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抗がん剤

[管理番号:6794]
性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:

こんにちは。

乳がんの病理結果がステージ2aとなりました。

まず、2aは早期でしょうか?
ほぼ非浸潤でしたが、浸潤がパラパラありました。
リンパ6個中1個だけ
2.1mmの転移がありまして、ホルモン剤治療、抗がん剤について、ぎりぎりの転移なので、先生はどうしょうかなという感じです。

先生から言われた病理結果を記載します。

一番大きい浸潤部分 0.8×1.7
核グレード2
エストロゲン 8/8 プラス
プロゲストロン6/8 プラス
HER2 0 マイナス
ki67は言われておりません。

また、術中のセンチネルリンパに一個だけ微小転移がありましたので、
サンプリングとして、リンパを四つ取ったようですが、いずれも転移ありませんでした。

後、よくわかりませんが、リンパ管の数字が3なので、放射線もしたほうがいいじゃないかということです。
果たして、抗がん剤と放射線は必須でしょうか?
私は今40歳で幼い子供が2人います。
抗がん剤と放射線は出来れば避けたいです。
オンコタイプDXの検査を受けたいのですが、
意味ありますでしょうか?
何卒よろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

物事は整理して考えなくてはいけません。

全身療法(ホルモン療法や抗がん剤)は「サブタイプ」で決まり(リンパ節転移は無関係)

局所療法(手術や放射線)にはリンパ節転移が関係しますが(全摘での)「放射線照射の適応は4個以上」です。

「抗がん剤について、ぎりぎりの転移なので、先生はどうしょうかなという感じ」
→全くナンセンス!

 「リンパ節転移があったこと」と、「抗がん剤が効果があるか?」は全く無関係。

「放射線もしたほうがいいじゃないかということです。」
→不要!
 リンパ節転移4個以上なら適応があります。

「果たして、抗がん剤と放射線は必須でしょうか?」
→放射線は不要。

 抗がん剤は(リンパ節転移とは無関係に)「サブタイプ」で決めましょう。

「オンコタイプDXの検査を受けたいのですが、意味ありますでしょうか?」
→勿論!

 Ki67を測定していないようなので、サブタイプ(ルミナールAなのか?Bなのか?)を調べるためにOncotypeDXを是非行ってください。

 
 

 

質問者様から 【質問2 抗がん剤】

性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:

田澤先生

早速のお返事、本当にありがとうございます。

本当は1週間後にならないととご質問できないと分かっておりますが、
明後日にまた病院に行きますので、抗がん剤を使うか否かについて、先生にどのような質問をすれば良いかと思って再度メールいたしました。

すみません。

1、今回はセンチネル節だけに2.1mmの転移が見つかったのですが、それでもリンパ転移として見なされるのでしょうか?

2、さっき病院に電話したら、今回はki67を調べていないということでした。
ki67の数値が当てにならないことが多いからとのこと。
そうでしょうか?

3、オンコタイプdx を受けたいと先生に伝えましたが、転移があるので、できませんと言われました。
果たしてそうでしょうか?

4、仮にルミナールBだとしたら、抗がん剤必須ですか?ホルモンの受容性が100%と75%て、ハーツ0で陰性なので、自分ではルミナールAだと思ってますが、違いますでしょうか?

5、lyの数字が3なので、放射線はやったほうが無難のようですが、必要ないですね?

6、先生は私が抗がん剤をやったほうがいいじゃないかと言った理由というのは、私が若いのと、ギリギリとは言え転移があること、できる治療があれば全部やったほうがいいじゃないかということのようです。。

本当の理由になりますか?

7、抗がん剤は嫌です。
何としても避けたい。

今ある情報で抗がん剤しなかったら、私は危ないでしょうか?

8、ホルモン剤単独でやる場合は、やはり10年じゃないとだめでしょうか?5年だと厳しいですか?
子宮ガンのリスク、わずかながらも心配です。
また、先生ならどんなお薬を使いますか?現状での再発率を教えてください。

9、抗がん剤や放射線を使った場合の再発率も教えて頂けませんでしょうか?

10、ルミナールBだとして、抗がん剤の代わりに喫煙をやめて、食事(甘いものとお肉はだめですか?)と生活習慣を改善し、再発を予防するのは無謀でしょうか?実際、乳がん宣告を受けて翌日から食事を改善し、毎日お湯に浸かって体の調子を整えたら、毎朝お通じも出るようになり、
周りの人にも顔色良くなったねと言われるようになり、自分では大変健康になっていると思います。

11、もしオンコタイプdx でルミナールBだと分かった場合の再発率について教えて頂けませんか?ホルモン治療に抗がん剤をプラスするのとしない時のです。
本当に抗がん剤恐ろしくてたまりません。

以上、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

前回の回答を読んでますか?
回答するよりも「重要なこと」を箇条書きにしたほうが理解しやすいこともあるので、今回は箇条書きにします。

1.全身療法はサブタイプによって決まる(リンパ節転移は無関係)
2.ルミナールタイプでサブタイプ(AなのかBなのか)を決めるためには(通常は)Ki67できめる。
3.(2でも決めれない=微妙な値)の場合にはOncotypeDXが勧められ
る。(そもそもKi67とは無関係にOncotypeDXしても問題はありません)
4.(全摘後の)放射線転移は「リンパ節転移4個以上」の場合である。
5.閉経前でもOncotypeDXの適応はある。(適応外だったのは古い時代)
6.ルミナールBでは「抗がん剤が効く=上乗せ効果がある」ので、やるべき
7.再発率は不明(ルミナールタイプではAかBなのかで変わってくるので不可能)、それを知りたかったら(尚更)OncotypeDXをしましょう。(ホルモン療法単独の場合の再発率とホルモン療法+抗がん剤の際の再発率の両方が解ります。)

