まずは、分類
良性上皮性腫瘍は以下の3つに分類(癌は「悪性」上皮性腫瘍です)
4-1.adenoma
4-2.腺筋上皮腫
4-3.乳管内乳頭腫
4-1① ductal adenoma 乳管腺腫
・ 画像
・ 癌と間違われ易い代表格
・ 乳管内に発生し、乳管を埋め尽くして圧排性に増殖する。
・ 硬化性変化により浸潤様に見える「偽浸潤像」を呈する事やアポクリン化生により「細胞が大型化し、癌細胞と間違われ易い」
4-1② tubular adenoma 管状腺腫
・ 画像
case. 1 33y
case. 2 24y
腺腫とは一般に様々な組織(腺管や線維、脂肪など)が出鱈目な量で混じり合った組織であるが、管状腺腫は「過度な上皮過形成や間質増殖を伴わないため」pure adenomaとも呼ばれる。
臨床像
・境界明瞭、孤立性の腫瘤
・稀な疾患であり、若年(閉経前)に多い
・高齢者に起こる場合には特徴的な石灰化(濃度の高い石灰化が高密度に集簇)
病理組織的特徴
・管状構造(乳管)と腺房構造(ミルクを分泌)が密集した腺腫
・周囲の線維性間質はとても少ない
4-1③ adenoma of the nipple
・ 画像
乳頭部の皮膚を破壊するため、Paget’s diseaseとの鑑別を要した当院の症例
乳頭内または乳輪直下乳管内に生ずる乳頭状ないし、充実性の腺腫
Paget’s diseaseと間違われ易い
4-1④ lactating adenoma 授乳期腺腫
・ 妊娠授乳時に生じる上皮成分の増生を主体とした境界明瞭な腫瘍
・ 突然現れる大きなシコリとして「葉状腫瘍?」と間違われやすい
case. 1
case. 2
左⇒数日後に縮小⇒右
case. 3
4-2 adenomyoepithelioma 腺筋上皮腫
・ 画像
境界明瞭で多結節性の腫瘤を形成
周囲は線維性結合織に取り囲まれる
・ 乳管は「乳管上皮」細胞と「筋上皮」細胞から成るが、その内の「筋上皮細胞の増生が主体」である。
4-3 乳管内乳頭腫
これは、次の項(5)で独立して取り挙げます。