[管理番号:5290]
性別:女性
年齢:47歳
いつもお世話になっております。
Q&Aの先生のお立場からご意見をお聞かせ願いたく、投稿させていただきました。
何卒ご協力のほど、お願い申し上げます。
早速ではありますが、私は
右胸 8mm 浸潤癌【完全早期】と病理確定し、
【乳房温存(部分切除) + センチネルリンパ生検】
の手術の予定をしております。
それで術前に主治医の先生とお話していて気になっていたことがあり、
こちらのコラムをおさらいするように一から読んでいて以下の、
?91回目 「転移したリンパ節が残存」してしまうのです。
?55回目 乳癌は「この状況」となっても「遠隔転移」を(めったには)起こさないのです。
?17回目 早期乳癌では8割近くで「癌細胞は体を回ってはいない」のです。
?10回目 『根治性よりも、むしろリンパ浮腫がらみの合併症こそ心配』なのです。
から、もしかして
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N0(MRIもしくは超音波画像目視でリンパ節転移/なし)
判定であれば、「センチネルリンパ生検」さえ無用なんじゃないかな?
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という考えに至り、主治医の先生に今からで
もご相談するかどうか迷っております。
そこで2つ質問があります。
1
「センチネルリンパ生検」は「腋窩郭清」を省略するための標準治療ですが、リンパ生検さえ省略してしまうのは危険な事なのでしょうか?
以下「1」~「4」のどれが先生のお考えに一番近いですか?
「1」初期癌ならそういう考えもあっていい。
「2」標準治療を外れるので医師からは勧められないが、内心、画像で問題なければさほど心配はないかと感じる。
「3」迷ってるなら標準治療を進める。
「4」「センチネルリンパ生検さえ省略する」などという考えはいかがなものかと思われる。
番号だけのご回答でもしていただけましたら幸いです。
2
「センチネルリンパ生検」を省略する方は先生のご存じの範囲でいらっしゃったことはありますか?
また、「センチネルリンパ生検」を省略した場合において、先生ならば術後治療をどうしたら最善だと思われますか?
お忙しいところ恐縮ですが、
どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「リンパ生検さえ省略してしまうのは危険な事なのでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
実際に「その選択」をされる方はいらっしゃいます。
「以下「1」~「4」のどれが先生のお考えに一番近いですか?」
⇒ 「1」「2」
実際には1cm以下の腫瘍で(エコー上、正常リンパ節なら)「センチネルリンパ節生検で陽性となることは殆どない」ことは日々、実感しています。
上記状況(質問者も当て嵌まるようです)であれば、「患者さんから希望があれば」センチネルリンパ節生検の省略は問題ないと思っています。(low grade DCISでないかぎり、私から積極的に勧めることはありませんが)
また、上記基準を超える(つまり腫瘍径が2cm以上あっても)エコーで明らかな転移所見が無ければ、(ご本人からの強い希望には)「3カ月毎の腋窩超音波チェックを条件に」応じています。
「センチネルリンパ生検」を省略する方は先生のご存じの範囲でいらっしゃったことはありますか?
