[管理番号:3388]
性別:女性
年齢:32歳
若年性乳がん
初めてお世話になります。
32歳、7歳と5歳児の母です。
7/(下旬)に右乳のしこりに気づき受診。
マンモ、エコー、視触診、細胞診の結果乳がん確定。
右乳首上に縦2.6~2.9センチ、横1.8センチでリンパに2つ転移。
MRIの結果しこりの広がりはなく固まっている様子。
PETの結果リンパの2つ以外に転移はなくステージ2bとの診断を、7/(下旬)に受けました。
本当は(下旬)日に針生検をする予定でしたがPETの結果リンパ以外の転移は見られなかった為、針を刺してガンを刺激し流れ出て進行するリスクもあるので、針生検はやめましょうとなりました。
手術は最速でも9月初めになるとのことで、それまでの1ヶ月間弱めの抗がん剤を打って進行を抑えて手術、その後抗がん剤や放射線治療をしようかという話になったのですが、私の貧血が発覚。
数値は、
白血球数3060
赤血球数424
血色素量9.1
ヘマトクリット31.6
MCV75
MCH21.5
MCHC28.8
今抗がん剤を使って貧血がこれ以上ひどくなると手術も難しくなるので、まずは何もせず9月にまず手術して取ったがんの性質を調べましょう。
放射線も白血球が下がったり体に負担がかかるので、負担は1つでも減らした方がいいので全摘。
術後2週間でがんの性質が分かるので、それからどういう薬を使うのか考えましょう。
若年性の場合、悪性の高いものやトリプルネガティブの可能性もある。
とにかくまずは手術してから考えましょう。
貧血の原因を婦人科などで調べてきてください。
と医師から言われました。
すぐに内科と婦人科を受診。
内科ではより詳しい血液検査と検便をし、血便は無し、フェリチン定量が4.9で測定不能なので鉄欠乏性貧血でしょうと診断。
鉄剤を飲めば数値は上がってくるはずとの事で鉄剤を処方されました。
婦人科ではエコーで子宮を見て問題無し、子宮頸がん検査は結果待ちです。
婦人科の医師からも、経血過多による貧血だろう。
出血を抑えたいなら、全身への影響の少ないIUSという子宮内黄体ホルモン放出システムを来月子宮に入れましょう。
と言われました。
私の担当の乳外科の先生は、婦人科の事はわからないと言っていました。
同じく婦人科の先生も、あくまで経血過多を抑える手段としての処置を
示してはくれますが、そこに抗がん剤を使ったときの事まではよくわかっていないような感じです。
田澤先生は、IUSを手術前に入れるべきだと思われますか?
また、鉄剤を飲みながらの抗がん剤という事は可能なのでしょうか?
手術まで1ヶ月、術前抗がん剤も出来ずただ進行を許してしまい、がんが広がってしまわないかとても不安です。
診断を受けてから、日々しこりや脇の痛みや腫れぼったさ、右腕の倦怠感が増し、箸で食事をするのもしんどくなってきたのですが、進行しているのでしょうか?
手術して摘出するまで術後の治療方針がわからない事もとても不安です。
これで悪性の強い薬の効きづらいがんだった場合、私はどうすればいいのでしょうか、、、?
また、今まで乳がん検診を受けた事もなかったので、この大きなしこりが10年かけて大きくなったものなのか、急激にできたものなのかもわからず、後者だった場合の事を考えるとこの1ヶ月間が命を左右しているかもしれないと、焦ります。
田澤先生は、これまでの私の診察や流れをどう思われますか?
針生検して術前抗がん剤も、貧血の為に何もせず手術まで過ごしていいのでしょういうか、、?
また、田澤先生なら私のような患者の場合どのような治療方針をお考えになられますか?
貧血持ちの若年性乳がん治療にいい方法はないでしょうか?
ステージ2bと聞いた後も、医師から「若年性で非常に暴れん坊の可能性もあるし、PETでも全身に小さく広がったがんは現段階ではわからない」と言われとても不安です。
若年性の場合、ステージや再発率や生存率、治療に関しても一般的な乳がんとはやはり違うのでしょうか?
お忙しいところ長文で恐縮ですが、担当医からは入院日まで受診の必要はないと言われており、他にご相談できる人が田澤先生しかいません。
どうかお考えお聞かせください。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「針を刺してガンを刺激し流れ出て進行するリスクもあるので、針生検はやめましょうとなりました。」
⇒この医師は大丈夫ですか??
