[管理番号:3154]
性別:女性
年齢:47歳
2月に告知されて以来、この乳がんプラザを閲覧しながら不安な気持ちを一つ一つ解消することができました。
ありがとうございました。
術後の病理診断結果が出て冷静な気持ちで質問させていただこうとしたら、数日間のクローズにぶつかり、術後の治療をすでに決めてしまいました。
しかし、ぜひ先生のご意見を頂きたくお願い申し上げます。
質問は「この術後療法が妥当(最良)か」「再発率 生存率 は」です。
病理組織型 粘液癌(混合型)
浸潤部 1.5cm (全体の範囲4cm)
乳頭温存皮下全摘
センチネルリンパ節生検
エキスパンダー挿入
リンパ節転移 陽性 1mmの微小転移
脈管浸潤 1
ER 90% PgR 90%
HER-2 1(陰性)
組織学的異型度 3
Ki-67 35~43%
術後療法として
TC療法 + タモキシフェン
を提案され、既に了承しました。
事後報告のようで恐縮ですが、いかがでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(15mm), pN1mi, luminalB(Ki67=35-43%)
「この術後療法が妥当(最良)か」「再発率 生存率 は」です。
⇒ルミナールBである以上、「化学療法の適応あり」です。
ルミナールタイプの化学療法として「TC療法は妥当」です。(私でも、そのようにします)
再発率は「13%」10年生存率は「91%」となります。
質問者様から 【質問2】
再びお世話になります。
質問は「TC療法によるアレルギーは珍しくないのか」「FEC4回のみは(今回のようなケースには)妥当か」「再発率 生存率に変わりはないか」です。
前回、術後病理診断結果と化学治療適応の確認で「TC療法が妥当」とのご回答を受け、意気込んで昨日第1回投与にむかいました。
グラニセトロンとデカドロン投与中はスムーズでしたが、いよいよワンタキソテール投与となり、看護師と雑談しながら5分ほどで、急に顔がカーッと熱くピリピリし始め胸苦しくなり、担当医も駆けつける事態となりました。
ステロイドと抗アレルギー剤などいくつか点滴をして安定しましたが、
しばらく下痢のような腹痛で横になれませんでした。
トイレで少量の出血があり、内痔核か婦人科系のものか判然としません。
担当医からは「いろいろ検討したがFEC4回のみを3週間後から開始しよう」と提案されました。
田澤先生のご回答に「私もTCをすすめる」とありましたので意気込んでいただけに、断念を余儀なくされ無念な気持ちです。
以上が、質問に関する内容です。
余談ですが、粘液癌と一緒に隠れていたものを担当医に質問したところ
「 乳頭直下〇〇??というお花畑のような形状のもので粘液癌と混ざってキラキラしていたよ。
ちょっとよくないタイプだけど大丈夫だよ」
専門外の私が投与騒ぎ前に聞き取ったことなので記憶が曖昧です。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
ドセタキセルによるアレルギーですね。
大変でしたね。
私の患者さんの中でもそのような方は数名経験あります(幸い、この数年はいらしゃいませんが…)
「TC療法によるアレルギーは珍しくないのか」
⇒TCというか、「ドセタキセルによる急性アレルギー」はしばしばあります。
多くは「喉頭及び鼻粘膜の浮腫」により「呼吸困難」の症状がでます。
また「口唇が暫く厚ぼったくなる」のも特徴です。
一過性であり、後遺症となることはありません。
「FEC4回のみは(今回のようなケースには)妥当か」
⇒妥当です。(但し、私ならFECではなく、ECですが…)
Another choiceとしては「weekly PTXがある」わけですが、これは「標準治療とはいえない」ものです。
「再発率 生存率に変わりはないか」
⇒TC>ACというデータはでていますが、その差は数字としては(質問者のような早期乳癌では)「微々たるもの」だとは思います。
質問者様から 【質問3】
お忙しいところ恐縮ですが 3回目の質問をさせていただきます。
