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部分切除にするか全摘にするのか悩んでいます。

[管理番号:1548]
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生、はじめまして。
いつもこちらのQ&Aの先生の丁寧であたたかい回答に心を落ち着かせています。
先生のご意見を伺いたく投稿させていただきます。
9月○○日左胸の痛みが気になり近くの乳腺外来を受診。マンモグラフィーとエコーの結果、左胸ではなく右胸から6㎜のしこりが見つかりました。
細胞診、針生検後10月○日乳がん(浸潤性)と診断されました。
MRIは咳喘息治療中で(今は咳はでていません)吸入器を使用していた為、造影剤はリスクがあるということでやっていません。
こちらの質問のなかでもMRIで広がりがわかり全摘にしたという内容があり主治医の先生に質問したのですがそこまでの必要性はないということで結局そのまま手術をすることになりました。
今は部分切除をすすめられていますが、病理検査の結果でやはり広がりがあり全摘のほうがよかったということにはならないのでしょうか。
生検でどんなタイプであるのかわかる数字も全く知らされてはいないので確認したところその検査は今回はやっていないということでした。
話をきちんと聞いて疑問点も答えてくださる先生なのですが、生検でもどんなタイプかわからずMRIもしていないままでの部分切除は危険ではないのでしょうか。
手術日が来月2日に決まり来週には入院です。
入院当日部分切除か全摘のどちらにするかをお伝えすることになっています。
わかっていることは6㎜の腫瘍が悪性であることとエコー診断でリンパの腫れはないということのみです。
生検後痛みを感じると広がっているのではないか、リンパに転移しているのではないかと余計に怖くなります。
あとからこうしていればよかったということだけは避けたいのです。
先生のご意見をお聞かせいただけると、とても心強いです。
お忙しいところを申し訳ありませんがどうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「6mmの癌」ですね。
たまたま「左の痛み」で受診して「右の早期乳癌が見つかった」と言う事は「強運の持ち主」と言えます。

回答

「今は部分切除をすすめられていますが、病理検査の結果でやはり広がりがあり全摘のほうがよかったということにはならないのでしょうか。」
⇒勿論可能性はありますが…
 「喘息のリスクを負ってまで」MRIは不要です。
 ○MRIを盲信してはいけません。
 「MRIで大丈夫と判断」しても「病理結果で拡がりがあった」となるケースもありますし、逆もあります。
 MRIはあくまでも画像診断の一つです。 担当医の「超音波技術を信頼」してあげてください。
 
「生検でもどんなタイプかわからずMRIもしていないままでの部分切除は危険ではないのでしょうか。」
⇒まず「サブタイプ」ですが、(腫瘍径が小さく、術前化学療法の適応が無い以上)
術前に判明している必要はありません。
 たとえば、「○○タイプ」だから、「温存がいい。とか全摘がいい。」のような事
は無いのです。
 ★術式の選択には「サブタイプは無関係」なのです。
⇒MRIに関しては、先ほどコメントした通りです。
 「拡がり診断」にMRIが必須という訳では無いのです。
  担当医の「超音波技術」を信頼してください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
以前部分摘出か全摘出にするかで相談させていただきました。
先生からのご回答に少し気持ちを明るく持つことができ、手術に挑めました。
ありがとうございました。
自分の不安にすぐにお答をいただき本当にうれしかったです。
11月13日に手術を終え病
理検査の結果は
8ミリの浸潤性乳管がん
リンパ節への転移なし
核異型度2
ホルモン受容体陽性
HER2陰性
でした。
放射線治療が紹介病院での治療となります。
病理結果がでてからの紹介となりましたので、先日診察にいき今からだと年末年始が31日から2日までお休みで、その上私が主人の実家に帰るため29日までしか照射できないということもあり年明け4日にCTをとり6日からの治療ということになりました。
中4日あくよりも少し開始が遅くても詰めて治療したほうがいいということです。
そうなると放射線治療が終わって次の治療に入るのは2月後半になってしまいます。
手術から3ヶ月以上おいての治療は後の再発リスクに関係してくることはないのでしょうか。
年末年始3日あくことが問題ないのであれば30日まで帰省せずにすぐに治療して早く終わらせた方がいいのではと不安になっています。
放射線治療は毎日となっていますが、こちらの病院は土日も休みのようです。
年末年始は休んで今すぐに治療するのと年明けから土日のみの休みで2月に終わらせ次の治療にうつるのでは手術後の身体の中は変わらないのでしょうか。
何もせずにいることが今とても怖いです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
乳房温存術後の照射ですね。
ルミナールタイプですが、「照射開始」ということは「ルミナールBではなかった
(この場合は化学療法が通常先行する)」と思います。

