［管理番号:2182］
性別:女性
年齢:35歳
はじめまして。
35歳、１歳１ヶ月の子供に授乳中です。
先月、肩こりのため訪れた整体で、うつ伏せの施術中、左乳房に痛み（マッサージを中断してもらうほど）があり、その後、チクチク、しくしくした痛みが乳房の中の方や、乳輪の裏あたりで断続的にあります。
同じく左側の脇の下、副乳より下のくぼんだ部分にも違和感、痛みがあり、こちらを下にして寝ると何だか気持ち悪い感じがします。
直接触れるような大きなしこりはありませんが、右の乳房に比べて、左の乳房にはざらざらごつごつした乳腺が多いような気がします。
ごつごつしている乳腺らしきところに、たまにしこりのようなものを感じますか、これがしこりかというと、確信にかけます。
生理は再開していますが、まだ不規則で、生理前後でもあまり症状は変わりません。
授乳は、左右交互に行っていますが、左側は、飲ませた後も何かまだ残っているような感じが常にします。
子供を抱っこするときも左の胸に当たると痛いです。
このような症状で乳がん可能性はあるのでしょうか？
乳腺症の勉強もしましたが、乳腺症の場合は、しばらくこの不快感はつづくのでしょうか？
乳がんには痛みは出ないと、以前よりこちらのQ&Aなどで目にしていますが、乳がん患者の方の声で、ちくちく、しくしくした痛みがあったという声も多く、どういうことなんだろうと疑問に思っています。
田澤先生のお話を伺いたく、質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「左乳房に痛み（マッサージを中断してもらうほど）があり、その後、チクチク、しくしくした痛みが乳房の中の方や、乳輪の裏あたりで断続的にあります。」
「同じく左側の脇の下、副乳より下のくぼんだ部分にも違和感、痛み」
⇒これらは、決して「乳癌の症状」ではありません。
　「授乳中で月経不順」なわけですから、当然「女性ホルモンによる刺激症状」と考えるべきです。
 
「直接触れるような大きなしこりはありませんが、右の乳房に比べて、左の乳房にはざらざらごつごつした乳腺が多いような気」「ごつごつしている乳腺らしきところに、たまにしこりのようなものを感じますか、これがしこりかというと、確信にかけます。」
⇒授乳中の普通の乳腺のように思います。
　「自己検診の継続」しましょう。
 
「生理は再開していますが、まだ不規則で、生理前後でもあまり症状は変わりません。」
⇒「卵巣が不安定」なわけですから、乳房痛の状況が「月経とは一致」しないのは当然のことです。
 
「このような症状で乳がん可能性はあるのでしょうか？」
⇒症状を拝見する限り「乳癌を疑う根拠」がありません。
　「たまたま乳癌が（症状とは無関係に）見つかる可能性」を完全には否定できませんが、「可能性は低い」と思います。
 
「乳腺症の勉強もしましたが、乳腺症の場合は、しばらくこの不快感はつづくのでしょうか？」
⇒「授乳中で月経不順」なうちは、「卵巣が不安定」なわけですから続くと思います。
 
「乳がんには痛みは出ないと、以前よりこちらのQ&Aなどで目にしています」
⇒表現が少し「正確性」に欠けています。
　「乳癌（しこり）自体」が「有る程度以上大きい」場合などに「疼痛の原因となること」はあります。（多くはないですが）
　ただし、「しこりとは無関係におこる」乳腺全体の症状（痛みなど）を「どこかに隠れているかもしれない乳癌が原因では？」と考える必要は全くありません。普通に考えれば「女性ホルモンによる刺激症状」なのです。
 
「乳がん患者の方の声で、ちくちく、しくしくした痛みがあったという声も多く」
⇒私の経験上、「多く」はありません。（むしろ、かなり少数派です）
　「そういう場合もある」という程度です。（しこりそのものが痛い場合以外には、）おそらくそれは「偶然」にすぎません。　「女性ホルモンによる刺激による痛み」と「たまたま乳癌が（症状とは無関係に）存在していた」ということでしょう。
　乳房痛は「女性ホルモンによる刺激症状」です。
 
「田澤先生のお話を伺いたく、質問させていただきました。」
⇒（某芸能人の件）以来「乳房痛での受診」が非常に増えています。（実際の診療で「乳房痛から乳癌が見つかる」ケースは殆どありません）
　勿論、それはそれで「乳癌に関心をもち、気にする」ことはいい事であり、「診察を受けて、安心して帰っていただく」ことに「何の問題もありません」し、「関心が高まる」ことで（乳房痛とは無関係ですが）「早期乳癌の発見が増えている」ことも事実であり、本当に「喜ばしい事」と思っています。
　ただ、（大いに誤解の有る）「無用な心配で心を悩ませている」多くの方達を不憫に感じてしまうのも事実なのです。