 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。
鎖骨上の照射後に、「その部位が硬くなる」ことは当然のこと」です。
「鎖骨上も照射し、左側の首は黒く乾燥してカサカサ」「鎖骨上のくぼみの中央辺りを触ると筋肉のような少し膨らみがあり弾力のある部分があると思うのですが、左の照射側はその部分が少し硬く、右側より腫れている」
⇒前回回答したように…
 照射しているのだから当然です。
 
「痛みも首まわりや腫れた部分もたまにあります。鎖骨下も腫れて硬いですが、放射線の影響でしょうか。」
⇒前回も回答したように…
 照射しているのだから当然です。
 
「手術後の病理結果がかなり悪く、ステージも悪性度も高いため、転移をしているのではと心配です。抗がん剤もしたのにと落ち込んでいます。」
⇒前回回答したように…
 「転移では無い」という私の回答を信じられないのであれば、このQandAで質問する意味があるのでしょうか?
 もしも、「あやしげな」ネットの情報を信じたいのであれば、このQandAを利用する意味が無いのかもしれません。
 
「今度の診察が2週間後なので、様子を見ておいていいのでしょうか。」
⇒前回の私の回答が信じられないのでしょうか?
 「何度、同じ質問をされても」私の回答は同じです。
 転移ではありません。 放射線照射しているのだから「当然の症状」です。
 
「放射線後のエコーは期間をあけないといけないんでしょうか。」
⇒エコーは「いつでも可能」です。
 心配であれば、明日にでも「エコーしてもらってください。
 
○心配な気持ちは解りますが…
 経験から、きちんと回答しているのですから、いくらかは信じてもらいたいものです。