[管理番号:5077]
性別:女性
年齢:40歳
初めて質問させて頂きます。
宜しくお願いいたします。
1cm程のしこりが見つかり乳がんを疑い、針生検、CT、MRI行った結果、
ホルモン+
HER2-
ki-67 70%
リンパ節転移なし
という結果説明のみを受けました。
また、しこり以外に周辺に病巣の広がりが見られるとの事でした。
上記の結果からして、私の場合はルミナルB(HER2陰性)との見解で合っていますでしょうか?
治療法として、増殖度が高い事により手術先行で、その結果により抗がん剤の必要性を考えると仰っていました(ホルモン療法は必須)。
次の診察までに、温存か全摘かの回答をするのですが、上記の結果だけで、両者それぞれの再発率や生存率の差はお分かりになりますでしょうか?放射線治療を行えば大差はないものでしょうか?本人としましては、
温存を今のところ考えております。
なお、温存の場合でも術前化学療法の効果は期待が出るか不明の為しないケースとの事でした。
ですので、温存でも病巣を広く取るため乳房の変形があるとの事でしたが、私の場合、やはり術後化学療法の方が適切なのでしょうか?
初見で、おそらく初期であろうと言われ頑張って治療に励みたいと思っていましたが、病巣の広がりや、増殖度が高いという生検の結果に落ち込んで動転しまい、医師にきちんと質問出来ず、少ない情報で申し訳ありませんが宜しくお願いいたします。
なお、今の段階で他臓器や骨に転移している可能性は考えられますでしょうか?増殖度は、イコール悪性度も高いという事になりますでしょうか?
田澤先生の他の回答を拝見して、サブタイプで生存率の不安に駆られてはいけないというコメントに励まされましたが、私の場合でも希望を持って治癒を目指してもよいのでしょうか?
増殖度が高い場合は、再発率も高く予後が悪いといものばかりが目に入り、これから長くなる治療へどう励んだらよいのか心の持ちように悩んでしまいます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まずは、あまりにも極端な情報が出回ったが故に、「早期癌であることの意味」が薄れてしまっている事を残念に思います。
「1cmの乳癌」で遠隔転移の可能性を考える事自体、全く無意味であり(患者さんを)「そのように心配させる」としたら、その罪は大きいと言えます。
「ルミナルB(HER2陰性)との見解で合っていますでしょうか?」
⇒その通りです。
「両者それぞれの再発率や生存率の差はお分かりになりますでしょうか?」
⇒大きな勘違いをしています。
物事はシンプルに「生理」して考えなくてはいけません。
○まず再発率を「(温存乳房内再発を含めた)局所再発」と「遠隔転移再発」に明確に分けましょう。(医師さえも、それができていない者がいるのが現状です)
1.(温存乳房内再発を含めた)局所再発
温存手術と全摘手術では「局所再発」には差がある。(全摘では局所再発はほぼゼロだが、温存では放射線をかけても10年で5%程度はあります)
2.遠隔転移再発
温存手術でも全摘手術でも全く同じ
3.生存率
温存手術でも全摘手術でも全く同じ
♯たとえ、温存術で乳房内再発をおこしても(その際に、全摘すれば)
「最初から全摘した場合と予後は一緒」という大原則があります。
「放射線治療を行えば大差はないものでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
「私の場合、やはり術後化学療法の方が適切なのでしょうか?」
⇒術前化学療法をする理由が全くありません。
もともと腫瘍は小さいし、「周辺の拡がり」については抗癌剤で消えても結局その範囲は切除しなくてはならないからです。
「なお、今の段階で他臓器や骨に転移している可能性は考えられますでしょうか?」
⇒絶対にありません。
「増殖度は、イコール悪性度も高いという事になりますでしょうか?」
⇒物事の本質を忘れない様にしましょう。
重要な事は早期である事、すなわち小さいことなのです。
「希望を持って治癒を目指してもよいのでしょうか?」
⇒もしも1cmの早期乳癌なのに、そんなことを考えるようなら…
それは罪深いことだと思います。
「増殖度が高い場合は、再発率も高く予後が悪いといものばかりが目に入り」
⇒クダラナイ情報は「目に入れない」方がいいと思います。
少なくとも(私は)相手にしません。