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乳がんかどうかについて

[管理番号:3546]
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生、
はじめまして。
乳がんプラザ内での質問のやり取りで、多忙極めていらっしゃるのに丁寧に答えている様子に感動し、
私も質問させていただこうと思いました。
半年前に行った乳がん検診で、要精密検査になり、
近くにある乳腺専門医のクリニックを受診したところ、
左胸に10㎜のしこりがありました。
その時は、マンモの画像に何も問題なく、乳腺症だろうと半年の経過観察となりました。
そして、半年後、再度受診すると、
しこりが、19㎜程度に大きくなっているようで、
触診、マンモ、エコーの画像では、それほど怪しいと思えるようではないみたいでしたが、
「ここで、また経過観察にし、
次回、しこりがまた2cm程度に大きくなっていたとしても必ず検査するだろうから、
ここで、針を刺して、白黒はっきりつけましょう。」
と先生に言われ、
針生検を行い、今は、その結果待ちです。
結果が出るまでの1週間程度、毎日不安で眠れない日々を送っていますが、
この乳がんプラザにたどり着き、いろいろな情報を知り、少し落ち着いてきました。
たとえ乳がんだとしても、自分でもいろいろ調べ、納得がいく治療を行って頑張ろうと思えるほどになってきました。
まず、
針生検まで行ったということは、悪性を疑っておく必要があるということですよね?
良性だとしても、このように大きくなる事例もあるのでしょうか?
もし、乳がんだとしても、この大きさなら早期ですと、受診したクリニックの先生はおっしゃっていましたが、
悪性とすると早期ということで、治療後、完治は望めるでしょうか?
また、乳がんと確定された場合には、
今のクリニックは個人クリニックで手術はできないので、大きい病院を紹介されることになると思います。
その時には、江戸川病院で田澤先生に、手術、今後の治療をお願いすることはできるでしょうか?
まだ確定的ではない段階なのに申し訳ありませんが、
不安な日々を送っている中で、この乳がんプラザのいろいろな情報に救われている部分が多々あり、
その中で、懇切丁寧に回答していらっしゃる田澤先生のお人柄にも救われているので、
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「半年後、再度受診すると、しこりが、19㎜程度に大きくなっているようで、触診、マンモ、エコーの画像では、それほど怪しいと思えるようではない」
⇒「半年間で10mm⇒19mm」は通常のことではありません。
 組織診(行ったのはバネ式針生検ですね?)するのは当然です。
 「怪しいと思えるものではない」という医師のコメントからは良性の可能性も十分にありそうです。良性の場合は「葉状腫瘍」は当然鑑別に挙がります。
 ただ、癌も比較的良性と(画像上)間違われ易いもの(粘液癌や充実腺管癌など)もあるので、注意が必要です。
 (もしも癌で有れば、当然治療が必要ですが)葉状腫瘍が疑われた場合にも(針生検では線維腺腫と葉状腫瘍の区別ができない事も多いですが、線維腺腫にしては増大傾向が強い様に思われます)摘出すべきでしょう。
「針生検まで行ったということは、悪性を疑っておく必要があるということですよね?」
⇒上記の通りです。
 確率的には高くは無いかもしれませんが、「画像上、良性腫瘍と間違われてしまう」ケースは意外と多いのです。
「良性だとしても、このように大きくなる事例もあるのでしょうか?」
⇒良性の場合には「葉状腫瘍」を考えるべきでしょう。
 
 葉状腫瘍は「増大傾向があり、増大する中でグレードアップ(良性⇒境界悪性⇒悪性)していく」ことが知られているので、原則「切除(しかもマージンをきちんとつける)」すべきです。
「悪性とすると早期ということで、治療後、完治は望めるでしょうか?」
⇒勿論、その通りです。
 (もしも悪性であったとしても)良性と区別がつかない程度なのだから、当然早期となります。
「その時には、江戸川病院で田澤先生に、手術、今後の治療をお願いすることはできるでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 ○たとえ葉状腫瘍であっても「初回の手術が重要(きちんとマージンをつけない手術を安易に行うと再発を繰り返す負の連鎖に陥る)」であるため(質問者の事情が許すのであれば)当院で手術を受けることをお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生 こんにちは。
先日は、質問に丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。
まだその後、針生検の結果は出ていないのですが、
先生の回答を拝読し、
たとえ良性であったとしても「葉状腫瘍」の可能性が高いということで、切除が必要ということでした。
その場合には、もちろん切除の方向で治療と行いたいと思っています。
そして、悪性であれば、もちろん切除ということになるでしょうから、
結局、どちらに転んでも、手術で切除ということになる・・・と思って、いろいろ考えず、前向きに過ごすことにしております。
ご回答に、
もし、事情が許せば、葉状腫瘍の手術も当院での手術をお勧めしますと、記載いただいておりましたので、
幸い、江戸川病院へ通える距離に住んでおりますこともあり、
まだ確定結果は出ていないのですが、どちらの場合でも田澤先生に今後の治療をお願いしたいと思っております。
どのように手順を踏めばよろしいでしょうか?
秘書の方へのメールをしてよろしいのでしょうか?
また、半年で約9㎜ほどの増大が、通常ではないというところを、とても心配しており、
もし、良性であったとしても、このスピードで増大していくと、
治療前に途中で何か悪い方向に向かってしまうことがあるのでしょうか?
そして、悪性であった場合には、こんなに急に進行していると、手術等の治療を始める前に、数ヵ月経過して、悪い方向にどんどん進んでリンパ転移等が見られたりするのでしょうか?
もし、そういうことの心配もなければ、
どちらの場合でも、手術、治療に専念しようと決めております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「どのように手順を踏めばよろしいでしょうか?
秘書の方へのメールをしてよろしいのでしょうか?」

⇒それで結構です。
「また、半年で約9㎜ほどの増大が、通常ではない」
⇒増大傾向があるということです。
「もし、良性であったとしても、このスピードで増大していくと、治療前に途中で何か悪い方向に向かってしまうことがあるのでしょうか?」
⇒まずは可能性として「癌」と「葉状腫瘍」に分けて考える必要があります。
 ○癌の場合には、決して「良性が癌化」することなどありません。(癌は最初から癌なのです)
  
 ○葉状腫瘍の場合には確かに(長い経過の中で)「良性葉状腫瘍⇒境界悪性葉状腫瘍⇒悪性葉状腫瘍」への変化がおこります。
  ただし、質問者のような2cm程度で「悪性葉状腫瘍など考える必要は全くありません」 葉状腫瘍の場合には5cm程度から「悪性葉状腫瘍の可能性も考慮」しなくてはなりません。
「そして、悪性であった場合には、こんなに急に進行していると、手術等の治療を始める前に、数ヵ月経過して、悪い方向にどんどん進んでリンパ転移等が見られたりするのでしょうか?」
⇒質問者は勘違いしています。
 『「半年間で10mm⇒19mm」は通常のことではありません』というコメントは(通常は、変化があまりないのに比して)「明らかな増大傾向がある」という意味です。
 ♯増殖性病変(癌も含む)として「特別に早い」と言う意味ではありません。
「もし、そういうことの心配もなければ、」
⇒当然、そんな心配はないでしょう。
 何故なら担当医が「怪しいと思えるものではない」とコメントしているのですから…(信じてあげましょう)

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