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異時性両側乳がんの治療について

[管理番号:5350]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
お世話になります。
異時性両側乳がんについて、
ご相談をお願いいたします。
2009.4(8年前31歳)
右乳房温存術
浸潤径 2.5cm
リンパ節転移なし 0/3個
組織型 充実腺管癌
核異型度 3
リンパ管侵襲なし
トリプルネガティブ
ki-67 不明
術後FEC4回、DTX4回、放射線照射25回
2016.10
定期検診異常なし
2017.4
左乳癌の針生検
浸潤径 1.7cm
組織型 充実腺管癌
核異型度 3
トリプルネガティブ
ki-67 99%
2017.5-7
術前化学療法
PTX12回
2クール目の検査結果では縮小していましたが、術前検査では2cmに増大
2017.8
左乳房温存術
浸潤径 2.0cm(+0.3cm)
リンパ節転移なし 0/12個
組織型 充実腺管癌
核異型度 3
リンパ管侵襲なし
トリプルネガティブ
ki-67 95%(-4%)
治療効果 グレード1a
パクリタキセルがあまり効果がなかったので、追加で抗がん剤を行う予定ですが、追加の抗がん剤について主治医が他の先生とも相談するという事で結果待ちです。
候補①
EC4回
標準治療だが心毒性の問題あり
候補②
ゼローダB法
標準外だが術後の補助療法として効果があったとのデータあり
候補③
ECとゼローダの両方
質問①
どの抗がん剤が有効でしょうか?
ECは副作用と抗がん剤の効き目があるのか不安です。
質問②
再発率はどのくらいなのでしょうか?
半年で1.7cmの腫瘍ができた事とki-67が高値なので再発が不安です。
以上、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
最初から温存できるのに「トリプルネガティブだから術前抗がん剤」という考えには全く賛成できません。
結局「大きくしてから温存」となっています。(質問者に今更言っても仕方がない事ですが、他の閲覧者のために敢えてコメントしています)
それと腋窩郭清の0/12がどうしても気になります。
本来、術前抗がん剤後の手術では「化学療法前の評価でリンパ節転移無」という評価であれば、「センチネルリンパ節生検すべき」なのです。(主治医からはどういう説明なのでしょうか?)
「候補①EC4回標準治療だが心毒性の問題あり」
「候補②ゼローダB法標準外だが術後の補助療法として効果があったとのデータあり」
「候補③ECとゼローダの両方」

⇒②③は適応外診療であり、決して行ってはいけません。
 ゼローダの添付文章では「手術不能または再発乳癌に対して」とあります。(ご自分でネットで確認してみてください)
「質問①どの抗がん剤が有効でしょうか?ECは副作用と抗がん剤の効き目があるのか不安です。」
⇒そもそも「適応上」限られています。
 (薬剤の適応上)選択肢は「アンスラサイクリン」か「タキサン」しかなく(術前にパクリタキセルを使用しているのだから)
  現実にはECかDTXとなります。
 トリプルネガティブなのだから当然「アンスラサイクリン」つまり「EC」となります。
 アンスラサイクリンの心毒性を考えた投与上限は800mg/m2なので(初回はおそらく100mg/m2を4回やっているので)EC4回は全く問題ありません。
「質問②再発率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒ECを行えば8%となります。