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手術について

[管理番号:2660]
性別:女性
年齢:47歳
はじめまして。
2月末に左乳房上内部の浸潤癌の乳頭腺管癌と診断されました。
エコーで見えるしこりは8ミリ、PET-CTでは1.9ミリの腫瘍、針生検の結果はホルモン陽性、Her2(-)、ki67は22.4%でした。
病院を変えたり、家の都合で4月以降の部分切除手術を予定していました。
ところが、昨日のエコー診察で、もともと癌から2cmほど離れたところに(a)新たな黒い4ミリほどの塊?が見つかりました。
針生検をした時の血腫かもしれないけど、念のため癌かどうかを針生検で確かめることになり、現在結果待ちです。
さらにMRIの画像では、もともとの癌と新たな腫瘍の間に(b)石灰化のようなちらつきがあるためこれも癌かもしれないとのこと。
ただ、もし癌だとすると、部分切除するには8cm以上切ることになるため、
乳房の形がかなりひきつれた形になってしまったり、または傷が塞げなくなったりするため、全摘を勧められました。
そこで質問です。
①田澤先生も、(a)が癌ならやはり全摘を勧めますか?
②(a)は血腫の可能性はありますか?
③(b)の石灰化もやはり癌なのでしょうか?こちらは生検はしていませんが、かなり怪しいとのことでした。
④(a)が癌ではなかった場合でもやはり全摘が良いのでしょうか?
もともと温存手術でしか考えていなかったので、抵抗があります。
先生のお考えをお教えください。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「もともと癌から2cmほど離れたところに(a)新たな黒い4ミリほどの塊?が見つかりました。針生検をした時の血腫かもしれないけど、念のため癌かどうかを針生検で確かめることになり、現在結果待ちです。」
⇒針生検の結果を待ちましょう。
 
「もともとの癌と新たな腫瘍の間に(b)石灰化のようなちらつき」
「もし癌だとすると、部分切除するには8cm以上切ることになるため乳房の形がかなりひきつれた形になって」
⇒整容性については「実際の画像を見なければ判断できません」
 
「傷が塞げなくなったりする」
⇒これは「誤り」です。
 乳腺をいくら切除しても「皮膚を取らなければ」傷を塞げないことはありません。
 
「①田澤先生も、(a)が癌ならやはり全摘を勧めますか?」
⇒(実際の画像を見ていないので判断困難ですが)
 「2cmしか離れていない」のであれば、「部分切除できそう」に思います。
 
「②(a)は血腫の可能性はありますか?」
⇒可能性はあります。
 
「③(b)の石灰化もやはり癌なのでしょうか?こちらは生検はしていませんが、かなり怪しいとのこと」
⇒まず「石灰化」ではありません。
 「造影増強効果の有る部分」と言う事となります。
 やはり、「画像を見ていない状態では判断できない」となります。
 
