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両側乳がん リンパ郭清

[管理番号:6683]
性別:女性
年齢:74歳

74歳の母について質問です。

30年7月(中旬)日クリニックにて左乳がん告知
針生検とリンパ節細胞診1か所(クリニックにて)、後日がん診療拠点
病院AにてCT・乳房MRI・骨シンチ行いました。
遠隔転移なし
大きさ 8.8*7.4*8.5*10.8mm 14G針CNB2本採取 リンパ節腫れあり
Ki 21.8 ER+++陽性 PgR+++陽性 Her2(-)スコア1+
硬がん(浸潤性乳管がん)リンパ節細胞診negative ルミナールB
既往歴 昭和57年右乳がんステージ1A 5ミリ 全摘同時リンパ節
郭清 放射線治療なし 経口お薬1年(薬品名不明)
A病院で手術予定(8月(中旬)日)(A病院医師とクリニック医師との2名で手術)
提案された治療方針は、
1. 左乳房部分切除+SNリンパ節生検のみ(転移にかかわらず郭清しない)
2. 放射線治療25-30回
3. ホルモン治療5年ないし10年

母は左乳房全摘でもかまわないのですが、疑問はSNリンパ生検に転移があった場合です。
過去に右リンパ節郭清済みのため今回左リンパ郭清はさけ、(リンパ浮腫を回避するため)術後放射線治療で制御する方針のようです。
標準治療ではレベル2まで郭清するのだが、両側だから、
郭清できないとか(しにくいとか)あるんでしょうか?レベル1まででないのは、画像診断からでしょうか。
ちなみに母は過去にリンパ浮腫の経験はありません。

リンパ節転移は腫瘍の大きさからして、確率的には低いが、画像では腫れているところがれているところが数か所あるようです。
右リンパがないので比較対称できないとのこと。
SNリンパに転移がなければいいのですが・・・

微小転移なら郭清省略なのは(Q2017・3524・2040)納得ですが、それ以上の場合放射線治療で本当に良いのでしょうか。
田澤先生ならやはり郭清されますか?手術が今月(中旬)日で前日までに郭清の有無を決めてくださいとのことで、いまだに決めれずにいます。
A病院医師は郭清をできるだけさけたいとのことで、そんなにリンパ浮腫は怖いものですか?
放射線治療してもあとからリンパ節再発したらやはり手術にて郭清することになりませんかすることになりませんか?
執刀医の腕次第とありますが、(今週のコラム10拝見しました。)リンパ浮腫のリスクを言われ、本当に迷っています。
母は局所再発が怖く乳房全摘希望です。
本当なら田澤先生に手術お願いしたいですが、遠方(関西)で行けません。
お忙しいところ恐縮ですが、取り急ぎ手術について、ご意見お願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「それ以上の場合放射線治療で本当に良いのでしょうか。」
→macrometastasisなら追加郭清すべきでしょう 『今週のコラム 144回目 肉眼的転移では 追加郭清>郭清省略なのです』をご参照のこと。

「田澤先生ならやはり郭清されますか?」
→勿論です。

 ★術前画像で転移が明らかでなければ、郭清することによる患肢浮腫のリスクは極めて低いのです。

 
 

 

質問者様から 【質問2 術後の合併症(乳び漏)】

性別:女性
年齢:74歳

6683番からの再質問です。

手術後の合併症についての質問です。
(左胸全摘+センチネルリンパ生検、郭清はせずにすみました。

乳び漏と診断されました。

手術翌々日((中旬)日)早朝、ドレーンに濃いミルク色(チーズのような色)排液色)排液がみられ、朝食から絶食、午後改善されたため夕食より脂肪制限食で今日にいたっています。

診療行為説明書によれば
・胸管本幹とその枝を損傷して起こる→走行異常がある
・リンパ節生検時に胸管の枝を損傷した可能性がある(日本でも1例くらいしか報告ない)
・このまま排液減少すれば普通食にもどり、ドレーン抜去
・排液混濁・増加→絶食→ホルモン注射(サンドスタチン)→局所麻酔再
 開創(損傷部を結ぶ手術)

 母はショックをうけています。

胸管はおなかの上くらいにたいていあって、胸・脇のほうには少なく、めったにないケースとめったにないケースと口頭では説明をうけました。
担当医も初めてで調べているそうです
べているそうです。

質問1)このまま普通食に戻ってドレーン除去しても体に排液がたまっていることはないのでしょうか?

