[管理番号:212]
性別:女性
年齢:44歳
お世話になります。
お忙しい中恐縮ですが質問させてください。
3年ほど前よりエコーにて多発性嚢胞、線維腺腫(疑)で3ヶ月~6か月の経過観察が続いておりました。
(線維腺腫(疑)は生検等していないため、しかし大きさも変わらず、こちらの方はあまり心配しておりません)
今回のMMGで線維腺腫とは対側に集簇性石灰化が認められ、カテゴリー3という事で、次は一年後の経過観察となりました。エコーでは写りません。
そこで質問なのですが、一年後で良いという事は、悪性の可能性が限りなく低いという事でしょうか。
それとも、悪性の可能性はあるけれど一年後に発見しても生存率に変わりはないという事なのでしょうか。
一年間頭からそのことが離れずに生活するのかと思うと、少し気が滅入ってしまいます。
画像を見てもいない先生にお聞きするのはお門違いとは思いますが、一般的なご意見を伺えればと思い質問いたしました。
因みにそこの施設はマンモトームの設備を持っておりません。
どうぞ宜しくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
状況の確認の上、回答します。
「石灰化の診療」については特にこだわりのある分野なので、少々長くなる事をご容赦ください。
状況確認
「3年ほど前よりエコーにて多発性嚢胞、線維腺腫(疑)で3ヶ月~6か月の経過観察が続いて」
⇒この記載ですと、「マンモグラフィー」を前回いつ撮影したのかが不明です。
◎エコーだけで3年間経過をみていて、今回「3年ぶり?」にマンモを撮影してみたら「対側の石灰化出現」なのでしょうか?
それとも、この3年間の経過観察中にも「年に1回程度の」マンモグラフィーが行われていたのでしょうか?
この「2つのどちらか?」により、「乳癌の疑い度」は変わってきます。
回答
「一年後で良いという事は、悪性の可能性が限りなく低いという事でしょうか。」
⇒(その担当医が)悪性の可能性が低いと考えているようです。
もし(その担当医が悪性の可能性を考えていれば)「ST-MMTのある施設へ紹介する」もしくは(最低でも)「半年後マンモでフォロー」とする筈です。
それを勧めないのは、「その施設にステレオガイド下マンモトーム生検が無い」事と、(その担当医は)「悪性の可能性が低い」と考えているからだと思います
◎あえて言わせてもらえば、「新たに出現した集簇性石灰化」であれば、当然ステレオガイド下マンモトーム生検(以下ST-MMT)をすべきと私は思います。
「悪性の可能性はあるけれど一年後に発見しても生存率に変わりはないという事なのでしょうか。」
⇒(結果的に癌が原因であった)石灰化を1年間放置した場合の「生存率の差」などというデータはありません。
ただ、「石灰化の診断に消極的な」医師が、そのように考えているのは想像できます。
私の経験では
私は「仙台」時代、(仙台どころか)県内全域から「石灰化」の方を集めてST-MMTをやっていたので、8年間で1000例を軽く超えました。
その経験の中では、「他院で石灰化を指摘しておきながら」1年後に浸潤癌として「紹介」のようなケースも結構見ています。
「(超音波では所見のない石灰化であれば)1年間では(もし癌でも)大して進行しないだろう」という根拠のない診療はすべきないという立場です。
「早期発見に勝る治療はない」のです。
ST-MMTの無い施設で石灰化の診療をすべきではありません。(いたずらに経過をみて、進行させた場合に責任はとれるのでしょうか?)
◎是非、「1年間経過観察」ではなく、ST-MMTのある病院を受診してください。
「一年間頭からそのことが離れずに生活するのかと思うと、少し気が滅入ってしまいます」
⇒このような思いをする必要はありません。