回答

「そうなると放射線治療が終わって次の治療に入るのは2月後半になってしまいます。」
⇒次の治療とは何ですか?
 抗がん剤ではないとおもいますから「ホルモン療法」ですよね?
 「ホルモン療法は放射線と併用」すべきです。
 わざわざ「放射線終了後に」ホルモン療法開始する事はナンセンスです。
 
「手術から3ヶ月以上おいての治療は後の再発リスクに関係してくることはないのでしょうか。」
⇒問題ありません。
 そもそも放射線照射は「術後5カ月以内」に開始すればいいのです。
 
「年末年始3日あくことが問題ないのであれば30日まで帰省せずにすぐに治療して早く終わらせた方がいいのではと不安になっています。」
⇒無理する必要はありません。
 1週間や2週間は全く問題ありません。
 
「放射線治療は毎日となっていますが、こちらの病院は土日も休みのようです。」
⇒「土日」休みが普通です。
 
「年末年始は休んで今すぐに治療するのと年明けから土日のみの休みで2月に終わらせ次の治療にうつるのでは手術後の身体の中は変わらないのでしょうか。」
⇒全く変わりません。
 些細な違いであり影響はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、おはようございます。
以前にも質問させていただき、その都度少し気持ちが軽くなれました。
今とても怖くて気になることがあるので是非先生のご意見をお聞きしたいのです。
11月に温存手術をし、1月より放射線治療、昨日からノルバデックスの服用
が始まりました。
大きさ8㎜
ホルモン受容体90%
HER2-0
グレード2
リンパ節転移なし抗がん剤の上乗せは2%に満たないということでホルモン療法のみになりました。
先日病院で、初めて自分のがんは硬がんであることを知りました。
硬がんというと予後不良と認識があったので再発率が変わるのか聞いたのですが、今はそれで判断はしませんということでした。
けれど、自分で調べれば調べるほど最も悪性度が高く難治性、予後不良。
 
乳頭腺管がんと比較すると10年再発率は15%は変わるという内容のことばかりで血の気がひいてしまいました。
先生が他のがんと変わらないと言われているのは怖がらせず治療していくために言われているのでしょうか。
グレードが2であったために抗がん剤をしなくていいのか不安でしたので12月にオンコタイプDXをしました。
score10で10年再発率は7%という結果でした。
これは硬がんであるということも含めてなのか、そうではなく一般的なことで、硬がんの場合は15%増えるということになるのですか?
スキルスというなまえがついていることも知らないくらいに無知であったので今こわくてこわくて仕方がありません。
考えこむことが余計に身体に悪いと思ってはいるのですが、再発のことばかりが頭をよぎり何も考えられません。
ノルバデックス服用以外にリュープリン注射はしなくていいのか聞いてはみたのですが必要ないということでした。
しても変わらないのでしょうか。
卵巣摘出もしたほうがいいならやりたいですと言ったのですが、それもあまり意味がなく、骨粗しょう症になりやすいということでした。
とにかくHER2も陰性で抗がん剤も効きにくいという不安要素ばかりでただこのまま過ごしていくことがとても怖いです。
抗がん剤をしないルミナールはいちばん再発しやすいということも時々目にします。
田澤先生のご意見をお聞かせください。
乳がんがわかって気持ちをどこにもっていっていいのかわからず毎日泣いて過ごしていた頃にこちらのQ&Aを知り、先生の回答されていることばに落ち着きをとりもどしていました。
お忙しい先生に申し訳ないですがどうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
まずは「一言」言わせてもらいます。
私は、常日頃から「組織型」に拘る必要はないことをお話しております。
ここで整理すると
①浸潤性乳管癌 乳頭腺管癌と充実腺管癌と硬癌に分けられますが、その中で「予後を議論する事自体」全く無意味
 私が参考にするのは「充実腺管癌」だと「内部壊死が起こる程、急速に増大することがある。そしてHER2陽性やトリプルネガティブの確率が高いかな?」
 「乳頭腺管癌」だと「乳管内進展」が多いため、「温存手術をする際に、乳頭側断端に注意が必要(乳頭直下まできちんと切除範囲を伸ばさなくてはならない」
 それでは「硬癌」は?「比較的、拡がりを把握しやすく、安全に手術できる」位でしょうか?
 ○質問者のいうように「硬癌は恐ろしい」などと考えた事は全くありません。
 
