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結果を聞くのが怖くて、田澤先生のお言葉が欲しいです

[管理番号:2325]
性別:女性
年齢:47歳
 
田澤先生、初めまして。
先日、○○医科大学病院付属ブレストセンターにて、境界線曖昧な9ミリのしこりを発見され、検査結果待ちです。
帰り道、心臓ドキドキで動揺しながら、みつけたのサイトがこちらです。
毎日暇さえあれば、読み続けています。
田澤先生の自信溢れる、患者さん思いの優しく勇気付けられる冷静な言葉かけを読み、落ち込んだ気持ちを少しでも楽にしています。
感謝しております。
不安感で、いてもたってもいられず、田澤先生にすがる思いで、早速江戸川病院にセカンドオピニオンの予約を入れさせていただきました。
 
2月1○日に田澤先生にお会いして診察していただけると思うと、勇気が出てきます。
どうぞよろしくお願いします。
東京の西に住んでおりますが、1時間半で伺える距離ですので、私はラッキーです。
さて、本題ですが、毎年マンモと超音波の検診を欠かさずやっております。
 
○24歳に、乳腺線維腺腫で左右合わせて3箇所摘出手術しました。
傷はほぼ分かりません。
 
○2014年10月の検診では、再検査となり焦ったのですが、右8時11時「濃縮嚢胞」、左2時に「嚢胞」良性で大丈夫とのことでした。
 
○それから、参考までに家族について申し上げます。
3歳違いの姉が(残念ながらあまり検診しないタイプ)2年前に乳がんの診断が下り、ステージ2でパジェット病も併発していたかで、いきなり両側全摘だったのです。
浸潤ガンで乳房全体に無数に広がっていたとのこと。
疎遠にしている姉なので、それからは聞くのも恐ろしくて恐ろしくて連絡していません。
それから、卵巣嚢腫摘出手術は30代に姉も私もやっております。
ちなみに産んだ母は、幼い頃離れ離れになり、今は生きているかもわかりません。
実父は78歳、健康です。
姉の乳がんをきっかけに、私は検査精度の高そうな自費検診を受けることにしました。
 
○2015年夏頃 、仕事でデスクワーク中にツーンと左乳房の奥が痛み、生理前でなくても痛むのが続き様子をみていました。
 
○2015年12月○○日 検診。
その時に左側が痛むことも伝えましたが、乳房は痛むことありますよ、と。
触診してもらい、しこりは無いね。
マンモと超音波はしましょう。
と検査だけして帰りました。
 
○今年1月○○日 結果説明。
超音波の画像を見ながら、ここになんかあるね…と急展開。
マンモの画像の説明は特になく、これは石灰化ね、くらいでした。
側面に近い左2時あたりに、9ミリのものがあると言われました。
(境界線曖昧な黒い中に、白いものがあったように見えました。先生はなぞるようにガタついた輪郭をなぞっていました)
えっ?と嫌な画像を見て焦りました。
 
それから直ぐに、バシッと音のする針生検?検査をしてもらい、MRIを2月○日に予約されました。
看護師さんに傷の手当してもらった後に先生と会うこともなく、帰りました。
検査の際、あれ?なんでだろう?と不安げにつぶやきながら、何度も何度もバシッと音とともに突き刺されましたことが気になりました。
 
ただでさえ不安なのに、内部を荒らされている感じに、冷や汗が出ました。
この女医さんがきっと主治医になるのでしょうか…
 
○結果説明は、3週間以上も先の2月○○日の予定です。
悪い結果を想定し、1人では受け取められないので、主人に付き添ってもらう予定です。
それからというもの、心配で落ち着かず、
田澤先生が「腫瘍径の小ささは最大の武器」「早期発見に勝る治療なし」とQ&Aで何度もおっしゃっていましたが、12月○○日で9ミリが、結果説明まで2ヶ月。
手術となれば、もっと先。
勢いがあり大きくなり、遺伝性の悪性度の高いもの?で姉のような悲しいことになるか、焦って心配でたまりません。
善は急げと1人考え、2月○○日の結果説明の際に、セカンドオピニオンの用の資料を用意しておいてもらい→翌週には田澤先生に診ていただく。
という最短でセカンドオピニオンを受けられるよう、ブレストセンターに電話で頼んでみました。
悪性という結果も聞いてないのに?と受付に言われましたが、それを待ってから頼むとまたさらに遅くなりそうなので、図々しいのを覚悟で申し出ました。
先生もお忙しいから、○○日までに紹介状やデータがすぐ全部そろうか分からない、とも言われました。
 
揃っていない資料になるかもしれませんが、田澤先生のところに行って、ぜひ早く診ていただきたいのです。
江戸川病院の予約が取れただけで、なぜか私の精神が落ち着いているのです。
 
そこで質問です。
①2014年10月に左2時の良性と言われていた嚢胞が、ガン化したのでしょうか?
 
