[管理番号:5576]
性別:女性
年齢:45歳
はじめまして。
検診での要精密検査をきっかけにこちらの「QandA」を読ませていただいております。
どれだけ気持ちを落ち着かせても
らえているか…有難うございます。
先月告知を受けました。
見つかった当初は2年に1度市の検診を受けてきたので、きっと早期だから…と気持ちを落ち着かせてきたのですが、2年に1度では意味なかったのですね…自己チェックもしてきたのに、一体何をしてきたのかと悲しいです。
検査結果 (口頭での説明でしたので、間違っているかもしれません)
浸潤性乳管癌
T1か2、しこりは右乳房右下7㎜と8㎜の2つ、しこり2
つで2cm以上あるかないか。
乳頭近くにしこりにはなってい
ない(動揺してはっきり覚えていません)ものもある。
N1、エコーで腋窩リンパ節肥大確認(12㎜)、細胞診の
結果転移
結果転移あり
ステージ2aかb
ER,PgR共に80%以上の陽性
HER2?+(FISHで確認)
11月初旬、全摘+腋窩リンパ節郭清(レベルⅡまで)を予定しています。
質問①二つの腫瘍は大きさが同じくらいなのですが、同じ時期にできて一緒に大きくなったということでしょうか。
一つ一つは1cm未満でも浸潤性なので、結局2cmの腫瘍ひとつのものと同じリスク要因であると考えたらよいのでしょうか。
自分で触れたのがひとつで小さく感じていたので、まさか2つもあると思わず、しかもあわせての大きさになり(一つ分程離れて並んでいました)リンパ節転移もありと聞いて、かなりのショックでした。
「8割は治るから」との担当医からの言葉に、
頑張ろう!と思えたものの、早期ではなかった上に手術後の結果で、更にステージがあがってしまう可能性もあると思うと怖いです。
②近年肉親を癌、乳癌(トリネガではなかったと思います)から
の遠隔転移で相次いで亡くしています。
今でも辛い思いがこみ
あげる中、自分までこのようなことになってしまい、なぜ?!
という失望感と不安でいっぱいです。
家族性(遺伝性?)だと
同じような経過をたどっていく可能性が高いのでしょうか。
治療法は変わらないと思うのですが根治したいのです。
③CTでは今のところ臓器への転移はないとのことでしたが、PETは受けていません。
担当医にはすすめられましたが、渋っていると嫌ならどちらでもいいよとのことでした。
骨転移があればステージ4になり、治療も変わってくるとのことで、リンパ節転移があるので受けた方が良いのか悩んでいます。
もし骨など転移があった場合、手術よりそちらの治療が優先されるのですか? 手術でとってからでは遅いのでしょうか。
④サブタイプがよくわからないのですが、HER2がFISHで
確認されて陽性であればトリプルポジティブになり、陰性だとル
ミナールタイプですか?リンパ転移があるので抗がん剤を使った
ほうがいいようなのですが(4個以上ありそうと見越してのこ
とでしょうか…)、Ki67の説明はなかったので、AかBかは
わからないのですが、Aであっても抗がん剤を使用するという解
釈でいいのでしょうか。
感情的にとりとめのない文になってしまい申し訳ありませんが宜しくお願願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「質問①二つの腫瘍は大きさが同じくらいなのですが、同じ時期にできて一緒に大きくなったということでしょうか。」
⇒乳管内に拡がって、(同時期あるいは近い時期に)それぞれの部位で浸潤し始めたと想像します。
「一つ一つは1cm未満 でも浸潤性なので、結局2cmの腫瘍ひとつのものと同じリスク要 因であると考えたらよいのでしょうか。」
⇒全くの間違いです。
足し算はしません。 あくまでも「最大浸潤径」です。
「家族性(遺伝性?)だと同じような経過をたどっていく可能性が高いのでしょうか。」
⇒全く無関係です。
そもそもサブタイプが全く違うから家族性の可能性は低いでしょう。
「リンパ節転移があるので受けた方が良いのか悩んでいます。」
⇒全く無駄な検査です。(無駄な検査はCTくらいにしておきましょう)
被爆するだけで全く無意味です。
「HER2がFISHで確認されて陽性であればトリプルポジティブになり、陰性だとルミナールタイプですか?」
⇒その通りです。
「リンパ転移があるので抗がん剤を使ったほうがいいようなのですが」
⇒全くの誤りです。
リンパ節転移と化学療法の上乗せは無関係です。
HER2が陰性となったら…
術後のKi67を確認、もしくはOncotypeDXして考えましょう。
「Aであっても抗がん剤を使用するという解釈でいいのでしょうか。」
⇒全く「誤った」考え方です。