そんなことを考えているようでは「乳腺外科医としてやっていけない」と(厳しい様ですが)率直に思います。
「貧血の原因を婦人科などで調べてきてください。」
⇒この程度の貧血は女性(ある程度生理の量が多めならば)よく有ることで、担当医は「騒ぎ過ぎ」だと感じます。(私であれば、「生理の量は多めですか?」で終わりです)
「婦人科の医師からも、経血過多による貧血だろう。」
⇒当然の結果と言えます。
「出血を抑えたいなら、全身への影響の少ないIUSという子宮内黄体ホルモン放出システムを来月子宮に入れましょう。」
⇒とても信じられません。
この程度の貧血は「普通」です。
原因が「月経過多」と解ったことで十分すぎます。(処置や鉄剤など一切不要です)
「田澤先生は、IUSを手術前に入れるべきだと思われますか?」
⇒1000%ありえません。
普通に手術しましょう。
というか…
この程度の貧血を気にするような医師の手術で大丈夫なのか?心配になります。
(乳癌の手術は、出血しないので貧血など全く気になりません)
「また、鉄剤を飲みながらの抗がん剤という事は可能なのでしょうか?」
⇒この程度の貧血で「抗ガン剤には影響無」です。(鉄剤は飲んでも飲まなくてもい
いでしょう)
「診断を受けてから、日々しこりや脇の痛みや腫れぼったさ、右腕の倦怠感が増し、箸で食事をするのもしんどくなってきたのですが、進行しているのでしょうか?」
⇒1000%ありえません。
ご安心を。
そもそも乳癌は「消化器系の癌とは異なり」進行しても、「そもそも無症状」です。
「手術して摘出するまで術後の治療方針がわからない事もとても不安」
⇒普通に針生検するのが常識です。
「これで悪性の強い薬の効きづらいがんだった場合、私はどうすればいいのでしょうか、、、?」
⇒それぞれのサブタイプに応じた治療を選択すればいいのです。
担当医の「余計な脅しの様なコメント」など、完全に無視しましょう。(全く根拠がない)
「この1ヶ月間が命を左右しているかもしれないと、焦ります。」
⇒全くの杞憂です。
考え過ぎです。
「田澤先生は、これまでの私の診察や流れをどう思われますか?」
⇒正直言わせてもらうと…
担当医のセンスに疑問があります。
○変な理由をつけて針生検しない(その割に、若年者に簡単に被爆の強いPETなど平気で行っている)
○大した貧血でも無いのに騒ぎ過ぎ
○「若年性は悪いタイプかもしれない」などと、わざわざ(言わなくてもいいような)不安をかきたてるコメントをしている(今時32歳は、めずらしくはありません)
「針生検して術前抗がん剤も、貧血の為に何もせず手術まで過ごしていのでしょういうか、、?」
⇒そもそも「手術まで2カ月ない」わけですよね?
今8月で9月の手術ならば…
その位の「手術待ちは通常のこと」であり、その間に「抗ガン剤をやっておく」こ
とは一般的ではありません(やって悪いとはいいませんが)
つまり、「2カ月の手術待ちの間」に何もしないのは『ごくごく当然のこと』なのです。
○進行などしないので、御心配無く。
「また、田澤先生なら私のような患者の場合どのような治療方針をお考えになられますか?」
⇒普通に針生検して確定診断として
普通に手術
術後は「サブタイプに応じた」薬物療法をします。
「貧血持ちの若年性乳がん治療にいい方法はないでしょうか?」
⇒この程度の貧血は気にしません。
そもそも抗ガン剤での骨髄抑制は「貧血には影響ない」のです。(dose-denseでもしないかぎり)
「医師から「若年性で非常に暴れん坊の可能性もあるし、PETでも全身に小さく広がったがんは現段階ではわからない」と言われとても不安です。」
⇒余計な心配をさせるようなコメントばかりする医師ですね。困ったものです。
患者さんを(無駄に)心配させて何がしたいのでしょうか?