上記を、是非「頭の中で整理」してください。(回答は全て、その中にあります)

 
 

 

質問者様から 【質問3 抗がん剤】

性別:女性
年齢:40歳
病名:
症状:

田澤先生

おはようございます。

先日はセカウントオピニオンをお伺いさせていただきました者でございます。
その節はありがとうございました。

オンコタイプdx の結果かでましたので、先生のご意見をお伺いしたくて
再度ご連絡差し上げました。

スコア29
5年間の再発率及び死亡率
タモキシフェン単独 17%
タモキシフェン?化学療法 14%

とほぼ先生の予想通りとなりました。

そこで、悩みましたのはスコア29とは中間リスクの中でも高いほうであること。
しかし、上乗せ効果は3%しかないこと。

主治医と色々相談しました結果、薬単独となりましたが、少し心配が残っています。

主治医の先生は10%以内に持っていくためには、食事と運動と仰っておりました。

私としては、化学療法の上乗せは5%以上、もしくは、再発率を10%以下に持って行けるのであれば積極的にやりたいと思っておりました。

先生へのご質問ですが、
1、先生は今回のオンコタイプdx の結果をどのように見てますか?
化学療法をお勧めしますか?

2、再発率を10%以内に持っていくためには、普段どのように気を付ければよろしいでしょうか?

3、抗がん剤は高リスクスコアになった人にとって全員効果ありですか?

4、5年間、再発しなかった場合、10年と20年後の再発率を教えて頂けますか?そもそも、5年間の17%の再発率をどのように受け止めたらいいでしょうか?

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「1、先生は今回のオンコタイプdx の結果をどのように見てますか?化学療法をお勧めしますか?」
⇒ご本人の感覚(上乗せ3%だから、しない)を尊重します。

「2、再発率を10%以内に持っていくためには、普段どのように気を付ければよろしいでしょうか?」
⇒ヘルシーな生活  これに尽きます。 つまり運動と低脂肪の食事

「3、抗がん剤は高リスクスコアになった人にとって全員効果ありですか?」
⇒物事はシンプルに考えましょう。

 「上乗せ効果が高い」=「抗がん剤をすることにより再発を免れる人の割合が高くなる」ということです。

 ★頭を整理しましょう。
   たとえば low risk Tam Alone 10% Tam + Chemo 10% これはlow riskの人100人に抗がん剤を行っても、(結果として)10人の再発するはずの患者さんは減らなかった。
        Intermediate risk Tam Alone 17% Tam + Chemo 14% これはintermediate riskの人100人に抗がん剤を行ってみたら(結果として)17人の再発するはずだった患者さんの中で3人の患者さんを再発させなかった。
        High risk Tam Alone 30% Tam + Chemo 17% これはhigh riskの人100人に抗がん剤を行ってみたら(結果として)30人の再発するはずだった患者さんの中で13人の患者さんを再発させなかった。

   〇つまり、high riskの人100人にとって「70人はそもそも抗がん剤をしてもしなくても再発しない=抗がん剤の意味がない(「効果がない」とも言い換えられる)」
                       「17人はそもそも抗がん剤をしても再発する=抗がん剤の意味がない(「効果が無い」とも言い換えられる)」
                       「13人が抗がん剤をしなければ再発したはず⇒抗がん剤をしたことで再発を免れた(効果があったと言い換えられる)」

それでは、もう一度
「「3、抗がん剤は高リスクスコアになった人にとって全員効果ありですか?」
⇒全く違います。
 
 効果があるのは、「上乗せ分=(上記例でいえば)100人中13人だけ」です。

 
 頭が整理できましたか?
 そもそも抗がん剤の効果は限定的なのです。
   その理由は『抗がん剤をしなくても、そもそも再発しない人の方が圧倒的多数である』
   これを理解してもらえばいいでしょう。

★質問者の例でいえば
  83%の確率で質問者は(そもそも)抗がん剤をしてもしなくても再発しないのです。

  ただ、(誰にも解らないことですが)質問者が残りの17%(再発予備軍と呼ぶとしましょう)に入っていたとして、もしも(抗がん剤をしても)その82%(14/17)では効果がないという数字です。

  これをhigh risk でみると…n
  70%では(そもそも)抗がん剤をしてもしなくても再発しないわけですが、 もしも30%(再発予備軍)にとっては(抗がん剤をすることで)その43%(13/30)に効果があるということです。
    上乗せ13%とはいっても(やるべき人=再発予備軍に絞れば)効果は43%になります。
    言い換えれば奏効率は43%となり、(high risk 全体でみれば13%にしか効果がないといっても 再発予備軍には43%の効果がある=効果絶大という見方ができるのです。

「4、5年間、再発しなかった場合、10年と20年後の再発率を教えて頂けますか?」
⇒それは誰にも解りませんが…

 5年を過ぎれば「一桁(後半?)」となり、10年を過ぎれば「一桁前半」となり20年となると「ほぼゼロ」と指数関数的に減少します。

「そもそも、5年間の17%の再発率をどのように受け止めたらいいでしょうか?」
⇒そもそも83%で抗がん剤をしてもしなくても再発しないということです。