[管理番号:1755]
性別:女性
年齢:40歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
乳がんと診断されて、こちらのQ&Aに出会って、毎日拝見し、たくさん
のQ&Aから勉強させていただいております。
このたび手術後の病理の結果が出て、術後治療方針も担当医師より聞いていたのですが、
本当にこれでよいのか、検討したく、
田澤先生にアドバイス頂きたく、
どうかよろしくお願い致します。
10月中旬に、左全摘(乳頭・乳輪温存)手術を行いました。
術前の検査では、浸潤性乳管癌で腫瘍径32㎜、リンパ節転移なしという
ことでしたが、
今回、術後の病理結果で違う結果が出ました。
病理結果の見方、表記の仕方などについて、
わからないことが多いので、記載されていたものをそのままお伝え致します。
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病名は、浸潤性小葉癌(硬癌の部分との混在)
Nuclear Grade 2(nuclear atypia3+mitotic counts1=4)
g(+) f(+) s(-) ly(+) V(-)
センチネルリンパ節に転移あり(1/1)
腋窩リンパ節廓清をし、レベルⅠ(0/12)レベルⅡ(0/0)
浸潤癌の大きさ 15㎜×12㎜ T1b
拡がり 40㎜×15㎜
皮膚表層方向に癌が接近(0.5㎜)しており、厳重観察必要
HER2 陰性
Estrogen receptor びまん性に陽性 J2 Score 3b,
Allred Score 7(PS5 + IS2)
Progesterone receptor びまん性に陽性 J2 Score 3b, Allred Score 6(PS4 + IS2)
Ki67 labelling index : 陽性約60%
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術後の治療は、
抗がん剤治療 + ホルモン療法 となる、
抗がん剤治療は、
アンスラサイクリン系+ タキサン系 となり、
使う薬は、
EC療法 + アブラキサン を 私のかかっている病院ではすすめてい
るので、EC(3W×4クール)+アブラ(4W×4クール)で6~7か月は
抗がん剤治療、そのあとにホルモン療法、
とのことでした。
タキサン系の薬では、タキソテールなどを使わずに、
アブラキサンというものをすすめている、と言われました。
なぜなのか質問したのですが、
「薬は1剤でいいのではないか」「副作用がタキソより軽い」等の話も
ありましたが、いまひとつ、まだはっきりと納得いっていません。
それから、田澤先生は、TC療法1つを提示しているケースがあり、それ
だと抗がん剤治療も約3か月、薬も2種類の投与で済むと思うのですが、
私の担当医は、EC療法+アブラキサン という、 期間・種類も多い抗がん剤治療をすすめているということは、
私の癌の状態に必要だということなのでしょうか。
私は、抗がん剤治療をすべきでしょうか。
抗がん剤治療をした場合、効果はどのくらいあるのでしょうか。
予後、5年・10年生存率・再発率等に はっきりと違いが出るのでしょうか。
抗がん剤治療をするとして、
使う薬、内容、期間などについて、
田澤先生なら私の病気の内容ではどうすすめますか。
私の通う病院では、
タキソ系のタキソテールなどのよく聞く名前の薬ではなく、
アブラキサンという薬を選んでいる理由等も、
どのようなことからだと思われますか?
アブラキサンという薬の名前をあまり本などでも見ないため、不安です。
それから、EC療法とか、CEF療法など、
沢山の治療方法(薬)の組み合わせがありますが、
どれを使うのかは、どういった基準で決めるものなのですか。
薬の種類が多い方が、治療作用が強いなどあるのでしょうか。
たくさん、申し訳ありません。。。
アドバイス頂けたら幸いです。
子供がまだ小さいので、まだまだ生きなくてはなりません。
何とか、つらくても治療に真摯に向き合って、再発を防ぎたいです。
今、初期治療なので、ベストを尽くしたいです。
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
内容は了解しました。
pT1c(15mm), pN1(1個), luminalB(ただmitotic countが1なのにKi67=60%という点に乖離があるのが気になりますが…)
♯mitotic countは「10視野で見える核分裂像」でありmitotic count 1とは「10視野で核分裂像が4個以内」であることを示しています
Ki67は「細胞分裂期にある細胞の割合」であり、60%の細胞が「細胞分裂期にある」ことを示しています。
○つまり「細胞分裂期にある細胞が多いのに、実際に核分裂像が少ない」という、「やや矛盾した結果」と言えます。
回答
「EC療法 + アブラキサン を 私のかかっている病院ではすすめている」
⇒適応外治療と言えます。
「アブラキサンの添付文書」を実際に見せてもらってください。
其の記載に『本剤の手術の補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない』と言う記載がある筈です。
『EC療法+アブラキサンという、期間・種類も多い抗がん剤治療をすすめているということは、私の癌の状態に必要だということなのでしょうか』
⇒そうは思いません。
ルミナールBの化学療法は「TC療法」でいいと思います。
「アンスラサイクリン+タキサン」は「トリプルネガティブ」もしくは「ルミナールでもハイリスク(リンパ節転移10個以上など)」で行うべきだと(私は)思います。
「私は、抗がん剤治療をすべきでしょうか」
⇒「ルミナールB」は抗がん剤の適応があります。
すべき(TCでいいとは思いますが…)です。
「抗がん剤治療をした場合、効果はどのくらいあるのでしょうか。予後、5年・10年生存率・再発率等に はっきりと違いが出るのでしょうか。」
⇒10%前後はあると思います。
「抗がん剤治療をするとして、使う薬、内容、期間などについて、田澤先生なら私の病気の内容ではどうすすめますか」
⇒TC(勿論4回)です。
「アブラキサンという薬を選んでいる理由等も、どのようなことからだと思われますか?」
⇒(前述したように)
本来、適応外治療です。
もしかすると「臨床試験」を行っているのかもしれません。
もしくは「再発治療におけるデータからドセタキセルやパクリタキセルよりも有効」と考えているかもしれません(術補助療法としてのデータは有りません。だから適応外となるのです)
「EC療法とか、CEF療法など、沢山の治療方法(薬)の組み合わせがありますが、どれを使うのかは、どういった基準で決めるものなのですか」
⇒基準はありません。
ECx4とFECx6が同等
FACとFECが同等
などから「各施設で判断」しています。
「薬の種類が多い方が、治療作用が強いなどあるのでしょうか」
⇒そんな単純なものではありません。
有効性は「臨床試験の結果」で判断するのです。