「若年性の場合、ステージや再発率や生存率、治療に関しても一般的な乳がんとはやはり違うのでしょうか?」
⇒全く同じです。
御心配無く。
質問者様から 【質問2】
管理番号:3388
若年性乳がん
昨年質問させていただいた際は、長文にも関わらず丁寧に回答してくださり本当にありがとうございました。
田澤先生のご意見、大変参考になり精神的にもとても救われました。
この度新たに治療方針で選択をしなければいけないことがあり、お忙しいところ恐縮ですが質問させていただきたいです。
よろしくお願い致します。
その後、内科医の指導のもと鉄剤は服用しつつ、婦人科で提案されたIUSは入れず、昨年9月上旬に全摘手術、腋窩リンパ節郭清を受けました。
ちなみに主治医は手術件数5000件以上で抗がん剤治療の経験も豊富な為、初診から手術・投薬まで診ていただいています。
病理検査の結果
リンパ節は当初2個転移と確認していましたが、手術で15個切除、内8個
転移していました。
筋肉、皮膚、血管には侵襲なし
腫瘍経2センチ以上3センチ未満
硬がん
ホルモン陰性
HER2陽性80%
グレード3
9月下旬よりEC療法4クール、
その後ドセタキセル4クールとハーセプチンも開始
今年2月下旬ドセタキセル終了後、5月から放射線治療(鎖骨上窩・傍胸
骨部・胸壁)25回を開始し6月中旬に終了
4月にCT検査(肺・肝臓)異常なし
5月に骨シンチ異常なし
現在ハーセプチン8回終了
2週間前、ハーセプチン8回目投与時に乳腺外科で診察を受けた際、医師より
「放射線治療治療中は抗がん剤使えなかったけど、無事に終わったことだし、ハーセプチンは2月で終了すると無治療になるので、もう一度抗がん剤治療をしますか?」
とのお話がありました。
私は初期治療はこのままハーセプチンを1年間受けた後は経過観察になり、再発する時まで抗がん剤治療を受ける機会はないと認識していました。
しかし医師から、
「あなたは33歳でリンパ多数転移があったしグレード3。
2~3年で再発する確率が高い。
希望するならまた抗がん剤治療を受けることもできる。
もちろんQOLがまた下がるが、抗がん剤治療をもう一度することにより再発時期を遅らせることができるかもしれない。
根治もできるかもしれない。
逆にやってもやらなくても変わらないかもしれない。
それでも、自分で本などでいろいろ調べて考え、希望するなら使える薬を探すこともできる。
やるなら強い薬を使わないと意味がないだろう。」
との説明をされ、突然のことで混乱し、とりあえずその場では予定通りハーセプチンのみを1年間使用することにしました。
しかし、家族に相談すると、
「やらずに後悔することになるならやっておいた方がいいのでは」
「抗がん剤治療を間隔を開けずまた受けることで身体にダメージが残らないか心配」
など意見が分かれています。
私は、もう一度化学療法を受けることで根治できるなら、再発時期を遅らせられるなら、本当に可能性が上がるのなら受けたいと思っていますが、情報がなく困っています。
年齢や病理検査の結果を踏まえ、私の再発率や生存率はどうでしょうか?
2~3年後再発する可能性が高いというのは、術後から数えるのでしょうか?それとも化学療法終了後から数えるのでしょうか?
当初ステージ2bとの診断でしたが、術後リンパ転移8個ということを考えると実際はステージ3a相当と医師から言われたのですが、そう認識していた方がいいのでしょうか?
初期治療で術後抗がん剤→放射線治療→再び抗がん剤で叩くというのは標準治療から外れますか?
効果の統計データなどはあるのでしょうか?
また田澤先生はこの効果や必要性はどう思われますか?
再び抗がん剤を使うことでのメリット、デメリットを具体的に教えていただきたいです。
本で調べようにも、初期治療で2度化学療法をするという治療の情報が全くなく、私もどう判断していいのかわからず、ご無礼を承知で質問させていただきました。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
それにしても「かわった」医師ですね。
33歳と言う年齢に拘りがあるようですが…乳癌は急激に若年化して(私の感覚では)33歳は決して珍しいほど若くはない。勿論
治療方針に影響は全く与えません。(ついでに言えば20代後半も増えています。20代前半なら考えるでしょうが…)
また「若い」を強調しておきながら術後に「CT」を無駄に撮影していますが…
そこに配慮は??
「年齢や病理検査の結果を踏まえ、私の再発率や生存率はどうでしょうか?」
⇒抗HER2療法は3年のデータしかありません。
再発率は23%
生存率は86%
となります。
「術後から数えるのでしょうか?それとも化学療法終了後から数えるのでしょうか?」
⇒術後からです。
「当初ステージ2bとの診断でしたが、術後リンパ転移8個ということを考えると実際はステージ3a相当と医師から言われたのですが、そう認識していた方がいいのでしょうか?」
⇒その通りです。
pT2(20-30mm), pN2, pStage3Aとなります。
「初期治療で術後抗がん剤→放射線治療→再び抗がん剤で叩くというのは標準治療から外れますか?」
⇒外れます。
「効果の統計データなどはあるのでしょうか?」
⇒ありません。
「また田澤先生はこの効果や必要性はどう思われますか?」
⇒全く根拠がありません。
「再び抗がん剤を使うことでのメリット、デメリットを具体的に教えていただきたいです。」
⇒どちらも未知です。