②しこりは、むしろ浸潤で見つかることのほうが多いとQ&Aで読んだのですが、私のもその可能性大きいですか?非浸潤は期待できないでしょうか?
 
③年1の検診で早期発見に努めてきましたが、適当に測った9ミリ、これは早期発見といえそうでしょうか?1年前は無かったとのこと。
急に現れたようで、遺伝性の進行の早いものなのでしょう?
 
④MRIで見たら、他にもにあちこちに広がっている、他の腫瘍が発見される可能性はあるのでしょうか?
 
⑤最近、両方の耳下腺のあたりが、ツーンと軽く痛みます。
(おたふくの時痛かったあたりです。)
耳下腺はリンパ腺のようなもので、悪いモノが流れて、痛いのでしょうか?
 
⑥最近、右胸にも痛みを感じます。
奥の奥のいやーな鈍痛です。
痛みはしこりがあるためなのでしょうか?
 
⑦単刀直入ですが、もし最悪の遺伝性の「悪い顔つき」トリネガだと、5ミリは超えているし他の大人しい乳がんより早死にしてしまうのでしょうか。
結果説明の時、正気でいられるか恐ろしいです。
手術となったら子供にもなんと説明したら良いのか、悩みます。
下手な長文で本当にごめんなさい。
不安な気持ち、伝わりますでしょうか。
診断もまだ下っていないのに、お忙しいのに、ごめんなさい。
検査結果が怖くてたまらないく、心の準備をしておきたいのです。
これを書くだけで心拍数上がり、怖いのですが、これから自分の病気と冷静に向き合っていかないといけません。
 
癌への不安な気持ちを表現できる、サイト、頼れる相手は他にはありません。
すべてさらけだしてしごめんなさい。
ぜひ、尊敬する田澤先生のお声がお聞きしたいです。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
「9ミリのもの」「境界線曖昧な黒い中に、白いものがあった」「ガタついた輪郭」
⇒かなり「気になる画像所見」です。
 想像するに「カテゴリー4」でしょうか?
  
「それから直ぐに、バシッと音のする針生検?」
⇒その日の内に検査してもらえて、その意味では幸運だと思います。
 
「検査の際、あれ?なんでだろう?と不安げにつぶやきながら、何度も何度もバシッと音とともに突き刺されましたことが気になりました。」
⇒私も気になります。
 「上手く採取できていない」ように想像させます。
 
「①2014年10月に左2時の良性と言われていた嚢胞が、ガン化したのでしょうか?」
⇒嚢胞は「ただの正常乳管の拡張」なので「癌化」などしません。
 「偶然同じ部位」なのか「超音波検査の精度の問題」なのかは、解りません。
 
「②しこりは、むしろ浸潤で見つかることのほうが多いとQ&Aで読んだのですが、私のもその可能性大きいですか?非浸潤は期待できないでしょうか?」
⇒しこりで発見される場合は「浸潤の可能性の方が高い」ことは事実です。
 ただし、「期待できない」とまでは言えません。
 
「③年1の検診で早期発見に努めてきましたが、適当に測った9ミリ、これは早期発見といえそうでしょうか?1年前は無かったとのこと。」
⇒1cm以下は間違いなく「早期発見」です。
 
「急に現れたようで、遺伝性の進行の早いものなのでしょう?」
⇒お姉さんのこともありますので、「遺伝性の可能性は否定しませんが…」
 ただ、「1年前に無かった」とは言っても「3mm」程度では見逃されている可能性も十分にありますので1年間で「9mm」というのは「決して進行が早いとは言い切れません」
 
「④MRIで見たら、他にもにあちこちに広がっている、他の腫瘍が発見される可能性はあるのでしょうか?」
⇒それこそ、「毎年検診を受けて、他に無い」のであれば、その可能性は低いでしょう。
 