冷静になりましょう。
質問者様から 【質問2】
リンパ節転移でも根治したい
性別:女性
年齢:45歳
こんばんは。
先日はお忙しい中早々にご回答いただき有難うございました。
皆さんのQandAを読ませて頂く中で、自分なりにわかることも増えてきましたが、勘違いや自分のケースに当てはまるのか…という不安もあり、申し訳ありませんが質問させて下さい。
抗がん剤については「リンパ節転移があるから」という主治医のお話しでしたが、こちらで勉強させてもらう中で、luminal Aなら抗がん剤はいらないのではとはいらないのではと思っていましたので主治医に尋ねたところ、術後の病理結果で考えましょうとのことでした。
ちょうど、診察後に先生からの回答を読み、主治医に伝えたことは間違いではなかったとホッとしました。
luminal Aだとホルモン療法、luminal Bならホルモン療法+化学療法と理解していますが、
ハイリスクとはどんな状態で、どんな治療になりますか?
そのリンパ節のことですが、細胞診でも疑陽性がでることがあると読んだ記憶があります。
疑陽性とはどのようなものでしょうか。
私の場合細胞診で胸のしこりと同じ細胞が出た、エコー、CTにもうつっているということで、転移で間違いない(センチネルリンパ節生検の対象ではない)でしょうか。
もう入院まで主治医と会うことはなく、リンパ節郭清が決まっているので、こちらでの質問お許しください…。
またリンパ節そのものは画像にうつらないものなのですか?
イメージ的には米粒のような物が複数あるのかと(無知な質問ですみません)…。
12㎜(多分)ということで、胸の腫瘍並み(エコーで8㎜のだった腫瘍の方はMRIで12㎜になっており、これまたショックでした。)の大きさでショックを
きさでショックを受けています。
大きなリンパ節転移でも1個だけでとどまっていることもあるのでしょうか。
術前には見当たらない方でも手術してみたら複数みつかった…と
いうのを読むと、転移が明らかな自分はどれだけ見つかるのだろうか、進行が早いのか、胸の腫瘍が実はもっと大きいのではないかなどいろいろ考えてしまいます。
ここ数日腫瘍の辺りや脇がよく疼きます。
ホルモン刺激の影響と思いつつ不安です。
来週手術ですし気にしても仕方ないことはわかってはいるものの結果や治療、予後への不安から気持ちをコントロールできずにいます。
気持ち穏やかに過ごせる日はくるのでしょうか。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「術後の病理結果で考えましょうとのことでした」と主治医が言う様に…
「たられば」ではなく、術後病理が出てから考えた方がいい場合もあります。
「luminal Aだとホルモン療法、luminal Bならホルモン療法+化学療法と理解しています」
⇒その通りです。
「ハイリスクとはどんな状態で、どんな治療になりますか?」
⇒ハイリスクとは「ステージが高い」と言い換えることができます。
ただ「リスクと治療は無関係」で「治療はサブタイプとシンクロする」のです。
「そのリンパ節のことですが、細胞診でも疑陽性がでることがある」
⇒偽陰性は多い」ですが…
擬陽性は1%程度となります。
「疑陽性とはどのようなものでしょうか。」
⇒本当は陰性(転移無)なのに陽性(転移有)とでることです。つまり「偽」の「陽性」なのです。(実は陰性)
「私の場合細胞診で胸のしこりと同じ細胞が出た、エコー、CTにもうつっているということで、転移で間違いない(センチネルリンパ節生検の対象ではない)でしょうか。」
⇒その可能性はかなり高い(99%)です。
「またリンパ節そのものは画像にうつらないものなのですか?」
⇒この場合の「リンパ節」は「正常リンパ節」のことですね。
勿論「写り」ます。
通常、「二層性が確認」できます。『今週のコラム 65回目 これを「腋窩リンパ節腫大」と記載された検診結果をみて、健診受診者が心配し悩んだとしたら…』をご覧ください。
♯ここではエコー像だけ載せていますが、CTも似たようなものです。
「大きなリンパ節転移でも1個だけでとどまっていることもあるのでしょうか。」
⇒あります。
「ここ数日腫瘍の辺りや脇がよく疼きます。ホルモン刺激の影響」
⇒その通りです。
「気持ち穏やかに過ごせる日はくるのでしょうか。」
⇒勿論です。
皆さん、同じ気持ちです。
質問者様から 【質問3】
リンパ節転移でも根治したい
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生こんにちは。
いつも気持ち落ち着くお返事を有難うございます。
そして学会発表お疲れれ様でした!
