[管理番号:447]
性別:女性
年齢:51歳
先生、初めまして。
6年前に温存手術して、とても大人しいタイプということですっかり安心していた所、4月末に手術跡近くにシコリを見つけ、マンモ、エコー、CT、細胞診2箇所で同じ粘液ガンと分かり、MRI後全摘を勧められその場で6月半ばの予約を入れました。
手術を待っている内に本当に全摘しないといけないのか?リンパ郭清はするのか?取れば根治する可能性はあるのか?何ヶ月か様子を見てはどうか?と色々悩み始めてしまいました。
家族は取り敢えずセカンドオピニオンを聞きにいけとか陽線子治療は出来ないのか?と言います。
来週、手術前の最後の診察があるのでセカンドオピニオン用の書類をお願いしようかとは思うのですが言いにくく悩んでいます。
そこでこのHPを見つけ質問させていただいた次第です。
初回6年前のがんは
粘液がん(PURE type)、0.7×0.7cm、リンパ転移なし、ホルモンレセプター陽性、グレード1、ハーツー0、断片陰性
術後放射線25回、ノルバデックス服用していましたが卵巣が腫れたため1年半ほどでやめました。
今回、細胞診で粘液ガン。少し広がりあり。
ほぼ確定と言うことで私自身が断り、組織診はしていません。
お忙しいところ申し訳ありません。
よろしくお願いします。
(2015年5月の質問)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳房温存術後の局所再発」ですね。
初回手術が「pT1b, pN0, luminal Aで粘液癌、断端陰性」ですね。
もしかして「あまりに、安心できる状況のために術後照射を省略している」可能性さえもありそうです。
確かに、『すっかり安心してしまう状況』だったと思います。
回答
「本当に全摘しないといけないのか?」
⇒初回手術の際「術後照射」を施行していれば、『放射線照射は2度はかけられない』ので、原則「乳房切除」を選択します。
「少し広がりあり」というのはMRIの所見でしょう。
温存後に照射をできない状況では、「やはり、全摘出」するべきです。
★もしも、「初回手術で術後照射されていない」場合には話が違ってきます。
但し、この場合でも「2回目の温存」とすると「整容性(見た目の仕上がり)」に問題が出てきそうですが…
「リンパ郭清はするのか?」
⇒初回手術の際には「センチネルリンパ節生検」だったのでしょうか?
その場合には、「今回、画像所見で腫大が無ければ」郭清は不要です。
あくまでも「今回のケース」は「純粋に乳房内だけの」再発と考えて治療を勧めるべきです。(全身再発とは全く意味が異なります)
「取れば根治する可能性はあるのか?」
⇒十分根治の可能性があります。
あくまでも「局所再発」なので「そこをきちんと治療」すれば、大丈夫です。
「何ヶ月か様子を見てはどうか?」
⇒絶対に様子をみてはいけません。
様子を見て改善する事はありません。
「局所再発」の根治性は『如何に迅速に局所治療を満足なレベルで行うか』にかかっているのです。
決して「タイミングを逃してはいけません。」
「陽線子治療は出来ないのか?」
⇒誤りです。
局所療法は「手術」があくまでも主役であり、「陽子腺を含む放射線治療」は「手術不能な際の次善の策や、術後の仕上げ」という位置づけです。
『手術で取れるものを、敢えて不確実な放射線を行う』のは全く賛成できません。
◎「初回術後に術後放射線照射をしていなければ」再温存も可能です。(整容性の問題さえクリア―するのであれば)
ただし、『再再発などを防ぐには全摘が最も確実である』事も事実です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、早速のお返事ありがとうございました。
「十分根治の可能性がある」
初回「センチネルリンパ節生検」したので「今回、画像所見で腫大が無ければ」郭清は不要です。
と言っていただけて安心しました。
自分から進んで全摘にしてくださいと言ったのに周りに色々言われると迷い始めてしまっていたのが先生のお話でスッキリしました。
大学病院に行っているので疑問が起きても次の診察日まで担当の先生とはお話が出来ませんし
余り長くなってはいけないと遠慮してしまうので思ったことを聞けず不安な気持ちのまま手術日を迎えるところでした。
遠方なので田澤先生に診ていただくことはできませんがこんな風にすぐ答えてくださる先生が担当してくださったらなぁとつくづく思いました。
本当にありがとうございました。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
理解していただいて、ありがとうございます。
「局所再発」は「遠隔臓器への再発とは根本的に異なります」
ここが勝負どころです。
決して、機会を逃さずに、『最善の治療』を行ってください。