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術後補助療法について

[管理番号:4611]
性別:女性
年齢:43歳
乳がんと診断され手術を終え抗がん剤治療中です。
インターネットの情報は信憑性がわからず、振り回されて冷静な判断ができなくなるとができなくなると思い、診断されて以降一切ネットを封印してきました。
担当医は時間を割いて親身なって説明してくださる医師でしたので、担当医の説明と「乳がん診療ガイドライン」を信じて「やるべきことを粛々をやるんだ」と治療に入入りました。
抗がん剤の後、放射線治療とホルモン療法を予定しております。
仕事を続けながら放射線治療を受けるために遅い時間まで治療してくださる施設を検索するためにネットを解禁したところ貴院にたどりつき、こちらのQ&Aに出会いました。
先生の自己犠牲にも近い過酷な環境下にも関わらず患者を思う熱い情熱と豊富な経験と知識に基づく解説に感銘を受け1番から全ての解説を泣きながら読みました。
そして私が受けている治療について先生のご意見を伺いたくメールいたしました。
術前は右乳房に5個の腫瘍が多発しているが最大径でも1.8㎜なのでステージ1、右腋窩リンパにエコー上ごく微妙な腫れがあるが、センチネルで陽性だとしてもステージ2Aであり早期なので術後はホルモン療法で頑張りましょうとのことで右乳房全摘しました。
術中のセンチネルで3個中1個に2㎜の転移がみつかりレベル1を郭清し同時再建のためエキスパンダーを挿入し終了しました。
しかし、術後の病理の結果で、小葉癌で腫瘍径が7×6×2cmもありステージがもありステージが3Aになってしまいました。
ER(7)PgR(6)HER2(1)Ki67(17%)
ly(1)核グレード(1)リンパ節転移SNB(1/3)レベル1(0/3)で合計(1/6)でした。
担当医から腫瘍径を考えるとルミナールだが抗がん剤の上乗せが1割程度期待できるとのことで治療に入りました。
担当医はホルモンの感受性があるが満点ではないこと、リンパ節転移があったこと、リンパ管侵襲があったこと、腫瘍径がが大きいことを不安要素にしていました。
またレベル1を3個しか郭清していないことに不安を感じましたが、センチネルで1個であり追加でたくさん郭清しても予後に寄与しないとの説明でした。
→私なりにこのQ&Aで勉強した知識での解釈としては、ホルモンの感受性は陽性であり低値でもないので効くので気にしなくてよい。
リンパ管侵襲は検体の顕微鏡での所見なので気にしなくてよいにしなくてよい。
リンパ節転移1個陽性、腫瘍径が大きいことだけでは抗がん剤を薦める根拠としては乏しい。
小葉癌は性質上多発性質上多発しやすく腫瘍径が大きくなりがちである。
レベル1の郭清については担当医の考えで矛盾しない。
と考えたのですがよろしいでしょうか。
現在、AC療法中で4回目のあと、パクリ12回かTを4回のの予定です。
先生のところではアンスラタキサンはトリネガのレジメンのようですのでルミナールAの私の場合にはこの選択はどうだったのでしょうか。
先生は過去の回答で私のような大きな小葉癌でサブタイプや転移も同じような方にホルモン単独を薦められていましたが、別の方には腫瘍径が大きいので考慮してもよいというような回答をされていたように記憶しています。
また、同じようなルミナールAの方への上乗せが1%強と回答されていたのを拝見してこんなに辛い治療をしているのに1%…と比喩でなく椅子からずり落ちてしまいました。
先生はルミナールタイプで抗がん剤を使う場合はTCを薦められていましたが、私の場合も(必要性は微妙ですが)パクリよりTの方がよいのでしょうか。
また、放射線療法は推奨度Bになるのかと思いますが、エキスパンダーの入れ替え後となるため術後8か月以上開いてしまいますが問題は無いでしょうか。
その場合、貴院で受け入れていただくことはれていただくことは可能でしょうか。
かかりつけの病院では、術後のエコー・マンモも1年に1回と言われています。
患側にリンパの転移があったことが心配なので患側腋窩と健側のエコーを先生にお願いすることはできますでしょうか。
