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母が乳癌

[管理番号:477]
性別:女性
年齢:64歳
初めまして。
母が乳癌になりました。
母が去年の12月にシコリがある気がすると言ってたのですが、消えた感じがすると言ってから、半年やはりシコリがあると言われ検査に行き一通りの検査をして一週間後、癌と言われました。
組織?とかをとる検査をしました。
それから10日くらいで手術して退院と言われ他の転移を考えて検査をすると一週間にかけてCTやMRIなど検査をし昨日PET検査が終わりました。
その間、癌に関してシコリのサイズとか何も言われず母も私も不安に過ごしています。
看護婦さんに不安で聞いてみると先生からお話されるので…としか言われず、さらに不安になりました。
悪い方にしか考えれません。
過去に30年前以上に母は子宮頸癌になり子宮全摘出の手術をしたことがあります。
それから両脇の手術経験も若い時にあるみたいです。
1日には結果が出るのですが、こんなに何の説明がなく検査をするのですか?
そんなにシコリは大きくないみたいですが中がツッパリあるみたいなんです。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 乳癌といわれて心配される気持ち、お察しします。

回答

「癌に関してシコリのサイズとか何も言われず母も私も不安」
⇒信じられない診療です。
 担当医は「全ての検査が終わってから」みたいなつもりなのでしょうが、「患者さんの気持ち」を考えるべきです。
 
「悪い方にしか考えれません。」
⇒「12月にしこりを自覚」位であれば、それ程進行していないと思います。
 乳癌は「2~3年放置」しても「遠隔転移などは起こさない」事が多いのです。
 
「悪い方にしか考えれません。」
⇒「しっかりとした説明をなかなかしない」のは担当医の問題です。
 「10日くらいで手術して退院」というコメントからして「手術できるくらいの程度」であることは解ります。
◎本当に進行していれば、「まずは抗がん剤」という話が出る筈です。
 心配ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中
早急なお答えありがとうございました!
今日、検査結果が出てリンパ転移も遠隔転移もなくシコリは2cmくらいとのことです。
6月の15日~17日に手術を受けることになり温存か全摘かを11日に詳しく説明すると言われました。
あいかわらずステージとかは言われませんでしたが早期ですか?
母とは近くに住んでいないため母と立ち会った父から聞いたら、こんな感じの話しをされました。
乳癌は見えない癌が早期でも広がると聞いたので、まだ私だけは心配で仕方ないです。
術後検査で引っかかるのではと不安がまだあります。
術後の治療とかはあるのでしょうか?
出来れば再発をしてほしくないので再発予防はしてほしいと私は思っているんですが。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 状況がいろいろ判明してきましたね。
 それでは回答します。

回答

「あいかわらずステージとかは言われませんでしたが早期ですか?」
⇒早期です。
 「リンパ節転移無」と判明したので「2cmくらい」という表現から
 もしも、「腫瘍径が2cm以下ならば」1期
 「2cmより大きければ(2.1cmとか…)」2A期となります。
 ♯どちらにしても「十分早期」です。
 
「乳癌は見えない癌が早期でも広がると聞いたので、まだ私だけは心配で仕方ないです。術後検査で引っかかるのではと不安がまだあります。」
⇒大丈夫です。
 1期もしくは2A期の乳癌ならば、心配ありません。
 
「術後の治療とかはあるのでしょうか?」
⇒腫瘍の性質(サブタイプといいます)により「ホルモン療法」「分子標的薬」「化学療法」があります。 
 ♯ちなみに、放射線治療は「術式と関係」してきます。 「乳房温存なら術後温存照射」とか

◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで以下の4タイプに分けます。
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
● トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
 ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。

 
「出来れば再発をしてほしくないので再発予防はしてほしいと私は思っているんですが。」
⇒上記のように「サブタイプにより、ご本人に最適な治療を選択」することとなります。
 これは、「標準治療」であり、全国共通なので「安心して受けられます」
 
 

 

質問者様から 【感想3】

田澤先生。
本当に、ありがとうございました。
先生に丁寧に教えていただいたことが何よりも誰よりも安心できました。
母もホッとしてくれました。
近くに住んでいれば先生のとこに行きたかったです。
今後のことわかった時は、また報告させて下さい。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生。
15日、入院で16日に温存手術が決まりました。
温存手術で大丈夫なのか不安があります。
術後治療として抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法の3つをやることが決まりました。
これは先生が言う標準治療ですか?
再発?転移のリスクを減らす治療ですか?
私はやはり抗がん剤の副作用が心配です。
母は持病があり狭心症や高血圧に喘息があるのと、もともと免疫力が低いため風邪を良く引くので抗がん剤に耐えられるかが心配です。
抗がん剤治療で命を落とすようなことはあるのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 いよいよ来週の手術ですね。
 世の中には「診断まで、1か月も2か月!もかかる」病院がある中で、スムーズに手術まですすんでよかったです。

回答

「温存手術で大丈夫なのか不安があります」
⇒画像診断での「拡がり診断」が問題ないのだと思います。
 主治医を信頼してください。
 
「術後治療として抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法の3つをやることが決まりました。これは先生が言う標準治療ですか?」
⇒これは「サブタイプに応じた」術後補助療法、「標準療法」です。
 サブタイプについての記載がありませんが、主治医の説明は無いのでしょうか?
 「放射線療法」:これは「温存術とセット」です。温存して「術後放射線無し」はありえないのです。(手術で摘出した残りの乳腺を照射する=温存乳房照射)なのです。
 「抗がん剤、ホルモン療法」:これは全身療法です。
 これらをするという事は「luminal B」というサブタイプであることがわかります。(前回の回答を参照してください)
 
「抗がん剤治療で命を落とすようなことはあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 あくまでも「再発予防」目的なので、それほど「負担にかからない」ようにしてあります。大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生!
ご無沙汰しております。
今、術後治療中にやっと母に会うことができ診断書を見ることが出来ました!
リンパ節転移なし
ERとPgR ER+
HER2 3+
癌の浸潤経 2cm以下
脈管浸襲 なし
核異型度 1
でした。
これで解る感じですか?
放射線治療はなく抗がん剤+ハーセプチンとホルモン療法になりました。
今、抗がん剤を3週間おきに4回投与で2回目を終わって8月17日に3回目の投与があります。
HER2が3+だったので抗がん剤の再発予防治療になったみたいです。
この治療で再発とかの心配はないんでしょうか?
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 pT1c, pN0, NG1, luminal B(HER2+)
 十分な早期乳癌です。
 ホルモン療法陽性であり、アロマターゼインヒビター5年が標準となります。
 更にHER2陽性なので抗HER2療法(化学療法+ハーセプチン)は必須となります。

回答

「抗がん剤を3週間おきに4回投与で2回目を終わって8月17日に3回目の投与があります。」
⇒TC(ドセタキセル+エンドキサン)+H(ハーセプチン)を4回投与する予定なのでしょう。(その場合は、その後ハーセプチン単剤で14回行います)
 もしくはEC(ファルモルビシン+エンドキサン)を4回投与する予定なのでしょう。(その場合は、その後ドセタキセル+ハーセプチン4回、その後ハーセプチン14回となります)
 
「この治療で再発とかの心配はないんでしょうか?」
⇒極めて低リスクです。
 しかもluminal B(HER2+)は、とても治療効果が高いサブタイプです。
 もともと再発率は17%ですが、これがホルモン療法(8.6%減少効果)及び化学療法(3.2%減少効果)で、治療を全て完遂すると再発率は5.2%となります。
 
 
 

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