「④(a)が癌ではなかった場合でもやはり全摘が良いのでしょうか?」
⇒「周囲の(MRIで)造影増強効果のある部分の拡がり姿第」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前に質問させていただいたものです。
ありがとうございました。
2月末に左乳房上内部の浸潤癌の乳頭腺管癌と診断され、エコーで見えるしこりは8ミリ、
PET-CTでは1.9ミリの腫瘍、針生検の結果はホルモン陽性、Her2(-)、ki67は22.4%でした。
ところが、手術前のエコー診察で、もともとある癌から2cmほど離れたところに
新たな黒い4ミリほどの塊が見つかり、針生検をしたところ、
やはり癌でした。
前回の癌のプレパラートと比べたところ同じ癌とのことでした。
そのため、MRIの画像に見られた、もともとの癌と新たな癌のと間にある
光るチラつきもおそらく癌だろうと診断されました。
よって、2つの腫瘍の周囲に約2センチ程度の余裕を持って切除すると、
8cm以上切りとることになり、また多発していると考えると拡がりがもっと
拡がっているかもしれないので、左乳房全摘の手術をすることになりました。
そこで、質問です。
①私の通う病院では、部分切除の場合、皮膚ごと切り取るそうです。
そのため部分切除では、術後形が醜くなってしまうと言われました。
そうなると拡がりが確定できないので、やはり全摘が良いのでしょうか。
温存する方法はありませんか?
②ステージを決める癌の大きさですが、多発の場合大きい方を使うと言われました。
エコーだと9mm、pet-CTでは1.9mmですが、この場合どちらの大きさを腫瘍の大きさとするのですか?
今の私の場合、
どちらでもステージは変わらないと思いますが、誤差があるかもしれないと言われ、
2cmを超えるとステージが変わってしまうので、教えていただきたいと思います。
③乳管内伸展は、非浸潤癌なので広がり具合に関係なく、切り取ってし
まえばよいから、大きさはステージ決めには使われないのでしょうか。
④また、9mmの腫瘍の中にエコーで細い血管が確認されました。
先生の説明によると、この血管から癌が栄養を得ているとの事でした。
そこからの転移はおそらく無いが、微小転移も否定できないと言われました。
意味がよくわからないので、教えていただけないでしょうか。
また、微小転移があるとしたら、どのくらいの可能性でしょうか。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「もともとある癌から2cmほど離れたところに新たな黒い4ミリほどの塊が見つかり、針生検をしたところ、やはり癌」
「前回の癌のプレパラートと比べたところ同じ癌」
⇒この内容からは、(実際に画像を見ていないので想像ですが…)
 Main tumorからのdaughter(娘結節)のようにイメージします。
 つまり、腫瘍が乳管沿いに乳頭方向へ進展して、そこで「しこりを形成」している状態です。
 もしも、この形態であれば、「通常の温存術(扇状切除)の範囲内」となります。
 
「そのため、MRIの画像に見られた、もともとの癌と新たな癌のと間にある光るチラつきもおそらく癌だろうと診断」
⇒つまり(上記のような)main tumor からの(乳頭方向への)「癌の進展をみている」のではないでしょうか?
 
「また多発していると考えると拡がりがもっと拡がっているかもしれない」
⇒(全く別の乳管系に存在している)「本当の意味での多発」ではないと思います(画像を見ていないので文面からの推測ですが)
 
「①私の通う病院では、部分切除の場合、皮膚ごと切り取る」
⇒一般的ではないですね。
 
「温存する方法はありませんか?」
⇒通常、温存術では「皮膚を切除しません」(皮膚浸潤が疑われる場合は別ですが… その場合には腫瘍直情の皮膚切除します)
 
「エコーだと9mm、pet-CTでは1.9mmですが、この場合どちらの大きさを腫瘍の大きさとするのですか?」
⇒PETでの大きさは通常用いません。(そもそもPETは不要な検査です)
 MRI撮影していたのだから「MRIでの大きさ」でいいと思います。
 ○画像診断での大きさは、測定する機器(マンモグラフィー、超音波、MRIなど)によって異なります。
 どれを優先するべきかは、状況によって異なりますが、(MRIで同定できる場合には)「MRIでの大きさ」を採用することが多いです。
 
「③乳管内伸展は、非浸潤癌なので広がり具合に関係なく、切り取ってしまえばよいから、大きさはステージ決めには使われないのでしょうか。」
⇒「明らかに非浸潤癌の拡がり」と判断できるものは無視して構いません。
 
「④また、9mmの腫瘍の中にエコーで細い血管が確認されました。先生の説明によると、この血管から癌が栄養を得ているとの事」
⇒その通りです。
 それで「ドップラーエコーで、血流信号を参考にする」のです。
 
「そこからの転移はおそらく無いが、微小転移も否定できない」「意味がよくわからないので、教えていただけないでしょうか。」
⇒大した意味ではありません。
 「腋窩リンパ節に(画像上)腫大は認めない」から「リンパ節転移は無さそう」だが、(微小転移は画像では捉えられないので)「微小転移の可能性は否定できない」と、言っているだけの話です。(当たり前の事です)
 
「微小転移があるとしたら、どのくらいの可能性でしょうか。」
⇒10%以下です。