[管理番号:8382]
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年3月15日
こちらのサイトに出会い、先生のアドバイスを見て私もアドバイス頂きたく質問させてください。
この数年乳癌検診は受診し、昨年5月に針生検をし線維腺腫と診断されました。
数カ月は自己検査?をしていましたが、シコリは無く忙しさに忘れてしまいました。
2月下旬左胸に痛みを感じ触れてみると大きめなシコリを感じ、針生検して貰ったクリニックで紹介状をいただき大きい病院に行き再び針生検をし乳癌と診断されました。
同場所らしいです。
HER2:2+(FISH追加中) ER:4
PgR:0 Ki67:50-60程度 核異型:3
核分裂像:1 との事です。
担当医はサイズが3cm強有るし術前化学療法は抗癌剤の効き目も確認できるので、術前化学療法をし小さくしてから部分切除が良いと勧めてくださいました。
こんなに早く大きくなるのでしょうか?
5月時はシコリも無く小さくてエコーで指摘されました。
先生でしたらどの様な治療方法をなさいますか?
似たような質問が沢山有るとおもいますが宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「昨年5月に針生検をし線維腺腫と診断」「同場所らしい」
⇒こういう記載を見ると…
最初に受診した医療機関が重要なのだと思います。
正直言って、(もしも質問者が)当院を受診していたら100%間違いなく、その時点で診断がついたわけです。
時々、このような記載を見るたびに、私が「生検枠」を創設し、「確定診断希望メール」を作った当時を思い出します。
「術前化学療法は抗癌剤の効き目も確認できる」
⇒これは「術前化学療法を行う」理由には全くなりません。
本来、化学療法の目的は「全身の再発予防」なので、(目に見える)「腫瘍に対しての効果で、再発予防効果を判断するのは誤り」なのです。
「術前化学療法をし小さくしてから部分切除が良い」
⇒これは、術前化学療法を勧める「唯一の理由」となります。
質問者が「できるだけ小さくして、温存したい」と希望するなら、これ(術前化学療法を行い、「ちいさくして」温存手術を行う)でいいと思います。
「先生でしたらどの様な治療方法をなさいますか?」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
もしも「全摘の方が安心」もしくは「温存にこだわらない」ならば、(術前抗がん剤などせずに)手術先行すべきだし、
「できるなら、小さくして温存したい」と考えるならば、(担当医の言うように)「術前化学療法すべき」となります。
ただ、注意点は
『術前化学療法が100%効果があるわけではない』という事実です。
少数ですが(術前化学療法を行っているうちに、腫瘍が増大したり遠隔転移が成立したりして)「手術不能」に追い込まれる例が現実にあるのです。
それを防ぐために(もしも術前化学療法を選択するのであれば)必ず3週間に1回(責任をもって)主治医にエコーをしてもらうことです。
それであれば(万が一、抗がん剤が効かずに腫瘍が増大したとしても)早期対応(準緊急手術)がなされるからです。(決して「術前化学療法放置」されないように気を付けましょう)
質問者様から 【質問2 】
乳房全摘同時再建 放射線治療等について
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年3月22日
先日は回答有難う御座います。
先生のアドバイスを受け、9ヶ月を無駄にしただけと暗くならずに 今の自分はどうしたいのかをしっかりと考えていきたいと思います。
まず今週 CTと骨シンチの検査を受ける予定です。
その結果を1週間後に
聞きに行くので、それまでに自分なりの方針を結果次第でいくつか決めておきたいと思います。
(抗癌剤治療はCTの結果を聞きに行った翌週から可能だとのことでした。)
そこでご相談です。
基本的には全摘同時再建(自己組織)術後化学療法の方向で考えています。
①CTは持病の慢性気管支喘息(現在大きな発作は起きなくなっています)があり造影はしません。
この判断は正しいですか?
造影をしない事で見落としが生じないですか?
担当医は、とても考えて下さり最終的に造影を無しにしてくださいました。
②CTで他に転移無しの場合、手術をしてみないと確定ではないと思いますが、全摘同時再建後の抗癌剤で放射線治療は省いて大丈夫ですよね…?
肌が弱く日焼けですぐ赤くなり痛み、水膨れが出来たりした事があったので出来れば避けたいと思っています。
(この事も有り全摘にしようと思いました)
③もしもリンパに転移がわかった場合、郭清をしても同時再建は可能ですか?
また、放射線治療が必要だった場合に同時再建したことで不都合は生じないでしょうか?
同時再建をしたい理由は、現在腰痛が有り手術後にバランスが崩れ腰痛が出る方がいると読み、今以上の腰痛は避けたいと思ったからです。
④もし他臓器に転移が有った場合(先生の他の方への以前の回答を読み、
可能性は低いと思っています)切除術後抗癌剤という流れでよろしいですか?
この場合は放射線治療も必要ですか?
⑤手術が出来る日迄に出来る治療等は有りませんか?
確定診断されてから治療開始まで、少し時間がかかっているように思えるのですが普通ですか?この間にも腫瘍は大きくなりリンパにも転移してしまっているのではないかととても不安です。
針生検をした時にリンパの細胞診をしていて、その時は正常もしくは良性でした。
不安な事は沢山有り、まだまだこれからもご相談したいと思っていますが 今は以上の事を宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「この判断は正しいですか?
造影をしない事で見落としが生じないですか?」
⇒そもそも遠隔転移の可能性は限りなく低く、必須ではありません。(当院では全く行いません)
(当然)造影しなくてはいけない理由がないのです。
「②CTで他に転移無しの場合、手術をしてみないと確定ではないと思いますが、全摘同時再建後の抗癌剤で放射線治療は省いて大丈夫ですよね…? 」
⇒原則としては、そうなります。(リンパ節転移が4個以上あった場合には照射が必要となりますが、現時点でその心配をする必要はないようです)
「③もしもリンパに転移がわかった場合、郭清をしても同時再建は可能ですか?
また、放射線治療が必要だった場合に同時再建したことで不都合は生じないでしょうか?」
⇒リンパ節転移があっても同時再建は可能です。
ただし、(エキスパンダーならば)インプラントへいれかえてからの照射となります。
「④もし他臓器に転移が有った場合(先生の他の方への以前の回答を読み、
可能性は低いと思っています)切除術後抗癌剤という流れでよろしいですか?」
⇒遠隔転移の状況次第です。(可能性は殆どありませんが)
もしも遠隔転移がsevereなら(その可能性は全くありませんが)抗がん剤で遠隔転移をコントロールしてから手術ということになります。
「この場合は放射線治療も必要ですか?」
⇒(遠隔転移と胸壁鎖骨上照射は)無関係です。
「⑤手術が出来る日迄に出来る治療等は有りませんか?」
⇒手術先行なら(その間の治療は)不要です。
3か月以上あるならホルモン療法をやってもいいですが、殆ど意味はありません。