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ホルモン治療の期間について

[管理番号:8425]
性別:女性
年齢:63歳
病名:
症状:
投稿日:2020年3月31日

もうすぐ術後5年を迎えます。
主治医はアリミディクスの服用を終了する方針のようです。

乳がんは5年以降も再発が多いとの記事を読み、不安になりました。

副作用としては、指の関節の痛みと変形、疲れやすいなどありますが、どれも私の年齢ではありがちな程度で、骨密度の低下はありません。

止めれるものなら止めたい気持ちはありますが、再発のことを考えると迷います。

腫瘍径2センチ、リンパ節転移なしのギリギリステージ1ですが、MIB30%でTCの抗がん剤、温存手術のため放射線治療25回受けています。

田澤先生ならどういう判断をされるでしょうか?

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「もうすぐ術後5年を迎えます。
 主治医はアリミディクスの服用を終了する方針のようです。
乳がんは5年以降も再発が多いとの記事を読み、不安」

⇒以下に乳癌診療ガイドライン2018年版に追加された「追補2019」の内容を示します。

1.タモキシフェン5年投与後に、タモキシフェン5年追加は「強く」推奨される。
 ただし、リンパ節転移陰性など再発リスクが低い場合には効果(benefit)と有害事象(risk)のバランスを考えて行う★ 注 1 )

2.タモキシフェン5年追投与後に、(閉経していた場合)アロマターゼ阻害剤の5年追加は「強く」推奨される。
 ただし、リンパ節転移陰性など再発リスクが低い場合には効果(benefit)と有害事象(risk)のバランスを考えて行う★

3.アロマターゼ阻害剤5年投与後に、アロマターゼ阻害剤の5年追加は推奨される。 注 2 )
 ただし、リンパ節転移陰性など再発リスクが低い場合には効果(benefit)と有害事象(risk)のバランスを考えて行う★

注 1 )上記3パターンともに同じ文章★が併記されている
注 2 )上記1,2は「強く」推奨されるが、3は「強く」ではない。これは上記1,2が「再発率」及び「生存率」の両方を改善するのに対し、3は「再発率」のみ改善(生存率に有意差なし)している

〇質問者の場合は3のケースにあたり「ただし、リンパ節転移陰性など再発リスクが低い場合には効果(benefit)と有害事象(risk)のバランスを考えて行う★」に該当します。
 その意味では「risk-benefitのbalance」の評価となります。
 「骨密度の低下」もなく、「関節痛」が許容範囲ならば(相対的に)riskが下がるため、質問者自身が「有害事象は全然大丈夫です!」と申告すれば、主治医が「継続を断る」根拠はないのです。

◎今回のことは「あるあるQ]に登録します。

あるあるQ 62 ホルモン療法の「5年終了後の継続」については、『8425 ホルモン治療の期間について』をご参照ください。