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浸潤径と腫瘍径が大きければ、抗がん剤は必要ですか?

[管理番号:6395]
性別:女性
年齢:47歳
田澤先生、はじめまして!
私も乳がんと告知されて以来、こちらで勉強させて頂いております。
47歳 閉経前です。
術後病理の結果、不安な事があり、初めて質問させて頂きます。
どうぞ宜しくお願い致します。
2018年3月中旬
毎年受けている人間ドッグにて、左乳房石灰化、カテゴリー3 と言われ精密検査をしました。
(昨年のマンモグラフィーでは、石灰化すらありませんでした。)
結果、4月中旬
乳がんと告知されました。
5月初旬
左乳房全摘出手術をしました。
以下、病理の結果です。
T2Np0M0 Stage 2A
Invasive ductal carcinoma
大きさ
浸潤径 55x45x13mm
(他に5mm大までの小浸潤巣が複数)
腫瘍径 85x55x13mm
組織型
Scirrhous carcinoma 〉Solidtubular carcinoma
派及度 f
・ly(-)、v(-)extensive PVI (-)
EIC(-)
・Comedo type necrosis / slight
・Nuclear grade/ grade 1
(Nuclear atypia 2 +Mitosis 1)
Histological grade/ grade Ⅱ
(Glandular structu re 3+Nuclear atypia 2+Mitosis 1 )
・Surgical margin (-)
「頭側 50mm、尾側25mm、正中寄り 45mm、腋窩側(外側)55mm、
皮膚側20mm、筋膜側3mm」
コメント
乳管内にて充実性に増生する成分も一部に混在しているが、大半は孤在性異型細胞の索状増生からなる。
直接浸潤巣とともに、やや離れた部位にもφ5mm程度までの小浸潤巣が多発している。
ki-67 labeling index 約10%
ER 〉90%(Allred score TS 8=5+3)
PgR 80-90%(Allred score TS 8=5+3)
HER2 score1+
LN(術中迅速診断結果(P124358)を転記)
lymph nodes(frozen/permanent section)no metastasis(n=0/8)
術中迅速 → 永久標本病理診断 左腋窩リンパ節
1、センチネルリンパ節疑い
結合組織のみでリンパ節は含まれていない。
(n=0/8)
2、nonセンチネルリンパ節(1)/腫瘍の転移は認められない。
(n=
0/6)
3、nonセンチネルリンパ節(2)/腫瘍の転移は認められない。
(n=
0/2)
UICC 第8版 2017 pT3 pN0
以上です。
小葉癌でもないのに、思いのほか浸潤径と腫瘍径が大きかった事と、47歳で若いから…という事で、主治医からリュープリンとタモキシフェン(タモキシフェンの服用は始めています。)
プラス、TC療法と、オンコタイプDXをしては?と、すすめられました。
(これが70歳くらいの人なら、迷わずホルモン療法でいく。ともおっしゃっていました。)
ですがこちらの乳がんプラザで勉強した限りでは、私の癌は明らかなルミナールAであり、抗がん剤の適用はないという事。
ki-67 が約10%という事で、オンコタイプをしても、lowリスクと出るのではないか?という思いがあります。
そこで質問です。
① 私のように硬がんで、浸潤径が大きければ、抗がん剤をすれば、生存率を上げたり、再発率を下げたりする効果はあるのでしょうか。
(主治医は、私のように散らばっている癌が、全部浸潤しているパターンは珍しいから、念の為にTC療法を…とおっしゃいました。
これが怖くてたまりません。
確かに昨年のマンモグラフィーでは、石灰化すら無かったのに、わずか一年で、こんな風になってしまいました。
(婦人科でホルモン療法(ヤーズ服用7年)をしていたせいかもしれません…)
それを考えると、やはりTC療法をした方がいいのかと迷ってしまいます。)
② 病理の結果、ki-67 が約10%でも、オンコタイプでは、浸潤径や腫瘍径が大きければ、ハイリスクと出る可能性はあるのでしょうか?
③ 主治医がおっしゃるように、小葉癌でもないのに癌が多発するのは珍しく、これは予後が良くないという事なのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
私がよく言う「腫瘍径が予後と関係するという印象」というのは、「明らかなごろっとした大きさのシコリ」であり(顕微鏡で見てみたら)「浸潤径が大きかった!」ということではありません。
「① 私のように硬がんで、浸潤径が大きければ、抗がん剤をすれば、生存率を上げたり、再発率を下げたりする効果はあるのでしょうか。」
⇒ありません。
「(主治医は、私のように散らばっている癌が、全部浸潤しているパターンは珍しいから、念の為にTC療法を…とおっしゃいました。」
⇒全く根拠なし
「病理の結果、ki-67 が約10%でも、オンコタイプでは、浸潤径や腫瘍径が大きければ、ハイリスクと出る可能性はあるのでしょうか?」
⇒ありません。(無関係)
「③ 主治医がおっしゃるように、小葉癌でもないのに癌が多発するのは珍しく、これは予後が良くないという事なのでしょうか。」
⇒根拠が全くありません。
○根拠のないことに振り回されずに、「効く治療を行う」だけでいいのです。
 全摘しているのだから「浸潤径が大きいとか多発とか」は気にしない様にしましょう。