[管理番号:3541]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
5年前に左胸全摘の手術を受け、今右胸にガンの疑いありということで組織診断の結果待ちの状況です。
5年前の手術時にリンパ節廓清をしたのですが、その後、腕があがるようになるまでに半年ほどかかり、現在でも浮腫はないものの、簡単なものをもっても手がしびれるなどかなりの不便を感じて生活しています。
今後右側の乳がんを手術する際、リンパ節廓清したくないというのが正直な気持ちです。
両手とも不自由になると仕事や日常生活にかなり支障がでると感じるからです。
医師の話では、
今回のガンも初期の乳がんの可能性が高いという話ですが、
初期であってもリンパ節廓清するかどうかという見極めのためにセンチネルリンパ生検はするのでしょうか?
センチネルリンパ生検が必要なケースというのはどういう時で、必要のない場合も存在するのでしょうか?
センチネルリンパ生検のみではリンパ付近に傷がつき、手の動き、リンパの流れに支障がでることはないのでしょうか?
今回、温存手術も可能そうなのですが、もし全摘にすることで、リンパ節廓清しないですむならその方がいいのですが、温存か全摘かによってリンパ節廓清するしないの判断が変わることはあるのでしょうか?
以前の経緯からできれば、癌が仮にリンパ節転移していても、リンパ節廓はしたくないです。
それを医師に伝えればそれは可能なのでしょか?
医師の指示に従った方がよいと考えていましたし、多くの方がリンパ節廓清をしても日常生活には支障がないことなどで前回は何も考えず、リンパ節廓清しましたが、これだけ不自由がでてくると今回は慎重にならざる得ない状態です。
アドバイスお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
センチネルリンパ節生検では、決して不自由なことにはならないのでご安心を。
「初期であってもリンパ節廓清するかどうかという見極めのためにセンチネルリンパ生検はするのでしょうか?」
⇒その通りです。
浸潤癌であれば、「リンパ節転移している可能性」があるため、「センチネルリンパ節生検は必須」となります。
もしも(針生検での非浸潤癌であっても)「病変全体を評価する外科的生検でないので」ガイドライン上は「センチネルリンパ節生検は必須」となります。
「5年前の手術時にリンパ節廓清をしたのですが、その後、腕があがるようになるまでに半年ほどかかり、現在でも浮腫はないものの、簡単なものをもっても手がしびれるなどかなりの不便」
⇒通常はこのようなことはありません。
「手術精度の問題」か、もしくは(そもそも最初からリンパ節転移が高度であり)「仕方が無かった状況」なのかのどちらかです。
「センチネルリンパ生検が必要なケースというのはどういう時で、必要のない場合も存在するのでしょうか?」
⇒外科的生検のように「病変全体の評価で非浸潤癌と確定」している場合のみ「センチネルリンパ節生検の適応外」となりますが、その他の場合には「センチネルリンパ節生検は必須」となります。
「センチネルリンパ生検のみではリンパ付近に傷がつき、手の動き、リンパの流れに支障がでることはないのでしょうか?」
⇒ありません。
「もし全摘にすることで、リンパ節廓清しないですむならその方がいいのですが、温存か全摘かによってリンパ節廓清するしないの判断が変わることはあるのでしょうか?」
⇒全くありません。
「乳腺をどうするか?(温存+放射線 or 全摘)」と 「リンパ節をどうするか?」は全く無関係です。
「癌が仮にリンパ節転移していても、リンパ節廓はしたくないです。それを医師に伝えればそれは可能なのでしょか?」
⇒もしもリンパ節転移を放っておけば、『いつか、必ずそのリンパ節が原因でもっと酷い事態』となるのです。
その考えは止めましょう。
「これだけ不自由がでてくると今回は慎重にならざる得ない状態です。アドバイスお願いいたします。」
⇒手術精度が高い医師に手術してもらう事です。
センチネルリンパ節生検をして不自由となるなど、あり得ない事です。