「⑤最近、両方の耳下腺のあたりが、ツーンと軽く痛みます。(おたふくの時痛かったあたりです。耳下腺はリンパ腺のようなもので、悪いモノが流れて、痛いのでしょうか?」
⇒無関係です。
 そもそも「耳下腺は(分泌)腺組織であり、リンパ節とは全く無関係」です。
 
「⑥最近、右胸にも痛みを感じます。奥の奥のいやーな鈍痛です。痛みはしこりがあるためなのでしょうか?」
⇒「しこりそのものがピンポイントに痛むこと」はたまにありますが、「9mmのしこりが乳腺に広範囲に影響する」ことなど決してありません。
 
「⑦単刀直入ですが、もし最悪の遺伝性の「悪い顔つき」トリネガだと、5ミリは超えているし他の大人しい乳がんより早死にしてしまうのでしょうか。」
⇒サブタイプで予後を語ってはいけません。
 「小さな腫瘍径は最大の武器」なのです。
 其の程度の大きさ(ステージ)ならば「圧倒的に根治する可能性の方が高い」事は間違いなく言えます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
 
いつも質問者を大切にしてくださいまして、ありがとうございます。
「(管理番号2325)結果を聞くのが怖くて、田澤先生のお言葉が欲しいです。」
で質問させていただきました者です。
(姉が2年前に両側乳癌全摘で遺伝性が気になっている者です)
12月の初診と検査(マンモ&超音波)、1月針生検、2月MRIの後、悪性の告知を受けました。
12月の超音波画像で左2時の境界あいまいのしこり(10×8×7mm)は悪性でした。
主治医は○○医科大学付属病院の46歳くらいの女医先生です。
(調べたところ、日本乳癌学会の「乳腺専門医」のリストにお名前はなく、「認定医」だそうです。)
主治医自らは超音波はされません。
技師さんの12月時点での超音波画
像、2月のMRIを見ながら告知されました。
 
今の私の心の支えは、田澤先生にセカンドオピニオンでお逢いできることだけです。
大勢の方々の診察、週に何件もの手術、そしてQ&Aではご経験に裏付けられる丁寧な回答と、ご多忙極まりない田澤先生、本当に尊敬申し上げております。
「乳がんプラザ」ほど詳しく分かり易く、前向きな気力の湧いてくるサイトも書籍も他には無いです。
 
お忙しいところ本当に大変申し訳ありません。
告知後に不安に思ったことが数点ありまして、質問させてください。
 
○まずは報告書の記載です。
[診断]左乳腺生検(針生検)
Epithelial tumor、malignant.Invasive cacinoma.Special type.Invasive lobular carcinoma.CNB
[所見]
1)判定区分 検体適正 悪性
2)推定組織型
invasive lobular carcinoma
3)所見 乳管内病変+、脂肪浸潤-
4)免疫組織化学
ホルモン受容体ER:90%
pgR:90%
ki-67:30%
HercepTest:1+
E-cadherin:-
 
○女医先生によれば、
「多くは乳管癌なのに、小葉がんはめずらしい。
ki67 30%も高いですね。
通常は15~20%です。
これは数える人によって違うから、前後10の誤差はあると思う。」などと言われました。
(そうなると私の場合、20~40%になりますね?)
田澤先生のQ&Aで、小葉がんに絞って検索しましたら、「小葉がんは多発するが、比較的大人しい。
予後は良い方。三ヶ月に一回の定期的な超音波で対側にも注意していくのが良い。
遺伝性はない。」とあり、少し落ちついたのですが、ki-67 は低い人が多いように思います。
自分にも当てはまるのか、とても心配になります。
○次に、手術についてのやりとりです。
私は姉が両側全摘だったのもあり、温存後に再発や新規発生に怯えるくらいなら、最初から全摘でエキスパンダーでも良い、と思い切って申し上げました。
 
すると、「あれは異物だから、年取ると左右バランスおかしくなる、あなたのは脇に近い側面にあるし、小さいからうまく形は作れそうだ。
マージン2センチ位とってこれくらいくり抜く。」と指でオッケーマーク
の大きさの丸を示し、当然のように温存をすすめられました。
今のところ、リンパ転移なしのステージ1になるとのこと。
小葉がんが多発しやすい、温存には注意、などの説明は全くなかったです。
 