質問2)浮腫になるリスクとは無関係でしょうか。

質問3)合併症の後遺症はあるんでしょうか。

質問4)現在の処置は本当に正しいのでしょうか。

質問5)担当医に注意してもらうこととかありますか。

稚拙な質問で本当にすみません。
不安でたまりません。
よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

乳癌術後の乳び漏は、幸い江戸川に来てからはありませんが(ドレーンを入れないので、起こりようがないとも言えます)、仙台時代には(私の記憶では)2例くらい経験(ただし自分の執刀なのかは忘れました)があります。
東○公○病院の10年間で3000件として、その2例だとすれば、1/1500の頻度は十分低いとはいえるでしょう。

 たしかに「脂肪制限食」として治療した記憶はあります。
 その私の経験から「再手術が必要な可能性は限りなくゼロ」に近いと思います。

「質問1)このまま普通食に戻ってドレーン除去しても体に排液がたまっていることはないのでしょうか?」
→あれば、(液体が溜まってくるので)解ります。
 余計な心配をする必要はありません。

「質問2)浮腫になるリスクとは無関係でしょうか。」
→無関係です。
 ご安心を。

「質問3)合併症の後遺症はあるんでしょうか」
→ありません。
 ご安心を。

「質問4)現在の処置は本当に正しいのでしょうか。」
→その通りです。(冒頭に記載した通り)

「質問5)担当医に注意してもらうこととかありますか。」
→ありません。
 余計な心配をしないように。

 
 


 

質問者様から 【結果3 術後の合併症(乳び漏)】

性別:女性
年齢:74歳
病名:乳がん
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

たびたびお世話になっています。母が退院できましたので報告させていただきます。

 田澤先生に質問させていただいた直後、8月(中旬)日昼頃、ドレーンに再度乳び漏がみられ、夕食より再度絶食、(下旬)日に改善され昼食から脂肪制限食、さらに(下旬)日昼食より普通食にもどり、(下旬)日にドレーンがやっとぬけました。リハビリをして9月(上旬)日に退院いたしました。

 途中また絶食になり不安でしたが、田澤先生の回答でどれだけ救われたかわかりません。実はドレーンを抜いたところに少し排液が溜まっているらしく、このまま流れないようでしたら次回2週間後外来の時に注射器で抜くそうです。
 
 また、病理結果などでわからないことがあれば、Q&Aから質問させていただきます。

 リンパ郭清・乳び漏の件では本当にありがとうございました。

 

   

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問4 病理結果】

性別:女性
年齢:74歳
病名:左乳がん
症状:手術後ホルモン治療中

6683番からの再質問です。
母について代理で質問させてください。

クリニックで針生検し癌告知、A病院で再度組織診、手術となりました。

病理結果と今後の治療方針について先生の意見をお伺いしたいです。

(病理所見)
組織型分類;invasive ductul carcinoma
浸潤巣を5,6~14,15と8にみとめました。
広がりはそれぞれ2
cm、0.5cmほど。
索状、腺癌。
形成性にもみられます。
硬癌の像です。
乳管内癌も浸潤巣内~周囲(9)に見られます。

cutend(-)
所属リンパ節 NONSLN1-6:0/6(CK)(H172842)
総合所見 病気分類:Stage2
(治療方針)
アリミデックス5年間服用
(組織診)(術前)
ER100% PgR100% HER2:Score1 Ki:約
20% tumble formation:Score3 nuclear P
Pleomorphism:Score2 mitotic counts:Score1 H Histological Grading :Grade2

質問:術後Ki,PgR,ER.Her2を計測していません。
手術した病院で術前再度計測したので保険の関係で再度できないそうです。
お願いしても、変わりはないからできないといわれました。
医師によれば、
1、年齢(74歳)から、抗がん剤はさけたい。

2、再度計測しても治療方針は変わらない。

3、Pgr、ERとも100%である。
(術前)
4、抗がん剤は私の年齢(42歳)なら考慮してもよいが、それでもこ
 の場合ホルモン剤単体をすすめる。

 私は、オンコDXをしていないこと、癌が結局は1cm超えていたこと、Her2を再度調べたほうがいいのではないか不安です。
母は無理に
に抗がん剤をしたくないといっています。
再度計測してもらうためには
どういう風にお願いすればいいですか。
抗がん剤をしないのに、より詳しくしく知るために、オンコをお願いするのはおかしいでしょうか。
治療方針について、術前の判断だけで大丈夫ですか。
田澤先生の見解を教えてください。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

70歳以上では術後補助療法としての抗がん剤の有効性は解っていない。
主治医の判断は正しい。

ルミナールタイプでKi67=20%(術前CNBとはいえ)なのだから、敢えて抗がん剤を模索する必要はないでしょう。
ご本人が「抗がん剤を必ずしも希望していない」のだから、そのようにしてあげましょう。