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抗がん剤の追加選択について

[管理番号:5388]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、はじめまして。
乳癌の疑いが出てからサイトを拝見させて頂いております。
毎年受けている健康診断から、思いがけず乳癌が判明しました。
告知後は衝撃と動揺で大変辛い時間を過ごしましたが、2週間程前に無事に温存手術を終えました。
(浸潤性乳管癌/閉経前/独身)
pT1b NO MO StageⅠ
腫瘍径1.0*0.8cm
リンパ節転移なし(0/3)
切除断端(-)
ER  (+)70%
Pg (+) 9%
HER2 2+のため、FISH法確認中<⇒術前は陰性でした>
Ki67  33%
核Grade  1
脈管侵襲 0
リンパ管侵襲 1
主治医の先生からは、放射線治療+ホルモン治療が必須の旨説明があり、
ki67が高めである為ルミナールBに該当し、抗癌剤の追加は希望次第で良いと言っていただいています。
33%は判断が難しい値であり、
他の結果が良い方なので、抗癌剤追加の判断についてはどちらでも間違いないと仰って下さいました。
(抗癌剤を追加の場合は3ヶ月という事でした)
乳癌診療ガイドライン等、自力で得られた浅い知識なのですが
Ki67は参考値と、、、されど参考値、、という思いで行ったり来たりしています。
こちらのサイトの過去のQ&Aから、「ki67が30%は特に高値ではない」という言葉に救われましたが、
20%どころか30%を越えている私のような場合は、迷わず抗癌剤を選択すべきでしょうか。
同様に、過去のQ&Aから初期の乳癌が転移することは稀、という回答を拝見しましたが、
私のケースはその初期に相当するものでしょうか。
3ヶ月とはいえ後遺症や副作用への不安、そして奏功率についての想像がパンパンに膨らみ、
抗癌剤追加への決断がなかなか出来ません。
とはいえ、再発や転移への恐怖は人一倍あります。
また、私事なのですが、年末に婦人科で円錐切除術を受ける可能性や家族の介護もありまして、
出来る限り心配事を消して行き、且つ最善の方法で行きたいと考えております。
「乳癌は初期治療が重要」という言葉を目にするたび、いま抗癌剤を追加するべきか悩みます。
再発の芽を摘むことにフォーカスするべき!と思いながら、なかなか気持ちが定まりません。
田澤先生ならば、私のようなケースでは抗癌剤の追加は推奨されますか?されませんか?
もしそうであればその理由もお聞かせいただけますと幸いです。
(大きな勇気になります)
そして、リンパ管侵襲の1については、再発率に影響するものでしょうか。
乳癌は治る、毎日明るくそう言い聞かせて過ごしたいと思っています。
それでは宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
早期乳癌であり、再発リスクが低い事は間違いありません。
ただし、「予後はステージと関連し、治療法はサブタイプと直結する」という原則があります。
「田澤先生ならば、私のようなケースでは抗癌剤の追加は推奨されますか?されませんか?」
⇒OncotypeDXを勧めます。
 もしも、OncotypeDXをしないなら…
 化学療法を「強くは勧めない」とは思います。
 (理由は)例えばルミナールBだと仮定したとして、その「恩恵=上乗せ」はステージが低ければ小さいことは想像されるからです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

抗がん剤の追加選択について
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、
迅速なご回答に感謝いたします。
経済的理由から、オンコタイプDXは難しそうです。
ルミナールBで、抗がん剤の選択が患者にゆだねられている場合、
抗がん剤をしない選択をしたとしたら、これは標準治療を拒否したことになりますか。
初期治療が重要と言われる乳癌であるがゆえ、この選択のことで悩み眠れない日々を過ごしております。
(完全に神経質になっています)
また幾つか質問をさせてください。
①抗がん剤を選択する場合、最少投与期間であったとしても年齢的に閉経になると思いますが、
 正常に機能している体に大きな負担となりませんか。
 
②現時点での私の無再発率と、
抗がん剤を追加した場合の無再発率の差異を教えていただくことはできますか。
③術後病理結果でリンパ管侵襲が1でした。
 この値は再発率に影響するものでしょうか。
 
沢山恐れ入ります。
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①抗がん剤を選択する場合、最少投与期間であったとしても年齢的に閉経になると思いますが、 正常に機能している体に大きな負担となりませんか。」
⇒化学療法閉経自体は、それほど大きな負担とはなりません(いずれ自然に起こることなのです)
 ただし43歳だと、(いったんは化学療法閉経にはなりますが)回復する可能性もあります。
「②現時点での私の無再発率と、抗がん剤を追加した場合の無再発率の差異を教えていただくことはできますか。」
⇒これは不可能です。
 何故なら質問者がルミナールAなのかBなのかで「全く違う」からです。
 唯一言えるのは「サブタイプに応じた治療を行えば、(Aにしろ、Bにしろ)再発率は6%まで下がる」ということです。
  ♯イメージとしては(あくまでもイメージ)
    無治療の場合は再発率はルミナールAの方が低い(おおよそルミナールAでは10%、ルミナールBなら18%と推定)
    ⇒治療を行えば(ルミナールAならホルモン療法、ルミナールBならホルモン療法+抗癌剤)両者とも再発率が6%まで下がる
      ルミナールAの場合にはホルモン療法単独で4%の効果
      ルミナールBの場合にはホルモン療法単独で4%、化学療法の上乗せが8%
    
「③術後病理結果でリンパ管侵襲が1でした。 この値は再発率に影響するものでしょうか。」
⇒ありません。