セカンドオピニオン後に、
この病院で手術・治療をするならば、執刀医はその女医先生とのこと。
手術日は一番早くて4月○○日。
(なんと12月の初診から4ヶ月も経ってしまいます。)
田澤先生が「初診から手術まで2ヶ月以内に収める」とこちらのQ&Aでおっしゃっていましたから、落胆してます。
放射線の際の目印に、金属のチタンをいれる(埋め込む??)そうです。
また、温存でもドレーンを入れることがある、と説明書に記載されていました。
手術時間はどれくらいかと聞くと、一時間半強とのこと。
入院期間は3泊4日。
 
○今後の検査として、血液や心電図、CTと骨シンチの予約をされました。
骨シンチは「有害」とこちらで学んで知っておりましたから「被曝するんですよね?」と尋ねましたら、「はい、でも転移とか調べますので」と軽く流されました。
 
○それから、治療についての説明です。
抗がん剤は必要かをと聞くと、「温存後の放射線とホルモン療法と、いけるかな」とのことでした。
ki-67が高いのに、AとBの線引きのことも一切説明はありませんでした。
報告書に「癌の顔つき」←核グレード?の記載が無いのも気になります。
 
○最近の症状ですが、変わらずシコリの部分が日常チクチク痛みます。
癌が成長し乳腺を刺激しているかと心配です。
 
そこで質問があります。
①膨大な患者さんの手術と治療実績のおありの田澤先生ならば、私の術式と治療はどうされるかお聞きしたいです。
温存で抗がん剤なしで良かった、と主治医の言うことに素直に従ってもよいのでしょうか。
 
②小葉癌なのにki-67が高いケースはあるのでしょうか。
特殊型ですし、「通常は低いのに」と主治医に言われたことが大変気がかりです。
私の小葉がんは、大人しいとはいえないのでしょうか?
ルミナールBになるのでしょうか。
(今週のコラムも参考にしております)
姉のように両側乳房全体に広がっている可能性あるのでしょうか。
(姉は取った両側に癌が無数にあったとのこと。
全摘で正解だったね、と主治医に言われたそうです。小葉がんかは不明です。)
 
③遺伝性乳癌の相談も土曜外来であるから、姉の状況を詳しく聞いた上でやってみるとどうか?と言われましたが必要でしょうか?
 
④骨シンチは2月○○日。
断ることはおかしなことでしょうか?
 
⑤チクチクと痛むことは、腫瘍増大を意味する良くない傾向なのでしょうか。
痛む度に不安な気持ちが襲って来ます。
生きる希望である、田澤先生のセカンドオピニオンの時間を、少しでも有効に使いたく、事前にあれこれ質問責めで申し訳ありません。
 
今週メディカルプラザ江戸川に参りますので、回答はその時(○○日)で構いません。
限られた時間内でしどろもどろになりそうですので、お聞きしたいことを整理する意味でもこちらに記入させていただきました。
貴重な一件分を頂いてしまいごめんなさい。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
東京に赴任して2年弱、私は首都圏の(私立)大学病院の診療にはすっかり信用できなくなっています。 ♯2月15日付けのブログで更新した「ADH, DCIS疑い その結果…」を参照してもらうまでもなく…
「多くは乳管癌なのに、小葉がんはめずらしい。」
⇒珍しいと言うほどではありません。
 10%程度はあります。
 
「ki67 30%も高いですね。通常は15~20%です。」
⇒殊更、強調する程の高値ではありません。
 
「小葉がんが多発しやすい、温存には注意、などの説明は全くなかったです。」
⇒ガイドライン上は「術式選択においては通常の組織型と区別しない」となっています。
 ただし、注意点として「お話しておくべき」ことだとは思います。
 
「田澤先生が「初診から手術まで2ヶ月以内に収める」とこちらのQ&Aでおっしゃっていましたから、落胆してます。」
⇒この「QandAを始めた当時」はそれで大丈夫だったのですが、正直なところ「今ではとても、その期間内では治まりが付かなくなって」います
 ただし「初診から確定診断までの期間」には拘りをもっています。
 
「放射線の際の目印に、金属のチタンをいれる(埋め込む??)そうです。」
⇒これは断端陽性の時の為のマーカーですが、私自身は入れる必要を感じた事はなく、実際に入れた事もありません。
 
「また、温存でもドレーンを入れることがある、と説明書に記載」「手術時間はどれくらいかと聞くと、一時間半強」
⇒この辺のところは「大学病院の医師」であれば「仕方がない」ところです。
 
