［管理番号:2680］
性別:女性
年齢:47歳
はじめまして
いつもこちらを拝見させていただき色々参考にさせていただいております。
ありがとうございます。
２月に非浸潤がんで右胸温存手術をし、病理の結果がでました。
ガンの範囲は５センチで、７ミリの浸潤がありました。
ER（－）PR（－）HER２（３+）
HER２タイプ
Ki67 40パーセント
病期１
リンパ転移なし
今後は抗がん剤、ハーセプチンを推奨しますが
考えてみてくださいとのお話をいただきました。
お忙しいところお手数をおかけしますが、先生はどうお考えかお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(7mm), pN0, pStage1, HER2 type
十分な早期です。
ただ、pT1bでは「抗HER2療法の適応がある」のです。
「今後は抗がん剤、ハーセプチンを推奨します」「先生はどうお考えか」
⇒pT1bでは正直迷いますが…
「抗HER2療法は再発率を半分」にします。
質問者のケースでは再発率は「17%⇒8%」となります。
○数字をみれば、やはり「やるべき」でしょう。
質問者様から 【質問２】
先日は早速のご回答をありがとうございました。
おかげさまで前向きに
抗がん剤とハーセプチンの治療が受けられます。
本当に感謝させいえいただいております。
そこで、もうひとつ気になることができましたので、質問させていただきます。
AC療法を４クールとハーセプチン１８回、放射線治療になるようなのですが、抗がん剤の副作用の中に、白血病が１％あるとの説明をうけました。
１％は低い確立ではありますが、実際になられた方もいらっしゃるとお聞きして、そのことについてはかなりの不安になりました。
先生のご経験の中でもこういうことはございましたでしょうか？
ご意見お聞かせいただけたら幸いです。
宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答２】
こんにちは。田澤です。
「アンスラサイクリン投与」で「1％に白血病？」
もしも、そんなに高率ならば「怖くて、アンスラサイクリン治療など（術後補助療法としては）できない」ことになります。
１％の確率で「白血病」になるようでは「術後補助療法からＡＣやＦＥＣは確実に姿を消す」でしょう。ＴＣがあるのですから…
「AC療法を４クールとハーセプチン１８回、放射線治療になる」
⇒あまり賛成できません。
抗HER2療法のgolden standardは「アンスラサイクリンｘ４」⇒「ＤＴＸ＋ＨＥＲｘ４ or weeklyＰＴＸ＋ＨＥＲｘ１２」⇒「ＨＥＲ単剤ｘ１４」です。
おそらく、担当医は「質問者が早期だから」ということで「タキサンを省略」しているようですが…
通常、早期に対する「抗HER2療法」は「非アンスラサイクリン」レジメンとなります。
（非アンスラサイクリンレジメン）
①ＴＣ＋ＨＥＲ
②weeklyＰＴＸ＋ＨＥＲ⇒ＨＥＲ単剤
③ＴＣＨ
この場合、「何故非アンスラサイクリンレジメン」が用いられるかの理由は「白血病ではなく、心臓に対する負担」です。
欧米では「心疾患が問題」となるので、非アンスラサイクリンレジメンが主流となりつつあるのです。
今週のコラム「19回目 つまり「術前化学療法を行う理由」として「効果の有る薬剤を調べる」というのは、『ナンセンス』なのです」を参照してください。
「抗がん剤の副作用の中に、白血病が１％あるとの説明をうけました。
１％は低い確立ではありますが、実際になられた方もいらっしゃる」
⇒1％もいたら大変です。
私は「何千人単位での経験で1人だけ」です。
「先生のご経験の中でもこういうことはございましたでしょうか？」
⇒上記通りです。
アンスラサイクリンを行うと（1％はさすがに大げさですが）全く無いとはいいきれません。
その意味では（幸い、質問者は超早期なので）是非、「非アンスラサイクリンレジメン」にしてもらいましょう。
質問者様から 【質問３】
再度のご丁寧なお返事をありがとうございました。
副作用の白血病についましては、よく理解いたしました。
先生のお話を伺い、できれば非アンスラサイクリンレジメンに
していただきたいとは思うのですが、
AC療法と非アンスラサイクリンレジメンでは予後や効果の差はあるのでしょうか？
お忙しいところ申し訳ございませんが宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答３】
こんにちは。田澤です。
「できれば非アンスラサイクリンレジメンにしていただきたいとは思うのですが、
AC療法と非アンスラサイクリンレジメンでは予後や効果の差はあるのでしょうか？」
⇒直接比較はありません。
それぞれが有効であることが解っているだけです。
だから、golden standardはあくまでも「アンスラサイクリンレジメン」なのです。