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抗がん剤治療について

[管理番号:2562]
性別:女性
年齢:39歳
初めて質問させていただきます.
いつも田澤先生のQ&Aを読み,励みとしております.
先日,乳がんの全摘手術を受け,病理の結果が出ました.
・39歳 閉経前
・浸潤径2.6cm
・リンパ節転移 なし
・ホルモン受容体の有無 ありER90% PgR90%
・核グレード1
・Ki67 35%
・脈管侵襲(リンパ,静脈)ともにレベル1(4段階の下から二番目)
主治医の先生からは「抗がん剤(TC3週間に一度×4回)+ホルモン療法」がお勧めと言われていますが,
当方の抗がん剤はできればやりたくないという思いも尊重していただき,
「ホルモン療法がかなり効くタイプであり,抗がん剤をやらないという選択もあり,数%の上乗せ効果をどう考えるか」と言われており大変悩んでおります.
そこで,お聞きしたいのですが,
①サブタイプはルミナールBとなると思うのですが,抗がん剤の上乗せ効果は何%程
度になるのでしょうか(生存率,再発率)
②核グレードが1でKi67の値が高いという相反性はどう考えれば良いでしょうか?
中には悪性度の高いがん細胞が混じっているため,抗がん剤は必要となるのでしょうか?
③ホルモン受容体の数値が共に90%以上であり,高い結果となっていますが,この場合には抗がん剤の効果は低くなると考えてよろしいでしょうか?
④脈管侵襲については「あまり気にする必要はない」と言われておりますが,どのように考えればよろしいでしょうか?
ご多忙のところ大変申し訳ありませんが,教えていただけるとと大変助かります.
来週半ばまでに決断が必要であり,家族ともども決めかねております.
なにとぞよろしくお願いいたします.
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(26mm), pN0, luminal, NG1
「①サブタイプはルミナールBとなると思うのですが,抗がん剤の上乗せ効果は何%程度になるのでしょうか(生存率,再発率)

生存率の上乗せは 2%
再発率の上乗せは 5%
 
「②核グレードが1でKi67の値が高いという相反性はどう考えれば良いでしょうか?」
⇒核グレードは「核異型」と「核分裂」の2項目から成り立っています。
 つまり、「核グレード1」でも、その中身によっては「核異型1点+核分裂2点=核グレード1(3点)」という組み合わせもあり得ます。
 もしも「質問者が、このパターン」であれば、「核分裂2点」となるため、あまり矛盾しません。
 「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
核異型 
弱い:1点★
中間:2点
強い:3点
核分裂 
5個未満(10視野で):1点
5~10個  〃   :2点★
11個以上  〃  :3点
核グレード(NG) 
核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点★:核グレード1 
4点    ;核グレード2
5点、6点 :核グレード3 
 
「中には悪性度の高いがん細胞が混じっているため,抗がん剤は必要となるのでしょうか?」
⇒それは考えすぎです。
 
「③ホルモン受容体の数値が共に90%以上であり,高い結果となっていますが,この場合には抗がん剤の効果は低くなると考えてよろしいでしょうか?」
⇒一般的に「luminal typeは抗ガン剤が有効では無い」ケースが多い事は事実です。
 
「④脈管侵襲については「あまり気にする必要はない」と言われておりますが,どのように考えればよろしいでしょうか?」
⇒参考程度に留めましょう。