『「骨シンチは「有害」とこちらで学んで知っておりましたから「被曝するんですよね?」と尋ねましたら、「はい、でも転移とか調べますので」と軽く流されました。』
⇒本当に必要なのか? 自分の頭で考えて欲しいものです。
 それとも「自分なりの判断基準」が無いのかもしれませんが…  少し手厳しいですが、「医療被曝」について考えて欲しいものです(どう考えても、敢えて医療被曝を容認する程の意味があるとは思えません)
 
「抗がん剤は必要かをと聞くと、「温存後の放射線とホルモン療法と、いけるかな」とのことでした。」「ki-67が高いのに、AとBの線引きのことも一切説明はありませんでした。」
⇒そういうことではなく、
 実際に「どういうケースで化学療法が必要になるのか」その根拠も含めて説明できなくてはいけません。
 
「報告書に「癌の顔つき」←核グレード?の記載が無いのも気になります。」
⇒この辺のところは「病理側の問題」ではあります。
 全ての病院で「針生検の標本」で「核グレードを評価する」わけではありません。
 ただ、「手術標本」では必ず評価する事にはなります。
 
「○最近の症状ですが、変わらずシコリの部分が日常チクチク痛みます。癌が成長し乳腺を刺激しているかと心配です。」
⇒考え過ぎです。
 痛みは「針生検による侵襲」が影響しているかもしれません。
 
「①膨大な患者さんの手術と治療実績のおありの田澤先生ならば、私の術式と治療はどうされるかお聞きしたいです。」
⇒「小葉癌は全摘ありき」ではありません。
 (ある程度のリスクを説明した上であれば)MRIを確認の上「温存でもいい」でしょう。
 ただし、(患者さん側で)「乳房内再発のリスクを気にしている」のであれば、話は別です。
 「純粋な治療の観点」からは「乳房全摘の方が劣っている」ことは決してないのです。
 
「温存で抗がん剤なしで良かった、と主治医の言うことに素直に従ってもよいのでしょうか。」
⇒「術式」にかんしては「乳房内再発のリスク」今一度、担当医と相談する必要があるようです。
 また、「抗がん剤」については、「手術病理が判明した上」で再度確認するべきものです(仮定のまま話だけ勧めても仕方がありません)
「②小葉癌なのにki-67が高いケースはあるのでしょうか。」
⇒Ki67=30%程度で「高い」と問題にする程度ではありません。
 
「特殊型ですし、「通常は低いのに」と主治医に言われたことが大変気がかりです。」
⇒あまり担当医のコメントに「反応しない」ようにしてはどうでしょうか?
 
「私の小葉がんは、大人しいとはいえないのでしょうか?ルミナールBになるのでしょうか。」
⇒Ki67は「手術標本」で再度、評価しましょう。
 
「姉のように両側乳房全体に広がっている可能性あるのでしょうか。」
⇒可能性を考えればきりがありません。
 ただ、「そのように想像する」根拠がありません。
 
「③遺伝性乳癌の相談も土曜外来であるから、姉の状況を詳しく聞いた上でやってみるとどうか?と言われましたが必要でしょうか?」
⇒「luminal type」ですし、あまり必要無いと思います。
 
「④骨シンチは2月○○日。断ることはおかしなことでしょうか?」
⇒そんな「無駄な検査」断ってください。
 
「⑤チクチクと痛むことは、腫瘍増大を意味する良くない傾向なのでしょうか。」
⇒無関係です。
 
「痛む度に不安な気持ちが襲って来ます。」
⇒気持ちは解りますが…
 気にし過ぎです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生へ
 
