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全摘術後の状態 治療について

[管理番号:2669]
性別:女性
年齢:50歳
質問失礼します。
いくつか質問をさせてください。
先日 母が左乳房の全摘手術を受けました。
術前検査では 腫瘍の大きさ12mm、転移などはみられず、
ステージ1の段階であるとの話でした。
所見については
ER(+.95%)
PGR(+.95%)
Her2(1+.陰性)
ki67 40%
組織学的にN/C比が高く核の腫大、核形不整を示す異形細胞が乳頭状、
管状に浸潤し、一部ではmicropapillary patternを示す。
一部乳管内病変が
認められ、cribriform-comedo patternを示す。
浸潤部にp63染色にて明ら
かな筋上皮との二層性は認められない。
とのことでした。
センチネルリンパ節生検においても
転移は認められなかったということで郭清はしていません。
数日後病理結果を聞くことになっています。
そこで質問なのですが、母の癌のルミナール?というのはどのタイプになるでしょうか?
それと術後7日目に退院したのですが、脇の部分にしこりのようなものがあるといっています。
突っ張りもあるということなのですが術後よくあることなのでしょうか?
しこりについて とても気にしています。
先生のご見解を聞かせていただけると幸いです。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
cT1c(12mm), cN0(センチネルリンパ節生検で陰性であり、pN0と想像される),
cStage1, luminalB(Ki67=40%)
「母の癌のルミナール?というのはどのタイプになるでしょうか?」
⇒ルミナールタイプとは「ER+のタイプ」をいいます。(ホルモン療法の感受性あり)
 ルミナールタイプは以下に細分化されます。
 ①ルミナールA ER+, HER2-, Ki67低値
  術後の治療法 ホルモン療法単独
 ②ルミナールB(HER2-) ER+, HER2-, Ki67高値
  術後の治療法 ホルモン療法+抗ガン剤
 ③ルミナールB(HER2+) ER+, HER2+
術後の治療法 ホルモン療法+抗HER2療法(ハーセプチン+抗ガン剤)
 ♯ 質問者は上記②に相当します。
 このように、「抗ガン剤をするかどうか」は「リンパ節転移などの進行度とは無関係に癌のタイプ(これをサブタイプと呼びます)によって決まる」のです。
 
「 それと術後7日目に退院したのですが、脇の部分にしこりのようなものがあるといっています。」
⇒リンパ液が腋窩に貯まっているのかもしれません。
 
「突っ張りもあるということなのですが術後よくあることなのでしょうか?」
⇒通常、「センチネルリンパ節生検」では起こりません。
 腋窩郭清を行うと「リンパ液が貯まる」ことがあります。
 
「しこりについて とても気にしています。」
⇒心配ありません。
 いずれ吸収されますし、外来受診すると(多く貯まっている場合には)注射器で穿刺吸引するでしょう。