 もうひとつ補足すると上記のように記載すると「充実腺管癌」の方が異常な心配をされそうですが、そんな事はありません。
 典型的な「充実腺管癌」は「増殖スピードがやや高く、体積が大きい」割には「脈管侵襲が少なく、実際にリンパ節転移もない」ことが多く、更に「治療反応性(トリプルネガティブであれば通常の抗がん剤、HER2タイプであれば抗HER2療法)が良い」のです。
 以上は、私の「膨大な経験からの印象」であり、結果として「サブタイプに応じた治療」をすれば「予後は殆ど同等」と思います。
②予後良好な特殊型
  粘液癌
  小葉癌(多中心性発生だけには気をつけなくてはなりませんが)
  管状癌、アポクリン癌、髄様癌
③良く解っていない特殊型
  微小乳頭がん
  化生癌
特に③で悩んでいる(ネットで、ここにつけ込んだ、無責任な記事が多いですが)人を見かけますが、全く無意味です。
 数が少ないので「大規模臨床試験ができない」から「ネットでの情報は非常に狭い範囲の検討」にすぎません。(このような論文は「差を出す」ために悪いケースだけ引っ張り出しているのです)
 
質問者はpT1b(8mm), pN0, luminal type
これで「悩んでいる」などと言ったら、この「QandA」で悩んでいる多くの人達に失礼(とまでは言いませんが)とは思いませんか?
 
「自分で調べれば調べるほど最も悪性度が高く難治性、予後不良」
⇒全く馬鹿馬鹿しい。(質問者に対して言っている訳ではありません。そのコメントに対してです)
 他にコメントしようがありません。
 
「先生が他のがんと変わらないと言われているのは怖がらせず治療していくために言われているのでしょうか。」
⇒質問者が「私が(嘘も方便と)嘘をいっている」と疑うようなら、これ以上「回答」する意味がありません。
 私が(誰かを傷つけないために)「嘘の情報を言っている」と疑うのであれば、「このQandAは全く無意味」なものになります。
 私は「慈悲深い神父」ではありません。
 
「抗がん剤をしないルミナールはいちばん再発しやすいということも時々目にします。」
⇒誰がこんな「くだらない」事を言っているのか?
 とにかく「余計なネットを信じる」のならば、この「QandA」をみるのは止めた方がいいかもしれません。
 私は「ネットで、誰彼構わず脅すような輩」とも違うし、「慈悲深い神父」でもありません。
 膨大な患者さんを診療する機会に恵まれた「乳腺外科医」にすぎません。
 
○最近はネットの情報が多く、私自身の患者さんからも「微小乳頭がん」とか「化生癌」とかで不安だと言われます。
 これらの場合には「実際は良く解っていない面がある」けど「考えても仕方が無いから、サブタイプに応じた治療」をしましょう。とお話しています。
 実際に私の経験では、これらが「特に予後が悪い」とは全く感じていません。(そもそも乳癌は全般に圧倒的に予後が良いのです)
 
たまに、私自身の患者さんの中でも「硬癌だから不安」などと言われることがありますが、その場合には、「一笑に付されて終了」です。
 
★私は、この「QandA」でしばしばコメントしているように、「全てのQに答える」ことを是としています。
 だから、これ以上「硬癌だから不安」みたいなQは差し控えてもらいたいと切に願います。(今日の回答で、もういいでしょう)
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生
お忙しいところを詳しく説明していただきましてありがとうございます。
 
硬がんは怖がることはないのですね。
不安と恐怖が押し寄せてどうすることもできずに
田澤先生に質問してしまいましたが
とても不快な質問になってしまったようで申し訳ありませんでした。
それにかかわらずにきちんと回答していただき感謝しております。
これからは調べては不安や恐怖が増してしまうネット情報は
田澤先生がおっしゃるようにみないようにしていこうと思います。
「先生が他のがんと変わらないと言われているのは
怖がらせず治療していくために言われているのでしょうか。」
この質問は田澤先生がおっしゃっているということではなく主治医のことだったのです。
紛らわしい質問の仕方で申し訳ありませんでした。
そしてどちらにしても私の言っていることは失礼なことでした。
再発の怖さからどんどん悪い方に考えてしまっていました。
田澤先生にもうひとつだけ質問させてください。
現在ノルバデックスを服用しています。
リュープリン注射は年齢からしなくていいということなのですが、しても効果はないのでしょうか。
少しでも効果があるならリユープリン注射をしてみたいのです。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
とにかく「硬癌」など気にしない事です。
組織型は「治療法とも予後とも無関係」です。 That’s all
「現在ノルバデックスを服用しています。リュープリン注射は年齢からしなくていいということなのですが、しても効果はないのでしょうか。」
⇒「効果がない」から「しなくても良い」となっています。
 
「少しでも効果があるならリユープリン注射をしてみたいのです。」
⇒残念ながらSOFT試験では「35歳未満」にしか効果は無かったのです。