[管理番号:2832]
性別:女性
年齢:46歳
初めまして。
今年の1月末に乳がんと分かり何の知識もなく不安な中、
田澤先生のQ&Aにてひとつずつ勉強させていただいておりました。
ただ自分の現状についていくのがやっとですが…
今では主人も先生のファンでまるで
田澤先生が近くにいらっしゃるようで心強い存在となっております。
今回ご相談をお願いいたします。
46歳
浸潤性入管癌
ER 強陽性 PgR 陽性
HER2 2+ 陰性
Ki-67 5.4%
3/(下旬) 左乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検の手術
乳房温存術(円状)
断端陽性だったため更に追加切除(追加切除の部分は陰性)
腋下リンパ節郭清なし
腫瘤径 0.9×0.55(cm)
リンパ節転移2/9(2個とも微小転移)
l y(-) V (-)
g (乳腺内にとどまる)
グレード1 硬癌
毎年 健康診断を受けてた病院より
昨年10月 要精密検査ということで予約をいれようとしたところ、
北斗晶さんの話題により予約が一杯で12/(上旬)に…近所の乳腺外科も同じような状態で待つことに…。
12/(上旬)の診察では過去5年分のマンモグラフィのフイルムを見比べながら
癌ではないので大丈夫、急がないとのこと。
エコー検査は4時間待ちだ
ったので1/(下旬)に予約を入れて帰りました。
1/(下旬) エコー検査の後、CNB検査。
そこで初めて医師から癌だと告げら
れ…そこからMR CT 骨シンチを経て3/30の手術までに至りました。
余りにも手術まで長かったのでリンパ節転移が心配で医師にたずねると、
乳がんは進行が遅いし腫瘤が小さいので転移までは大丈夫だろうということでしたが
(一応開けて見ないと分からないこともある…と説明は受けました)、
今回微小転移2個という結果になりました。
質問なんですが
今後の治療として医師からは放射線治療に加えて
TC療法までいかずとも
TAM+UFT…微小転移があったのでしたほうがいいのでは?と提案されてます。
田澤先生のサイトを拝見し私自身ホルモン剤療法(+放射線治療)だけでと思ってます。
ホルモン剤療法(+放射線治療)だけでいける場合、
田澤先生の後押しをいただけると今後 自信を持って治療ができそうです。
ただ毎年検診→ルミナルA グレード1で腫瘤径0.9cm→微小転移2個転移が早いようで…硬癌のことはあまり気にすることはないと
田澤先生と同じことをおっしゃってましたが、
UFTや他の抗ガン剤をしたほうがいい理由があるのでしょうか…
UFTをすることにより無再発率はどのくらい上乗せがあるのでしょうか。
また、5年分(その間エコー検査はなく触診とマンモのみ)のマンモグラフィでも癌だと分かりにくいものもあるのでしょうか…12/(中旬)に判明してたら手術もあと2ヶ月ほど早く微小転移もなかったのでは…と今更ながら思います。
初歩的な質問かも知れませんが
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN1mi, luminalA(Ki67=5.4%), g, NG1
時々遭遇するKi67=一桁のluminalA
これは全く抗がん剤の適応は無と考えるべきでしょう。
SABCS 2015で発表された『luminalAには、(たとえ腫瘍径が大きくとも、リンパ節転移があっても)化学療法の恩恵は無い』という報告を待つまでもありません。
また、「微小転移は予後に影響を及ぼさない」ということが証明されつつあり、その点も(pT1bであることも含め)問題ありません。
「TC療法までいかずともTAM+UFT…微小転移があったのでしたほうがいいのでは?と提案」
⇒全く根拠がありません。
「何となく経口抗がん剤でも…」という極めて「日本的曖昧さ」が出ていますが、
全く論外です。
化学療法の効果が期待されないであろう根拠は冒頭に出しましたが、
さらに「CMFに対して非劣勢を証明されないまま終了」してしまったUFTは「標準治療でさえまりません」
「UFTや他の抗ガン剤をしたほうがいい理由があるのでしょうか…
UFTをすることにより無再発率はどのくらい上乗せがあるのでしょうか。」
⇒ありません。
勿論UFTによる「上乗せデータなど存在しません」
言葉は悪いですが…「気休め」という日本的表現がぴったりきます。
「5年分(その間エコー検査はなく触診とマンモのみ)のマンモグラフィでも癌だと分かりにくいものもあるのでしょうか」
⇒そもそもpT1bでは「1年前には発見できない」ものだと思います。
更にマンモグラフィーは…
残念ながら「早期発見と言う意味では(石灰化を覗けば)超音波には圧倒的に劣る」のです。
「12/(上旬)に判明してたら手術もあと2ヶ月ほど早く微小転移もなかったのでは」
⇒気持ちは解りますが…
誰にも解らないことです。
ただ、乳癌は「数カ月単位では変わらない」と思います。(一般に)