よろしくおねがいいたします。
質問内容は「腫瘍マーカーの推移と術後療法について」です。
合わせて「3つの不安」についても列挙させて頂きましたが、とるにたらない(杞憂に過ぎない)と思われるような項目はお見逃しください。
4/(上旬) CA15-3 11 CEA 0.4
5/(上旬) 右乳房 乳頭皮下全摘
6/(下旬) TC療法アレルギーで断念 直後 CA15-3 13 CEA 0.6
7/(上旬) 婦人科 子宮筋腫1.5cmに加え 子宮内膜ポリープ1.2cm発見(良性)
7/(下旬) 8/(中旬),(下旬) 9/(下旬) FEC100 完遂
10/(中旬) 職場復帰 CA15-3 27 CEA 0.7
ノルバデックス錠20mg フェロミア錠50mg シナール配合錠
先生のQ&Aを拝見したところ 「手術直後の個人の基準値からの推移が重要である」とありましたので、大幅に数値が上がっていることに不安を感じました。
『乳がん診療ガイドライン』にも数値で一喜一憂しないようにとあり、冷静になりたいとは思っていますが、患者なら誰しも同じような不安を抱えていると思い、記述させていただきました。
なお、担当医からは「なぜ高いのかはまだわからない。
次の1ヶ月後の血液検査をみよう。
子宮筋腫やポリープを持っているから影響もあるかもしれない」とのことでした。
またこれからの術後療法として
ノルバデックスのみですが、「LH-RHアゴニスト製剤は併用しなくてよい」と担当医の診断がありました。
47歳 閉経前でしたが、FEC治療中に生理が少ない量になり、9/(上旬)を最後にきていません。
このことから、ノルバデックス単独で心配ないととらえてよろしいのでしょうか?
今後の長きにわたるホルモン治療を前に不安材料がいくつかあります。
①術後の病理診断結果で「再発リスクは中間」にもかかわらず、タキサン系抗がん剤が投与できなかったこと
②抗がん剤治療中は空咳がしばしばあり、かかりつけの和漢診療科医師から「麦門冬湯」「半夏厚朴湯」を処方されているが乳がん転移への、
因果関係はないのか
③FECを重ねるごとに予測性嘔吐と副作用が増し、完遂した今(最終投与から24日目)もヘモグロビンが8.2と下降したままだが、リカバリーできるのか
大学病院の担当医から年度内退職(他県大学病院へ)を知らされ、告知以来の担当医(執刀医)がいなくなることに大きく動揺もしています。
(大学病院とはそういうところなのですね)
これから長く続く治療を乗り越え、生き生きと生活するために、田澤先生から指針をお願いしたく、長々と書き連ねてしまいました。
よろしくおねがいいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「大幅に数値が上がっていることに不安を感じました。」
⇒CA15-3が27では「大幅」とは言いません。
私が想像するに…
抗ガン剤が影響していそうです。(抗ガン剤中は、結構よくみられます)
「3カ月後の再検で十分」です。
「FEC治療中に生理が少ない量になり、9/(上旬)を最後にきていません。このことから、ノルバデックス単独で心配ないととらえてよろしいのでしょうか?」
⇒現在は「化学療法閉経の状態」です。
47歳というのは「月経再開の可能性」もあるので(再開したら、LH-RHagonistを併用するつもりで)注意が必要です。
♯予め(月経再開しないように)併用していても問題ありません。
「①術後の病理診断結果で「再発リスクは中間」にもかかわらず、タキサン系抗がん剤が投与できなかったこと」
⇒「再発リスクが中間?」
十分低リスクです。
「アンスラサイクリン+タキサン」は不要です。
「②抗がん剤治療中は空咳がしばしばあり、かかりつけの和漢診療科医師から「麦門冬湯」「半夏厚朴湯」を処方されているが乳がん転移への、因果関係はないのか」
⇒何でも「転移と関連付ける」気持ちは解りますが…
違います。
「③FECを重ねるごとに予測性嘔吐と副作用が増し、完遂した今(最終投与から24日目)もヘモグロビンが8.2と下降したままだが、リカバリーできるのか」
⇒当然、元に戻ります。