[管理番号:6665]
性別:女性
年齢:46歳
田澤篤先生
東京都○○区在住、46歳の主婦です。
今年7月上旬に左乳房に痛みを感じたため、乳がん検診を行っている近所の病院(乳腺科ではありません)に行ったところ、
右・左乳房の下部にそれぞれしこり(腫瘍)があります、4年前のエコーでは写っていません、おそらく良性なので経過観察のため、
6ヶ月後に来院してください、と言われました。
腫瘍の大きさは、はっきりと記憶していませんが、右が1cm大とのことです。
左は自分で触った感じでは、右より少し小さいです。
指摘を受けるまで、自分ではしこりに気づきませんでした。
いつからあったのか、いつできたのか、分かりません。
その後、不安になり7月中旬に別の乳腺専門医のいる病院にかかったところ、
エコー検査と触診を行っていただき、両方とも恐らく繊維線種だから心配しなくてもよい、とのことでしたが、
しこりが自分では大きく感じられるため(右:アボガドの種ぐらい、左:梅干の種ぐらいの大きさ)
細胞の検査を希望し、7月下旬、コアニードル検査をうけました。
コアニードル検査の結果は以下の通りでした。
Lt.1- Phyllodes tumor, most likely
針生検組織 2本
Fibrosisが目立ち、fibroepithelial tumorを思わせる。
管周囲型であるが間質細胞の密度がやや高く、核腫大も見られてphyllodes tumor,
benignを考えさせる。
Rt.2-Fibrosis
針生検組織 2本
Fibrosisが目立ち、上皮成分はごくわずかである。
先生からは、左乳房のしこりは良性葉状腫瘍疑い、経過観察をしていくので、11月-12月に再来院してください、と言われました。
その後、インターネットで葉状腫瘍のことを調べるうちに、恐ろしくなってきました。
そして、田澤先生のサイトにたどり着き質問をさせていただきたくメールをいたしました。
①葉状腫瘍だった場合、切除が治療の基本のようですが、
私のように「良性葉状腫瘍疑い」の場合は、経過観察でよいのでしょうか?
②経過観察をして、このまましこりが大きくならなければ、このしこりは葉状腫瘍でなかった、ということでしょうか?
③良性葉状腫瘍の疑い、の場合でも早めに切除した方がよいでしょうか?
あるいは繊維線種の可能性もある(?)ので、経過観察で、すぐに切除しなくてもよいのでしょうか?
もし葉状腫瘍だった場合は、できるだけしこりが小さいうちに切除した方がいいのではないかと思っています。
ですが、もし繊維線種だった場合は、無理に手術で取らなくてもよいのだろうか、とも思います。
でも経過観察をしている間に、どんどん大きくなってしまうのではないか、悪性だった場合は早く取ったほうがよいのだろうか、
と悩んでいます。
切除した方がよい場合、できれば田澤先生にお願いできれば、、、と思っていますが、
可能でしょうか。
葉状腫瘍について書かれているネット上の情報を読むにつれ、恐ろしく不安になっています。
お忙しいところ大変恐縮ですが、田澤先生のご意見を伺えれば、大変うれしいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①葉状腫瘍だった場合、切除が治療の基本のようですが、私のように「良性葉状腫瘍疑い」の場合は、経過観察でよいのでしょうか?」
「③良性葉状腫瘍の疑い、の場合でも早めに切除した方がよいでしょうか?」
「あるいは繊維線種の可能性もある(?)ので、経過観察で、すぐに切除しなくてもよいのでしょうか?」
→重要なのは「大きさ」です。
★境界悪性以上なら、「大きさにかかわらず」摘出すべきですが、「良性」ならば経過をみることも可能です。
今回は初回で1cmなのだから、「大きくなるのか?」確認してもいいでしょう。
半年後増大傾向が明らかであれば、摘出を勧めます。(その時点で「取り返しがつかない」ことはありません)
「②経過観察をして、このまましこりが大きくならなければ、このしこりは葉状腫瘍でななかった、ということでしょうか?」
→そうとは限りません。
時々あるケースでは「数年変化なし」だったのが、急に増大して「手術して取ってみたら葉状腫瘍だった」というものです。
★数年たってから「スイッチが入る」可能性はあるのです。
そういう意味では「半年や1年、変化が無くても(数年後を見据えて)小さいうちに取ってしまえ」という考え方も間違いとは言えません。(要は、どの程度リスク回避をすべきか?の考え方は人それぞれなのです)
「切除した方がよい場合、できれば田澤先生にお願いできれば、、、と思っていますが、可能でしょうか。」
→可能です。
重要なことは中途半端が一番よくないということです。
経過観察なら経過観察
摘出するなら、(葉状腫瘍が疑われている以上)「マージンをつけて摘出」
それを「大したものじゃないから…」みたいに言われて、マージンをつけずに摘出されると後悔するわけです。