[管理番号:4725]
性別:女性
年齢:57才
田澤先生
初めて質問します。
ご教示のほど、よろしくお願い申しあげます。
マンモグラフィ、超音波検査にて、右乳房にしこりを発見。
生検、MRI、骨シンチ、PET検査にて、非浸潤がんと診断されました。
しこり大きさ2.3センチ、MRIでは大きく広がっている様子、PETではリンパ節に
がんらしき?数個映っている模様だが、FDG集積(私には何のことか理解できず)は見られず、
手術時のセンチネル生検にて、リンパ節郭清と全摘にするかの最終判断をすると言われました。
浸潤がんの可能性もあるようです。
左乳房の4ミリのしこりは、穿刺吸引細胞診の結果、要経過観察に。
①現時点では、乳房温存術の手術と放射線治療を勧められていますが、
それでいいのでしょうか? 非浸潤がんは、一般的に温存手術なのでしょうか?
温存で局所再発した場合、約50%は浸潤がんになるとの情報を得たのですが、それならば最初から全摘すれば再発の心配も少ないので、私は全摘でもいいのかと思うのですが。
選択に迷っています。
局所再発した場合に、それから全摘しても生存率に変わりはないと聞いたのですが、
浸潤がんとして再発しても生存率に変わりはないのですか?
②一般的な温存手術というのは、皮下乳腺全摘出術あるいは皮膚温存乳房切除術のことでしょうか?
現時点での私の病状では、どの手術方法が望ましいのか教えてください。
実母は、乳がん、卵巣がんを罹患し、全摘、抗がん剤治療を受けました。
母の全摘、リンパ節郭清によるリンパ浮腫を見てきているだけに、全摘すると日常生活に支障ありと思っているのですが、担当医は、それは昔のことと言われます。
実際はどうなのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
質問者には申し訳ありませんが…
そもそも「非浸潤癌の診断」なのに、「骨シンチ」や「PET」を撮影している時点で(私にとっては)「コメントするに値しない診療」として興味を失ってしまいます。(本当に申し訳ありません)
「①現時点では、乳房温存術の手術と放射線治療を勧められていますが、それでいいのでしょうか? 非浸潤がんは、一般的に温存手術なのでしょうか?」
⇒質問者は勘違いしています。
「温存か全摘か?」という「乳腺の切除範囲の判断には進行度(非浸潤癌とか浸潤癌とか)とは全く無関係」であり、純粋に「拡がり診断」で判断します。
今回の場合には(質問者が非浸潤癌かどうかとは全く無関係に)「MRIでは大きく広がっている様子」という「拡がり診断のみに注目」してください。(乳房温存はリスクがあるようですが…)
「局所再発した場合に、それから全摘しても生存率に変わりはないと聞いたのですが、浸潤がんとして再発しても生存率に変わりはないのですか?」
⇒ここも大きな勘違いがあります。
A.「局所再発した場合に、それから全摘しても生存率に変わりはない」というのは正しい。
ただし、それは「統計学的に正しい」ということです。
B.一方で「浸潤癌として再発したら生存率は当然下がる」これも「正しい」
★解りますか? AとBは矛盾していないのです。
統計学的にはAの中でBが起きる確率は「非常に低い」ので(Bのケースは実際には、ありますが)たとえば、「1000人の内、1人しかいなければ、統計学的に差は無くなる」のです。
このことは「いつか、今週のコラムで取り上げる」必要がありそうです。
「②一般的な温存手術というのは、皮下乳腺全摘出術あるいは皮膚温存乳房切除術のことでしょうか?」
⇒違います。
乳房温存術というのは「乳腺を温存」するものであり、(乳腺を全摘する)「皮下乳腺全摘出術あるいは皮膚温存乳房切除術」のことではありません。
「現時点での私の病状では、どの手術方法が望ましいのか教えてください。」
⇒画像診断を見ていないので不明ですが…
「MRIでは大きく拡がっている」というのであれば、「乳腺は全切除した方が安全」のようです。
「母の全摘、リンパ節郭清によるリンパ浮腫を見てきているだけに、全摘すると日常生活に支障ありと思っているのですが、担当医は、それは昔のことと言われます。」
⇒「全摘」と「リンパ節郭清」を区別しましょう。
○乳腺を「全摘することとリンパ浮腫とは無関係」です。
「リンパ浮腫と関係」するのは「リンパ節郭清」です。(ただし、質問者の場合には「非浸潤癌」なのだから、そもそも「その心配」は不要です)