お休みされる間もなくお忙しいことと思いつつ、申し訳ありませんが術後の補助療法について相談させてください。
先月右乳房全摘、腋窩リンパ節郭清し、今月病理の結果が出ました。
・浸潤径0.9cm(3つあった内2つが浸潤、1つは非浸潤)
・リンパ節転移 1/14
・ER+,PgR+
・HER2 2+→FISHで陰性
・異型度3(悪性度が高い)
・KI67不明
以上の説明がありました。
前々回田澤先生にアドバイス頂きKi67によってはOncotypeDXをするつもりでしたが、思いがけないことに、Ki67が染色不良?ででなかったそうです…。
主治医からはリンパ節に転移があり、悪性度が高高いということで抗がん剤治療も勧められていますが、一応OncotypeDXを希望する旨伝えました。
もう少し考えて納得する形で治療
に入れるようにしましょう…と言っていただきました。
自分で選ばなければならないのですが先生を頼ってしまいすみません…。
リンパ節転移も悪性度もとても気にはなりますが、化学療法の上乗せとは無関係だと理解しているのは間違いですか?間違ってないとすればKi67がわからないので私の今の状態でOncotypeDXをやってみるという考えは合っていますか?悪性度とKi67の関連性はありますか(悪性度が高くてもKi67も高いとは限らないですよね?)?
抗がん剤治療を行う場合、EC3週間毎×4回→Weeklyタキソール1週間毎×12回です。
私に化学療法を行うとしたら上記は妥当でしょうか。
やらなければ再発した時に後悔しそうですが(10年生存率に)ホルモン治療の上乗せが4%程、抗がん剤治療で+3%程ということで、大変なな治療の割に上乗せの少なさに決心できずにいます…受け止め方は人それぞれだと重々承知はしていますが、先生でしたらどの程度の上乗せならはっきり勧めますか?また3%程の上乗せで化学療法を選ぶ、選ばないどちらの患者さんが多いですか。
今週受診しますので少しでも自分の気持ちを固めておきたいと思っています。
病理結果(すべて記載された結果用紙は頂いていないので…節外浸潤や脈管侵襲等知っておいた方がよいですか)や、今後の治療についてこれは聞いておくといい、ということがありましたら教えていただけると有り難いです。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「主治医からはリンパ節に転移があり、悪性度が高いということで抗がん剤治療も勧められています」
⇒未だに、そんな理由で抗癌剤がすすめられるとは…
「悪性度が高くてもKi67も高いとは限らないですよね?」
⇒『今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?』をご参照ください。
「私に化学療法を行うとしたら上記は妥当でしょうか。」
⇒ルミナールなのだから(もしもやるなら)TCです。
「先生でしたらどの程度の上乗せならはっきり勧めますか?」
⇒7-8%以上です。
「また3%程の上乗せで化学療法を選ぶ、選ばないどちらの患者さんが多いですか。」
⇒3%では選びません。
「今週受診しますので少しでも自分の気持ちを固めておきたいと思っています。」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
「リンパ節転移」も「核グレード」も無意味です。
Ki67が参考にならないなら、OncotypeDXすべきです。
☆私に「でも主治医が…」的に、何度も同じ内容を聞かない様に願います。(回答が変わることは決してありません)