⇒上記通りです。
それなりの数の方がいらっしゃいます。
「また、「センチネルリンパ生検」を省略した場合において、先生ならば術後治療をどうしたら最善だと思われますか?」
⇒術後療法とは全く無関係です。
「局所の借り」を「全身療法で補う」という戦略は間違いだと思っています。
あくまでも「転移が無い」と考えているから「省略を選択」しているのだから、するべきことは「腋窩の超音波によるチェック」なのです。
質問者様から 【結果2 センチネルリンパ節生検省略後のご報告】
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳頭腺管がん
田澤先生の診察:[診察あり]
田澤先生の手術:[手術あり]
先生、その節は大変お世話なりました。
今夏、術後一年が経ちました。
書き込み当時、恥ずかしさから他院患者のフリをして質問させていだきました…。
【質問結果ご報告】
こちらでの先生の回答により、
おかげさまでセンチネルリンパ節生検をせずに済み、私の商売道具である右手は、現在術前と変わることなくほぼほぼ健在です。
その他、上述回答の“あくまでも「転移が無い」と考えているから??”ということでしたのでQOLを考え「ホルモン治療はしない」と希望し、望み通り放射線以外は無治療にしていただきました。
■社会復帰しました
私は病発覚により勧奨退社となり、術前から即時社会復帰を希望していたため、センチネルリンパ節生検と治療薬による影響を恐れていました。
★現在はハロワ職員の方々による社会復帰計画と作戦により、すでに社会復帰しております。
これも先生に早期発見していただき、治療による影響を最小限に押さえられた結果の一部だと思っております。
《参考にされる方へご注意》
治療中や直後はさすがに私も心身共にキツい時もありましたので、即時社会復帰は無理かと感じたことも正直ありました。
術後、回復期による体調は人それぞれかと思いますので、社会復帰はご自分に合った計画をお薦めします。
■周囲の人達の反応
他の科のかかりつけの先生方に手術のご報告したところ、何人かの先生から「術後の3ヶ月、6ヶ月の検診と結果」をしきりに聞かれました。
「術後は1年後に検査と言われている」と話すと、こぞって
「乳腺科の先生が大丈夫とされてるなら…」とはいえ「MRI撮っておこっか」とか「しっかりチェックしておくからね」など、やたら慎重姿勢を見せるところから「癌」「浸潤」の言葉の威力が半端ないことを実感した次第です。
一般からは、
お前はもうすぐこの世から消えるかもしれない発言と、長生き懇願をこの一年の間に何度も聞かされました。
世間には知る不幸というのがあり、知らせる事で相手にストレスをかける事、色眼鏡で見られることを学習しました。
今はまだ世間的に「癌=死の病=恐怖」の偏見が根強いようです。病名告白は狭い範囲で留めておいて、正解だったと私個人は思っております。
■早期発見の経緯と手術
私は、その前年度の人間ドックで胸のしこりを指摘されながらも1年経過観察、翌年の地域健康診断(都内メジャー病院にて)でもしこり確認はしてくれたものの「問題なし」1年経過観察と診断されていました。
それから1ヶ月程しか経ってない状態で、現在は健側の乳房から単孔血性分泌するようになったためメディカルプラザ市川を受診しました。
初診当時、先生に「ついでに逆側のしこりも検査しますね」と言われ、生検を奨められなければ、ずっと乳がんと知らずにいた私がいたかと思います。
先生の早期発見に対する思いはその後に知りました。
手術については、
田澤先生がドレーンを使わない事は術前にこちらのサイトを読んで存じ上げておりましたが、尿道カテーテルさえ使いませんでした。(正直、驚くべき事だと思います。)
手術は1時間ぐらい。終わったのは夕方でした。
術後、病室に戻ってから一時間半ぐらいで上半身起き上がる事が可能でした(←付き添いが椅子から落ちそうになるほど驚いていた。)
ただし、かなり気持ち悪く目が回るのと、オペ傷にスゴく響きます。←真似しないでください。確か3~4時間安静にしてなければいけなかったと思います。
その後、夜中汗だくになって耐えることになりましたが、明け方には朝シャンできるまでに急激に回復。
(※全身汗でびちょびちょだったので、体は汗拭きシートですっきりさせときました。回診時に私の濡れ髪に驚いた?先生から今日は入浴禁止を三回ぐらい言われましたが…入院中の朝シャンは禁止行為要項にはなかったのです。)
そして、予定通り午前中の内に退院となりました。
ちょっと地獄的ではありますが、小旅行のような入院期間でしたし、センチネルリンパ節生検省略で術後直ぐの日常生活に大きな支障もなかったので、病を告白したくない同居家族にも今もバレずに済んでおります。
【最後に??】
こちらの質問ページでは、私も同じく気になっていた事が載っており、勉強になります。
こうした場を設けてくださり、感謝申し上げます。
これからもご無理のない範囲で継続されます事を祈ります。
<Q&A結果>