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多発性嚢胞について

[管理番号:2601]
性別:女性
年齢:20歳
昨年の8月頃、左胸に鶏卵ほどの大きな塊があることが分かり、10月頃には腕を上げたり寝返りをうつと痛みを伴うようになりました。
そこで乳腺外科を受診しエコー検査をしたところ、多発性嚢胞と診断。
ただ、左胸上部にかたまるように嚢胞がくっついて発生しているのは不自然だと言われました。
年齢も若いし少し様子を見ても大丈夫とのことで、そこから3ヶ月程経過観察をしましたが、痛みの状態が変わらないとのことで、本日いちばん大きな嚢胞と、嚢胞が密集しくっついてしまっている部分との合計2か所に針を刺し、細胞検査をしてきたところです。
次回は1週間後に受診をします。
嚢胞が密集しくっついてしまっている部分はただの嚢胞とは違い、何か他の要因が考えられる、非常に珍しい症例で、悪性だったときのことも 考えておいてほしいと言われてしまいました。
自分はまだ20歳になったばかりですが、やはり悪性の可能性が高いのでしょうか。
悪性でなくとも、今までと同様にこのまま経過観察をしていても大丈夫なのでしょうか。
将来的には、切除も選択肢に入れておかねばならないのでしょうか。
もしそうなのであれば、できるだけ早い時期に切除するべきですか。
将来は、普通の女性のように結婚や出産も希望しております。
このまま痛みを耐えつつ経過観察をするのも不安で仕方がありません。
ご回答をよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず「左胸上部にかたまるように嚢胞がくっついて発生しているのは不自然」については、是非トップページの「腫瘤非形成性病変」を参照してください。
「通常の嚢胞」と区別する根拠は「全体では無く、ごく一部に密集して存在」という所見です。
 ♯つまり、「同じ様な所見」であっても、「乳房全体にあれば気にならない」けど、「ごく一部に(しかも高密度に)損沿いしていると、非常に気になる=腫瘤非形成性病変と表現する」わけです。
 
「年齢も若いし少し様子を見ても大丈夫とのことで、そこから3ヶ月程経過観察をしましたが、痛みの状態が変わらない」
⇒年齢から考えても(20歳の乳癌というのは、殆どありません)症状から考えても(痛みはホルモンによる刺激症状でしょう)癌を疑うことは通常ありません。
 
「とのことで、本日いちばん大きな嚢胞と、嚢胞が密集しくっついてしまっている部分との合計2か所に針を刺し、細胞検査をしてきたところです。」
⇒良性の結果だと思います。
 
「嚢胞が密集しくっついてしまっている部分はただの嚢胞とは違い、何か他の要因が考えられる、非常に珍しい症例で、悪性だったときのことも考えておいてほしいと言われてしまいました。」
⇒本当に、こんなコメントしたのですか?
 私には、俄かには信じられません。
 細胞診を刺した感触で「癌を疑う」ことなどありません。
 
「自分はまだ20歳になったばかりですが、やはり悪性の可能性が高いのでしょうか。」
⇒ほぼ「無い」と思います。
 
「悪性でなくとも、今までと同様にこのまま経過観察をしていても大丈夫なのでしょうか。」
⇒余程「画像所見が怪しい」場合には「マンモトームできちんと確定診断つけるべき」ですが…
 実際は「経過観察でいい」でしょう。
 
「将来的には、切除も選択肢に入れておかねばならないのでしょうか。もしそうなのであれば、できるだけ早い時期に切除するべきですか。」
⇒「女性ホルモンによる、乳管閉塞に伴う普通の嚢胞」だと思いますが(痛みを伴うのであれば、尚更)
○確率的には圧倒的に「ただの集簇嚢胞(ホルモン刺激による)」だと思います。
 少なくとも「細胞診の結果が出ないのに、心配させる様なコメントをする」意味が解りません。
 心配せずに「細胞診の結果を待ちましょう」