[管理番号:6243]
性別:女性
年齢:37歳
田澤先生、初めて相談させて頂きます。
数年前から乳頭から白い塊が定期的に出ていまして
2018年1月頃から左乳房のひきつる痛みと単孔性血性分泌が起きました。
近くの乳腺外科にかかった所、非浸潤性乳管がんの疑いとの事で詳細な検査を受ける為に
2018年2月に大学病院に転院しマンモグラフィ、穿刺吸引細胞診、血性分泌の細胞診、エコー検査、マンモトーム生検を
受けた所非浸潤性乳管がんが確定しました。
ですが喘息持ちと言う事で造影MRIが受けられませんでした。
造影MRIが出来ず範囲が特定できないので全摘といわれているのですが
他に位置を特定する検査もないのでしょうか?本当に全摘しかないのでしょうか?
その理論だと造影MRIできない喘息持ちの人は全員全摘と言う事になるのではないかと。
石灰化が10時~12時の方向に点在しているとしか分かりません。
現在大学病院からは手術予約に時間がかかるから早く手術日を決めるようにせかされています。
ですが納得がいかず全摘手術に踏み切れません。
喘息の治まる時期に造影剤を使った検査は出来るものなのでしょうか?
乳管造影と乳管腺葉区域切除を行う事は可能なのでしょうか?
単孔性血性分泌は1月から始まり濃い血の色~黄土色のものが今もそこそこの量が出続けています。
今後入籍、妊娠も予定していて可能であれば全摘を避けたいのです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
大学病院の医師達には、当然「乳管造影⇒乳管腺葉区域切除」という発想は無いのでしょう。
「他に位置を特定する検査もないのでしょうか?本当に全摘しかないのでしょうか?」
⇒MRIに頼る診療では他にやりようが無いでしょうが…
画像所見の詳細が記載されていませんが…
MMTEで非浸潤癌という診断がついていることから、①「超音波で所見はある」ようです。(MMTEのターゲットがあったわけですから)
更にマンモグラフィーで②「10-12時に石灰化が点在」
つまり(現状)画像の参考所見が①と②であり、ここに大きな手がかりである③「mono bloody nipple discharge」があります。
★つまり③により「乳管造影」を行い、その位置が①及び②とも一致するのであれば、乳管腺葉区域切除を行う事で病変が摘出でくるということです。
ただし、(癌の診断がすでについているので)「マージンをつけながら、乳管腺葉区域切除を行う」というやや変則的な手術とした方がいいでしょう。(純粋な乳管腺葉区域切除では断端がギリギリとなりえるため)
★★実は、殆ど同じ様なケースを少し前に手術しています。『今週のコラム115回目 (正しい)乳管腺葉区域切除をするには、まず「乳管造影」ができなくてはいけません。』の症例です。
これについては、手術も終わっているので「解り易い症例」として近々「今週のコラム」に採り上げましょう。
「その理論だと造影MRIできない喘息持ちの人は全員全摘と言う事になるのではないかと。」
⇒「しこりとして認識しずらい」ということはあるようです。(明らかなゴロンとしたシコリなら、MRIが無くても切除範囲が想像しやすいのです)
「喘息の治まる時期に造影剤を使った検査は出来るものなのでしょうか?」
⇒ステロイドや吸入剤を予防的に投与しつつ行う事は可能だとは思いますが、リスクとはなります。
「乳管造影と乳管腺葉区域切除を行う事は可能なのでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
想像しやすいように、近々取り上げる「今週のコラム」を参考にしてみましょう。