大学病院から転院し、4月に浸潤性小葉癌で左乳房温存手術していただきました○○と申します。
田澤先生のおかげで笑顔になれる毎日です。
感謝しきれません。
 
さて、先日の病理結果では
pT1c,pN0,pStage1,luminalA
ショックだったのは、腫瘍径が顕微鏡で倍(T1bからT1c)になっていたこと!
"腫瘍径の小さなことは最大の武器"なので、軽い悲鳴を上げてしまいました。
「乳管癌の腫瘍径と同じに考えなくてよい」と確かおっしゃてくださったのは救いでした。
帰宅後、病理結果を見つめるほどに、小さな疑問がいくつも湧いてきてしまいました。
次の診察日を待たず、こちらで教えていただいてもよろしいでしょうか。
お忙しいところ、大変申し訳ありません。
[術前所見] 前院にて
invasive lobular carcinoma
ホルモン受容体ER:90%
pgR:90%
ki-67:30%
HercepTest:1+
E-cadherin:-
9mm程度の腫瘍とのことでした。
[病理結果] 江戸川病院にて
1)Invasive lobular carcinoma ,left breast [Invasive tumor size,19×11× 7mm:Nuclear grade2(この2が1と修正有り)
Structural atypia score,3:Nuclear atypia score,2:No.of mitotic figures,<
5/10HPF: Fat Invasion,+:Tumor necrosis,-:Tumor infiltrating lymphocyte,- :ly0,v0:Perineural Invasion,-:Non Invasive component,(+,80%,non comedo type)] 2)No metastatic tumor,left axillary lymph node(0/3)
組織的には、豊富な非浸潤癌成分(長径82mm)を伴う浸潤性小葉癌であり、非浸潤癌成分は、A-M列にかけて存在しています。
非浸潤癌成分の中には、ごく少量ですが、乳管癌成分が混在します。
(#6)乳頭側断端・尾側断端・内側断端には腫瘍は認めません。
リンパ節転移を認めません。
補足コメント
乳腺手術検体でのMIB-1頻度検討報告
MIB-1の陽性頻度結果は7%.
なお、ER、PR、HER2は、同じ手術症例でER)陽性10%以上、中程度、
PR)陽性10%以上、中程度、HER2
score)1+(陰性)
判定はLuminalA〉LuminalBと考える
以上、そのまま書き写しました。
 
質問①
ER、PGRが90%から10%以上中程度になったことが心配:
「%以上」というのは、江戸川病院の表記の仕方だそうですが、
ER、PGRは術前の方が正しい(針生検標本は鮮度が良いから)とのことですので、私は90%はあると思って良いのでしょうか?
薬の効果とは相関しないとのことですが、少しでも有利に感じたいのです…
 
質問②
MIB-1は7%でよいのか:
管理番号2984「病理検査の結果への疑問」で
MIB-1の変化の原因の一つに
 「②手術標本での染色性が著しく落ちた(標本処理の問題で)」
とありました。
ER、PGRも下がったので、これなのか?と不安になりました。
しかし、MIB-1は「術後の標本全体の数値を使う」とよく田澤先生はおっしゃっていますので、私は7%ということでも大丈夫ですか?
 
質問③
核グレードについて確認:
Nuclear atypia score,2と
MIB-1頻度が7%だから、mitotic が1?合計2+1=3だから、
私はNuclear grade1
と考えてよろしいでしょうか?
 
質問④
広がりについての不安:
「豊富な非浸潤成分(長径82mm)を伴う」とありますが、胸の傷(線)の長さを測ってみますと、55mmしかありません。
かなりの長さに及んでいて、切った部分より大幅にはみ出しているようで、大丈夫なのでしょうか?
また、非浸潤癌「成分」と非浸潤「癌」とは同じことですか?
 
質問⑤
広がりについての不安:
「非浸潤癌成分は、A-M列にかけて存在」も同様に広範囲のイメージですが、検体の端から端まで非浸潤癌成分だらけということでしょうか?
「80%」も占めているということで問題ないのでしょうか?
 
質問⑥
広がりの原因は何か:
この豊富な非浸潤癌成分は、19mmの浸潤小葉癌(しこり)が原因で、同じ乳管を這って広がっていっているもの、ということですか?
もしくは、もともと非浸潤成分だらけの乳管や小葉から、ある日浸潤し19mmになったのですか?こちらの方が得体が知れず恐ろしいです。
 
質問⑦
断端陰性の確認:
「乳頭側断端・尾側断端・内側断端には腫瘍は認めません」とありますが、「非浸潤癌成分」も断端には無かった、という解釈で安心してよろしいでしょうか?
 
質問⑧
遠隔転移率について:
小葉癌である限り、乳房内再発や対側新規発生は覚悟しております。
でも田澤先生がいてくださるので、私は怖くないです。
最も怖い(遠隔転移率)について教えてください。
管理番号558「浸潤性小葉ガンについて」の「pT1c」のケースで
「遠隔転移については、「予後良好」と関係しますが、10年で5%程度だと思います。」とあり、管理番号2771「小葉癌について」の大きめのケースでも「10%程度」とありました。
腫瘍径が倍(9mmから19mm)になってしまった私も、ホルモン治療法でそのくらいの遠隔転移率と考えて良いのでしょうか?
 