質問が長く、たくさんになりお忙しい先生にはご迷惑をおかけします。
毎年、乳がん検診を受けていたのに今まで発見できなかった無念さの時も、ステージ3だといわれた時も「やるべきことを粛々とやる」のスローガンのもと、一度も泣かずに来ましたが、
今になって、自分は何をしているのだろう、私はおばあちゃんになってひ孫の顔をみるまで死なないつもりで頑張ろうと思ってきましたが早期癌でもないのに根治なんてめざせるのかと涙が出ては、こちらのサイトを読み返してパワーにしています。
先生の「やるべきことを粛々とやる」という言葉をみて、私のスローガンを再度思い出しました。
いま私の「やるべきこと」を教えてください。
また、私の再発率や生存率、無再発生存率などわかるのであれば教えてくださいえてください。
小葉癌ですがアジュバンドオンラインが使えるのであれば、ぜひ結果を教えてください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「私なりにこのQ&Aで勉強した知識での解釈」
⇒凄いですね。
 この「解釈」は全くその通りです。
「ホルモンの感受性は陽性であり低値でもないので効くので気にしなくてよい。」
⇒その通りです。
「リンパ管侵襲は検体の顕微鏡での所見なので気にしなくてよい」
⇒その通りです。
 そもそも、その「リンパ管侵襲」の結果としての「リンパ節」は「センチネルリンパ節生検⇒腋窩郭清」して「決着済」なのです。
 何も「black boxにいれるまでもない」話です。
「リンパ節転移1個陽性、腫瘍径が大きいことだけでは抗がん剤を薦める根拠としては乏しい。」
⇒全くその通りです。
 (同じサブタイプなのに)「小さいうちは抗癌剤が効かない」⇒「腫瘍径が大きくなったり、リンパ節転移していると、抗癌剤が効くようになる」などという考え方がおかしいのは自明です。
 実際に「腫瘍径やリンパ節転移の個数に拘わらずルミナールAでは化学療法による
benefitがないことはSABCS(2015)でデンマークのグループがDBCG(Danish Breast Cancer Cooperative Group) 77Bの結果として発表しています。
「小葉癌は性質上多発性質上多発しやすく腫瘍径が大きくなりがちである。」
⇒まさに、その通りです。しばしば経験します。
 それと予後とは無関係です。
「レベル11の郭清については担当医の考えで矛盾しない。」
⇒その通りです。
「先生のところではアンスラタキサンはトリネガのレジメンのようですのでルミナールAの私の場合にはこの選択選択はどうだったのでしょうか。」
⇒当院では行いません。
「同じようなルミナールAの方への上乗せが1%強と回答されていたのを拝見」
⇒その通りです。
 質問者は明らかにルミナールAであり、(もしもOncotypeDXをしていれば… 勿論今更無意味ですが)上乗せは殆ど無いと思います。
「私の場合も(必要性は微妙ですが)パクリよりTの方がよいのでしょうか。」
⇒どちらでも変わりません。
「エキスパンダーの入れ替え後となるため術後8か月以上開いてしまいますが問題は無いでしょうか。」
⇒そもそも放射線は不要です。
「その場合、貴院で受け入れていただくことはれていただくことは可能でしょうか。」
⇒可能です。
 もしもする場合には
 放射線科には(乳腺外科を介さずに)ダイレクトに紹介してもらうことになります。
「患側腋窩と健側のエコーを先生にお願いすることはできますでしょうか。」
⇒できます。
 実際に、「そのように考え」「そのように実行にうつす」方は実は結構いらっしゃいます。(正直、無理はないと思っています)
 そして「腋窩リンパ節に再発(というか、実質取り残し)を見つけて(当院で)手術」した方も複数存在します。
「私の再発率や生存率、無再発生存率などわかるのであれば教えてください」
「小葉癌ですがアジュバンドオンラインが使えるのであれば、ぜひ結果を教えてください」

⇒小葉癌の浸潤径ではまともにはできません。
 私なりの計算では(こちらの方がより実態に近いと想像していますが)
 再発率15%
 10年生存率 90%
  と思います。