[管理番号:2611]
性別:女性
年齢:77歳
77歳の母のことで相談させてください。
1月中にしこりを発見。
なぜ今まで気がつかなかったか?と不思議なくらい、しっかりつかめる大きさ。
4センチくらいある様
2月に受診、細胞診の張りを刺す検査をして、一ヶ月後に手術
当初は温存で良いとのことでしたが、心配だった為、全摘に変更してもらう
手術後、リンパが腫れてそうなのが、四つあったので四つとった。
そのうち、ひとつに転移あった。
小さなものだから、手術後はホルモン療法のみでいいだろうとの説明
ホルモンが良く効くタイプだから。
10日後の退院。
退院の一週間後に外来(3月(中旬)日)
4つとも、リンパに転移がありました。
抗がん剤を考えなくてはいけません。
ハーセプチンを3週間に一回で半年やります。
それが終わったら、ホルモン療法をやります。
普通の抗がん剤とセットにして、やらなくていいか?
聞くが普通の抗がん剤は2~3割の人にしか効果はなし。
10人中7人はやる必要がないのに、大変な苦しみでやる必要ないとのこと。
質問1
抗がん剤は本当にしなくても大丈夫か?
やるとしたら、何の抗がん剤か?
母は高齢です。
72歳で交通事故にあい、脳挫傷で右の脳の一部が死んでます。
取り除く予定で手術をしたが、出血の恐れで取りませんでした。
植物人間になる可能性ありとのことでしたが、奇跡的にほぼ普通の生活に回復しました。
毎日の40分の散歩もしています。
そんが母が抗がん剤をするのは、体的に耐えられるのか?
質問2
リンパを4個とり、全部に転移
残ったリンパは取らなくていいのか?
聞いたら、むやみにリンパを取る必要なないんです。
むくみが出たりするからとのこと
質問3
ホルモン療法とハーセプチンのみだとして、ハーセプチン終了後にホルモン療法とのことです。
お互いの効果を殺しちゃう可能性があるからとのこと。
併用がいいと書かれているのもあり、どちらがいいのか?
質問4
兄は地元でセカンドオピニオンを受けるよう言います。
3月(中旬)日からハーセプチンを始める予定ですが、セカンドオピニオンを受けたら、スタートが遅れます。
ハーセプチンは手術後になるべく早くにスタートすべきとありますので、遅くなるとどうなんでしょうか?
もし、
一回目にハーセプチン、2回目に転院して抗がん剤もとなったら、大丈夫なのでしょうか?
心配で一睡もできません。
食事も喉を通りません。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○抗HER2療法は必ず「通常の抗がん剤と併用」しなくてはなりません。
それは「77歳」でも同様です。
「ハーセプチン単剤で半年?」無意味です。
「10人中7人はやる必要がないのに、大変な苦しみでやる必要ないとのこと。」
⇒抗がん剤にも「十分、忍容性があるやり方」のコントロールを知らないのでしょう。
「質問1、抗がん剤は本当にしなくても大丈夫か?
やるとしたら、何の抗がん剤か?
母は高齢です。」
⇒抗がん剤は必ずしなくてはなりません。
77歳でも同様です。
最も「忍容性のある」抗がん剤としては「毎週投与のパクリタキセル」でしょう。
本来のやり方は「ハーセプチン+パクリタキセル(毎週投与)」x12回+ハーセプチン単剤(3週に1回)14回ですが、
ここは高齢なので「パクリタキセルは6回を目標」にしましょう。
6回までなら、「殆ど副作用ありません」(心配ならば、通常投与量の80%にします)
「そんが母が抗がん剤をするのは、体的に耐えられるのか?」
⇒大丈夫です。
抗がん剤を「無暗に恐れる」のは「抗がん剤のコントロールを知らない医師だけ」です。
きちんとしたコントロールをすれば、何ら問題ありません。
それよりも「抗HER2療法」という素晴らしい治療を受けられなかったばかりに「再発して大変な思い」をすることの方が心配です。
「質問2、リンパを4個とり、全部に転移
残ったリンパは取らなくていいのか?
聞いたら、むやみにリンパを取る必要なないんです。
むくみが出たりするからとのこと」
⇒これに対しては、「担当医に同意」します。
特に高齢者では「転移性リンパ節以外」は、「萎縮して殆ど無くなっている」ことさえもあります。
追加で廓清する意味はありません。
「質問3 ホルモン療法とハーセプチンのみだとして、ハーセプチン終了後にホルモン療法とのことです。お互いの効果を殺しちゃう可能性があるからとのこと。併用がいいと書かれているのもあり、どちらがいいのか?」
⇒併用で「何ら、問題無」です。
「質問4 兄は地元でセカンドオピニオンを受けるよう言います。
3月(中旬)日からハーセプチンを始める予定ですが、セカンドオピニオンを受けたら、スタートが遅れます。」
⇒大した問題ではありません。
「ハーセプチンは手術後になるべく早くにスタートすべきとあります」
⇒それは「どこの」情報ですか?
ネットなのかもしれませんが、「全ての情報が正しい」わけではありません。
あくまでも「術後の補助療法」は「数年後の予防のため」なのです。
「一刻を争う」必要など全くありません。
「もし、一回目にハーセプチン、2回目に転院して抗がん剤もとなったら、大丈夫なのでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
最終的に「抗がん剤が(一定量)入ることが重要」なのです。
「心配で一睡もできません。食事も喉を通りません。」
⇒ご心配はお察しします。
ただ、無暗やたらに「ネットや本の情報」を読み漁っても無意味です。
○抗HER2療法は「最も、やる意味のある治療」なのです。
例えば、「HER2陰性」でただ「リンパ節転移が多いだけ」であれば(私なら)抗がん剤は全く勧めません。
★抗HER2療法は『特別』なのです。