もちろん、統計的な数値で、大多数に入れるか否かは神のみぞ知る、なのは承知しております。
しかし、その都度自分の病状(全く病気っぽくはないんですが…)を理解した上で健康的な生活をしたく、長々と質問させていただきました。
ありがとうございました。
貴重な一枠をいただけて、本当に感謝しております。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
 
浸潤性小葉癌は、診察の際にもお話したように「超音波で全体像を捉えずらく」最大浸潤径や周囲の(非浸潤癌部を含めた)拡がりには注意が必要となります。
結果として、(術前のMRIを含めた画像診断での計測に比べて)最大浸潤径が大きくなることがよくあります。
 
「乳管癌の腫瘍径と同じに考えなくてよい」
⇒まさに、その通りです。
 
 小葉癌は「画像で全体像を捉えにくく」その意味でも「温存には注意が必要」と言えます。
 時に「画像診断と、あまりにかけ離れた大きな浸潤径」となることもあります。
 
 ○このQandAを仔細に見てもらえれば(今や3000に迫る数となったので、余程の覚悟が必要ですが)「5cm、7cmと予想外に大きかった」という質問にであるでしょう。
  私の経験では小葉癌の場合には(乳管癌とは異なり)「画像上の大きさ」の方が予後と一致するように思います。(逆にいうと小葉癌が予後がいいというのは、浸潤径をもとにするとそのようになるとも言えます)
 
「ER、PGRが90%から10%以上中程度になったことが心配:「%以上」というのは、江戸川病院の表記の仕方だそうですが、ER、PGRは術前の方が正しい(針生検標本は鮮度が良いから)とのことですので、私は90%はあると思って良いのでしょうか?」
⇒これは「まだ、勘違いしている」ように思います。
 当院での病理(SRLに依頼)では、これらの結果が以下の3通りとして報告されます。
 陽性「10%以上」
 境界域「10%に満たない」
 陰性
 
 ○つまり、陽性が20%でも50%でも100%でも、「全て陽性(10%以上)としか表記されない」のです。
 実際に、「カラー写真」を見てもらえれば良かったのですが、質問者はどう見ても「殆ど100%」です。それでも陽性(10%以上)としか表記されないのです。
 
「ER、PGRも下がったので、これなのか?と不安になりました」
⇒上記コメントで誤解が解けたでしょうか?
 実際には(表記が異なるだけで)「ERもPgRも全く下がっていません」 術前「針生検での値と同じ」です。
 
「MIB-1は「術後の標本全体の数値を使う」とよく田澤先生はおっしゃっていますので、私は7%ということでも大丈夫ですか?」
⇒上記コメントで誤解が解けたでしょうか?
 (ER, PgR, HER2も含め)全く「染色性の低下はない」のです。
 
「MIB-1頻度が7%だから、mitotic が1?合計2+1=3だから、私はNuclear grade1と考えてよろしいでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「「豊富な非浸潤成分(長径82mm)を伴う」とありますが、胸の傷(線)の長さを測ってみますと、55mmしかありません。かなりの長さに及んでいて、切った部分より大幅にはみ出しているようで、大丈夫なのでしょうか?」
⇒表面の傷よりも「かなり大きく中の乳腺は切除」しています。
 
「また、非浸潤癌「成分」と非浸潤「癌」とは同じことですか?」
⇒その通りです。
 
「質問⑤広がりについての不安:「非浸潤癌成分は、A-M列にかけて存在」も同様に広範囲のイメージですが、検体の端から端まで非浸潤癌成分だらけということでしょうか?「80%」も占めているということで問題ないのでしょうか?」
⇒「端から端まで」ではありません。
 断端が陰性なのですから。
 
「この豊富な非浸潤癌成分は、19mmの浸潤小葉癌(しこり)が原因で、同じ乳管を這って広がっていっているもの、ということですか?」
⇒小葉癌は「乳管癌とは異なり」乳管を這う訳ではありません。
 多中心性発癌であり、非浸潤癌の拡がりの中に「浸潤癌巣が出現」するのです。
 
「乳頭側断端・尾側断端・内側断端には腫瘍は認めません」とありますが、「非浸潤癌成分」も断端には無かった、という解釈で安心してよろしいでしょうか?」
⇒その通りです。
 断端とは「非浸潤癌を含めた」ものです。
 
「腫瘍径が倍(9mmから19mm)になってしまった私も、ホルモン治療法でそのくらいの遠隔転移率と考えて良いのでしょうか?」
⇒ちょうど10%となります。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

管理番号2325
 
田澤先生
昨年4月に左胸C領域温存手術をしていただきました○○。
いつも丁寧で優しい診察をありがとうございます。
そして、すべての質問者を平等に扱ってくださって頭が下がります。
 
実は、「皮膚再発」の心配が急にでてきました。
不安でたまらなく、こちらをお借りして質問させていただきます。
 
【病理結果】昨年4月
pT1c,pN0,pStage1,luminalA
MIB-1 : 7%.
「豊富な非浸潤成分(長径82mm)を伴う」小葉癌
 
【症状】
一週間くらい前から、術側D領域の、ブラジャーのワイヤーが当たる部分にできものができています。
脇腹と胸のふくらみの境目のあたりの皮膚表面です。
(針生検で刺した場所ではありません。)
直径3mm程度、
赤みがあり、少し盛り上がっています。
できもの自体が少し硬いですが、その下にしこりがあるような感じはしません。
下着のワイヤーや服が当たると少し痛痒いです。
しみる感じもあります。
家にあるムヒなど塗ってみましたが、
治る様子がありません。
こちらのQ&Aで「ニキビ」「皮膚転移」で検索して読んでいるのですが、自分の症状とは合わず、心配が拭えません。
 
??質問1
これは、局所再発、皮膚再発なのでしょうか?
非湿潤癌が広範囲だったのも関係あるのでしょうか。
怖いです。
また最近、ノルバデックスの影響か、
関節も、膝や股関節が痛み、腰痛も二ヶ月くらい前に現れ、整形外科でレントゲンを撮ったところ、転移症状はみられないと言われております。
ステージ1なので、さらにMRIで確認する必要もないでしょうとも言われました。
 
??質問2
骨盤は骨転移の好発部位だそうですが、
この腰痛は、できものと関係ありますでしょうか?
 
??質問3
田澤先生の診察が、9月上旬です。
それまで待ってもよい症状でしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
 
皮膚転移ではなさそうですね。
もしも心配なら、秘書メールで写メしてもらえばいいでしょう。

秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。

 
 

 
 

 

質問者様から 【質問5 】

ノルバデックスによる典型的な子宮内膜ポリープを指摘されました
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳がん
症状:

(管理番号2325)
I.D.〇〇

【病理結果】2016年4月
pT1c,pN0,pStage1,luminalA
MIB-1 : 7%.
「豊富な非浸潤成分(長径82mm)を伴う」小葉癌」

いつも田澤先生には大変お世話になっております。
〇〇と申します。

乳がん術後、無事に丸3年が過ぎました。

ノルバデックスも3年服用。

定期的に婦人科で子宮を診てもらっております。
先日も、体癌も頸癌も陰性でした。

ただ、子宮内膜に大きめのポリープが突き出ています。

これは典型的なタモキシフェン の副作用で不正出血の原因とのこと。

不正出血がここ1ヶ月続いているのがきっかけで、原因がわからず婦人科3件を受診して判明しました。

最後の医師に
「乳がん再発も怖いからバランスだけど、休薬すればきっと小さくなるから、一旦休薬してみるのも選択肢」と言われました。

次の田澤先生の診察は9/12でまだ先です。

例えばノルバデックスを半量にするなど、アドバイスをお願いしたいです。

完全な休薬は、再発が怖いのです。

生理は半年に一回くらいに減ってはいるので、長めの出血が煩わしくないならば、このまま今まで通り続けた方が良いのか、迷います。

幸い体癌は否定されているので。

それとも、ノルバデックス以外の薬に変更もあるのでしょうか?
どうぞアドバイスをお願いしたします。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「完全な休薬は、再発が怖い」
「生理は半年に一回くらいに減ってはいるので、長めの出血が煩わしくないならば、このまま今まで通り続けた方が良いのか」

⇒基本的には「副作用が許容範囲を超えている」場合には休薬となりますが、

 「休薬すると再発が心配」という問題にぶち当たります。
 他に方法があるとすれば、「LH-RHagonistの併用」はいかがでしょうか?(一度、婦人科医に確認してもいいのでは?)
 閉経前乳癌なので(あまりプラス効果は期待できませんが)適応に問題はありません。

 ちなみにLH-RHagonistの適応には
 子宮内膜症と子宮筋腫もあるのです。